不登校になる原因と対応方法|必ず知っておきたいポイントを解説

公開日:2024年3月14日

今回のコラムでは、子供が不登校になる「原因」や「具体的な対応方法」をわかりやすくご紹介します。
近年、不登校になる子供は増え続けていますが、その原因は多種多様です。
「なぜ学校に行きたくないの?」「不登校になってしまい、どうすれば良いか分からない…」と悩みを抱え、不安な気持ちになる親御さんは多いかと思います。
そこで、不登校の子供を持つ親御さんに、ぜひ知っておいてほしいことを詳しく解説していきます。

不登校になる様々な原因

不登校になる原因は、お子さんによって様々ですが、お子さんの年齢によって、その原因には特徴があります。

では、ここから小学生、中学生、高校生に分けて解説していきます。

参照:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和4年度)

小学生|不登校になる上位5つの原因

小学生の不登校の特徴として、「親子の関わり方」が原因となる割合が突出して高い( ※中学生では4.9%、高校生では2.8%)ことに注目すべきでしょう。同時に、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」も12.6%と高い比率を示しています。

「生活リズムの乱れ、あそび、非行」

小学生の不登校になる原因として「生活リズムの乱れ、あそび、非行」についても、非常に高い割合となっています。
小学生の場合、非行に走るというよりは、主に「生活の乱れ、あそび」が原因となります。
これらは、主にスマホやゲームのやり過ぎによる影響が考えられます。
スマホやゲームを覚えたての小学生の子は、その楽しさから歯止めが効かなくなってしまい、没頭してしまうことがよくあります。エスカレートしてしまうと昼夜逆転してしまったり、親の目を盗んで何時間も没入してしまうことがあります。
これにより、「勉強を全くやらなくなる」「寝る時間が遅くなり、朝が起きられない」といったような生活の乱れが生じ、結果的に不登校につながるのです。

「親子の関わり方」

小学校に上がりたての低学年のお子さんに多い事例として、「母親から離れたくない」「学校には親がいないので不安」といった理由で、登校時に泣いてしまったり、母親にしがみついて離れないなどの行動をおこすことがあります。
親離れができていないことで、「学校に行きたくない」という行動につながり、親御さんも対処に困ってしまうことがよくあります。

一方で、高学年のお子さんは「思春期・第二次反抗期」が始まり、親に反抗したり、否定するような行動を取ることがあります。これらがエスカレートしてしまうと「学校に行きたくない」「勉強したくない」となることがあります。これまで素直だった子が突然反抗的になり、親御さんも接し方に戸惑ってしまいます。

小学生は、幼稚園から小学校への大きな変化から始まり、数年を経て反抗期に入るという、お子さんが大きく成長(変化)する時期でもあります。それにより、親子関係の軌道修正がうまくいかず、不登校の原因となることがよくあります。

これらは学校での出来事ではなく、家庭やプライベートの問題に起因しています。不登校とは「学校に行きたくない」ということなので、ほとんどの原因は学校にあるのでは?と思ってしまいがちです。しかし、小学生においては、実際はそうではないケースが多いことがわかります。

中学生|不登校になる上位5つの原因

中学生の不登校の特徴としては、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が原因となる割合が高いという点です。
また、中学になると学習内容が急激に難しくなるので、「学業の不振」「入学、転編入学、進級時の不適応」「進路に係る不安」といった勉強に関わる原因も多くなることが特徴です。

「いじめを除く友人関係をめぐる問題」

中学生は、第二次反抗期・思春期に入ることで、人間関係に対して多感になりがちです。些細な出来事でもクヨクヨしてしまったり、必要以上に悩んだり考えすぎたりしてしまいます。
例えば、
「友達と意見が合わなかった、口論になってしまった」
「気にしていることを言われて傷ついた」
「周りに気を遣うことに疲れてしまった」

など、様々な理由で、人間関係や学校生活にストレスを感じてしまい、それが積もりに積もった後、最終的に不登校につながることがあります。
また、中学生のお子さんの多くは、思春期・反抗期ということもあり、親に相談することをためらいがちです。特に人間関係でのトラブルは、口に出したくない内容も多く、誰にも相談できずにため込んでしまう傾向が強いです。
中学生は、自我が芽生え、自立心が成長する時期でもあります。「親に相談するのは恥ずかしい」「自分で解決できないことが情けない」と考えてしまい、余計に悩みを抱え込んでしまうこともあります。

「生活リズムの乱れ、あそび、非行」

中学生になると、塾に通い始めたり、部活が始まったりすることで帰宅時間が自然と遅くなります。また、身体が成長し体力もついてくると「夜更かし」することも増えてきます。その中で「夜遊び」を覚えてしまい、生活の乱れや非行につながることがあります。
また、ほとんどの中学生は自分用のスマートフォンを持っています。スマホを覚えたての中学生は、SNSやスマホのアプリやゲーム、YouTubeなどにのめり込んでしまい、歯止めがきかなくなってしまうことがあります。親の目を盗んで、夜遅くまでスマホに没頭してしまい、生活のリズムが崩れてしまう(朝が起きられなくなる、昼夜逆転してしまう)ケースもよくあります。
このように生活のリズムが崩れてしまい、結果的に不登校につながるのです。

「学業の不振」

中学生が不登校になる「最初のきっかけとは別の理由」では、「勉強が分からない」という回答が、4割以上と最も高いです。不登校になるキッカケはお子さんによって様々ですが、背景として「勉強が分からない」ことが不登校への後押しになっていることが多く見受けられます。

中学になると学習内容が急激に難しくなるので、成績差が大きく分かれ始める時期でもあります。小学生のうちは何とか付いていけたものの、中学生になって「テストで10点台を取ってしまった…」など、親が驚くような点数を取ってしまうこともありますが、この様な場合、実はお子さん本人が一番ショックを受け、プライドが傷ついています。

  • テストで酷い点を取ってしまった(恥ずかしい、笑われた、馬鹿にされた)
  • 先生に当てられても答えることができない(恥ずかしい、わからない)
  • 授業がわからない、付いていけないのでつらい(自信喪失、やる気が出ない)
  • 成績が悪いので将来が不安(高校に進学できないかも)

などの理由が大きなストレスへとつながり、不登校の原因となります。
中学生以降のお子さんにとって、「勉強が分からないことへの不安」「やってもできない」「勉強が苦手」ということから生じる無気力感は、不登校になる原因の漠然とした下地になっていることが考えられます。

高校生|不登校になる上位5つの原因

高校生の不登校の特徴としては、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「入学、転編入学、進級時の不適応」が原因となる割合が高いという点です。
また、「学業の不振」「進路に係る不安」といった勉強に関わる原因も多くなることが特徴です。

「生活リズムの乱れ、あそび、非行」

高校生になると一気に活動範囲が広がり、学校外での遊び・趣味・アルバイトなど、学校以外の世界と交わる機会が増え、より活動的になります。それ自体は悪いことではないのですが、ともすれば、非行や生活の乱れにつながるキッカケにもなることがあります。
また、スマホ(SNS、ゲーム、YouTubeなど)にのめり込んでしまい、生活の乱れにつながるケースも多く見られます。

高校生は自我も芽生え、身体面・精神面でも大人に近づくので、「子供扱い」することが難しくなります。
夜遅くに帰宅したり、夜更かしすること、プライベートの過ごし方に対して、あまりにも口うるさく干渉してしまうと、強く反発してしまうこともあります。
結果として、親御さんは「腫れ物に触る」ように対応してしまったり、「放置・放任状態」となり過ぎてしまい、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」がエスカレートしてしまうことがあります。その結果、「学校をサボる」「学校に行かない」といった状態に発展してしまうことがあります。

「いじめを除く友人関係をめぐる問題」

高校生は、思春期や反抗期が終わりに差し掛かり、自我や自立心が芽生え始めます。
人間関係に悩んだり、傷ついてしまうことで、不登校に至ることは多々あるものの、一方で、「自分と合わないなら、会うのをやめよう」といった考え方から「学校に行かない=不登校」となることもあります。つまり、小学生や中学生のように「学校に行けない・休みたい」という理由ではなく、自らの将来の選択として「学校に行かない」という解決策をとる、ということです。場合によっては、それが「退学」という選択になることもあります。

高校は義務教育ではないので、学校に行く以外の選択肢は沢山あります。
大学に進学したければ、高校に通わなくても「高卒認定認定試験(大検)」に合格することで、受験することもでき、就職や専門学校という選択肢もあります。

この様な背景から、高校生における「いじめを除く友人関係をめぐる問題」から不登校に至る要因には、多様なケースが考えられます。

「学業の不振」「入学、転編入学、進級時の不適応」「進路に係る不安」

高校生の場合、これらの原因は「学習・成績の問題」が主に関係しています。
高校での学習内容は、量も多く難解なので、「学校に付いていけない」というケースが多くなります。高校に入学していきなり勉強が分からなくなった、といったことも少なくありません。

しかし、高校生用の塾は、小学生や中学生とは違い、「学校の補習」ではなく「大学進学」を目指す塾(予備校)がほとんどです。勉強が分からなくなってもフォローする手段が少ないことも「学業の不振」の要因として考えられます。

また、高校は義務教育ではないので、学習に遅れが生じると「留年」するという可能性があります。また、成績が悪いことで「将来的に大学進学は無理かも…」という不安から、大きなストレスを感じてしまい、不登校に至るということがあります。

共通する原因

小学生から高校生まで、それぞれ年齢に応じた特徴がありますが、共通している原因も多々あります。不登校になる原因は様々なので、お子さん一人ひとりに合わせた対応が必要ですが、一つの参考としてご紹介します。

「無気力、不安」が半数を占める

不登校になった小中高生の原因として、「無気力、不安」が約半数を占めています。これは、やや漠然とした理由に感じますが、理由が無いわけではなく、学習面や生活面での大小様々な不安が入り交じっている状態と考えてください。

特に、中高生においては、学習の遅れから生じる進路への焦りや自己肯定感の喪失により、漠然とした「無気力、不安」へとつながり、最終的に不登校に至る原因となっていくことが考えられます。

参照:文部科学省「不登校に関する基礎資料」

「いじめ」が原因となることは意外と少ない?

文部科学省によるデータでは、「いじめ」が原因となって不登校に至る割合は0.2〜0.3%と、小中高生いずれも低い割合になっています。
しかしながら、この数値は低すぎるのではないか?という疑問もあります。

文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」は、学校などへの聞き取り調査が土台となっているため、学校側が「いじめ」と認識するかどうかが、子供の気持ちと異なる可能性があります。

文部科学省による「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」では、不登校になった小学6年生と中学2年生の子供と保護者に、直接ヒアリングにて行ったアンケート調査が公開されていますが、「最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ(複数回答可)」に対して「友達のこと(いやがらせやいじめがあった)」と回答した割合が、小学生は25.2%、中学生は25.5%と、いずれも高い割合になっています。
この調査の対象人数は少ないので一概に比べることはできませんが、「いじめにより不登校になる可能性は低い」とは単純に考えられません。

お子さん本人に詳しく事情を聞いた上で、適切な判断や対応をしていくことが大切です。

参照:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」

「勉強が分からない」が不登校への後押しになってしまう

不登校になる原因のうち、学校に係る理由の中では、友人関係やいじめなどの対人関係の問題と同時に、「学業の不振」が小中高生いずれも高い割合となっています。
学校生活においては、授業を受けている時間が一番長いので、「当てられても答えられない」「授業に付いていけない」となると、つらい時間が比例して多くなります。
また、「成績が悪かった」「テストの点数が悪かった」ということが繰り返し積み重なってしまうと、自己肯定感の低下につながりやすく、「学校に行きたくない…」という気持ちにつながってしまいがちです。
加えて、中学生や高校生は受験があるので、勉強が分からないことで将来が不安になり、ストレスを抱えてしまうことがあります。

学校は勉強することが主役の場なので、その勉強自体に自信が無いと、お子さんにとっては大きなストレスとなってしまいます。

発達障害や病気の関係

年齢や学年に関係なく、発達障害による特性が不登校の原因となるケースもあります。
発達障害には、ASD、ADHD、LD・SLDなど、いくつかの異なるタイプがありますが、1人のお子さんが複数の症状を示すことも多く、また、明確な境界線もありません。
具体的な例としては、

  • 集団行動が苦手
  • 場の空気を読むことが苦手
  • 不注意で忘れ物・落とし物
  • なくし物を頻繁にしてしまう
  • 落ち着きがなく授業の邪魔をしてしまう
  • 衝動的な行動や言動で相手を傷つけてしまう

などがあります。
また、LDの傾向が強いお子さんは、「読字障害」「書字障害」「算数障害」という特性があり、学力に対して大きく影響します。
これらの特性が起因となって、学習に遅れが生じたり、学校生活で様々な人間関係のトラブルを引き起こしてしまい、結果として不登校につながるケースがあります。

発達障害についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「発達障害の中学生の特徴と支援法」

不登校になった時の対応

次に、お子さんが不登校になった時の対応方法について解説します。
お子さんによって原因は様々なので、状況に合わせた適切な対応が大切です

1. ゆっくり休ませる、自分の好きなことをさせる

お子さんは、不登校に至るまでの一定期間を「学校に行きたくない」という気持ちと闘ってきており、その不安や我慢により、心が弱り疲れ果ててしまっています
また、「原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱」「学校に行こうとするとお腹が痛くなる」などの体調不良を併発してしまうことも少なくありません。
ですから、まずはゆっくりと休息を取らせてあげることが大切です。

不登校を選択することで、嫌なことや、つらかったことから解放され、それだけでも気持ちが楽になります。学校を休んでいる間は、気持ちや体調を整え、自分の好きなことをさせると良いでしょう。
読書をしたり、好きなアニメを見たり、なるべく激しい行動は避け、ゆっくり気分転換できることを選ぶと良いでしょう。勿論やり過ぎには注意が必要ですが、好きなことに没頭している時間は充実感を感じることができ、嫌なことを忘れ、気分をリフレッシュすることができます。
好きなことだけではなく、家事のお手伝いや料理のお手伝いなどでも良いでしょう。強制的に手伝わせることや、あまりにも不可があることは避け、お子さんが気軽に取り組めることが良いでしょう。

2. 生活のリズムを崩さない

不登校の状態が長くなると、徐々に起床時間が遅くなりがちになり、同時に就寝時間も遅くなりがちになります。
「寝坊しても遅刻する訳じゃないし…」「決まった時間に起きなくていいや」となり、夜遅くまでスマホやゲームに没頭してしまうなどが考えられます。
この状態がエスカレートすると、昼夜逆転してしまうこともあり、体調やメンタル面も不安定になります。加えて、家族で顔を合わせる機会が減ってしまい、コミュニケーションの量が極端に少なくなってしまいます。

生活のリズムを整えるために、「起床時間を決めておく」「朝食は家族で一緒に食べる」「就寝時間を決めておく」といったことなどで、規則正しい生活リズムを維持する工夫をしましょう。お勧めの方法は「起床時間を決めておく」ことです。早い時間に起きていれば、自然と夜には眠くなって寝てしまうので、無理なく生活リズムを整えやすくなります。

3. 学校と相談する

不登校になった場合は、学校の担任やスクールカウンセラー(スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカー)と相談しましょう。
学校生活でのお子さんの様子や学習状況を聞くことで、本人の話とは違った視点での情報を知ることができ、客観的に状況を把握することができます。

また、不登校になると、学習面の遅れや進路のことが心配になります。復学へ向けた方向性なども、専門家の意見を取り入れることで、よりスムーズになります。
お子さんの意思にもよりますが、保健室登校(別室登校)、教育支援センターの利用、ICTを活用した学習方法の検討、不登校特例校への転校、なども視野に入れ、早期に相談してみましょう。

4. 公的機関に相談する

各都道府県や市町村には、不登校のお子さんを支援している公的機関があり、学校以外での相談窓口として利用できます。
各機関には不登校に詳しい専門家が在籍しており、お子さんの状況に合ったアドバイスや支援を受けることができます。

子育て相談窓口

全国の市区町村に設置されている相談窓口です。お住まいの市役所や区役所にてご確認ください。
子育て全般について相談を受けており、不登校についての相談もできます。

教育支援センター

教育委員会等が運営する公的機関です。
不登校の生徒が学校に通わなくても学習できる環境の支援、生徒や保護者との教育相談、心理カウンセラーによる面談等を提供しています。市の施設など、公の建物の中にあることが多く、利用料は無料です。

児童相談所(児童相談センター・児童家庭支援センター)

厚生労働省が運営する公的機関です。
18歳未満の子どもやそのご家族を対象として、子育てやしつけの悩み、不登校、発達障害、子どもの行動上の問題などについて相談することができます。

ひきこもり地域支援センター

すべての都道府県・指定都市にある、行政が運営するひきこもりに特化した相談窓口です。(NPO法人などに委託しているケースもあります。)
ひきこもり本人やご家族からの相談を受け付け、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって相談支援などを行います。

5. 転校を検討する

不登校になった原因が、学校での友人関係や教師との関係である場合、転校を検討することも一つです。
ただし、「新しい学校に馴染めるか?」「新たな人間関係を作らなければいけない」「授業についていけるか?」など様々な課題も生じます。
お子さんの意思が重要なので、家族間でよく話し合ってから決めたほうが良いでしょう。

他校への転校

公立校に在籍する小中学生が、引越しをせずに転校する場合、校区外の学校に転校することになりますが、近年ではいじめなどの原因で不登校となった場合には、校区外への転校を柔軟に認めてくれるようになってきています。

基本的な手続きの流れは、

  1. 学校と相談し、転校する意思を伝える
  2. 転校の申請書を作成・提出
  3. 教育委員会による審査
  4. 審査終了後、転校の決定がされる

となります。

公立校から私立校へ転校する場合や高校の転校の場合は、まず希望する学校が「転入を受けているかどうか?」を確認する必要があります。
また、受け入れている場合には「転入試験があるかどうか?」も合わせて確認が必要です。試験の内容は学校毎に異なりますので、こちらも事前に確認しておきましょう。

不登校特例校への編入

不登校特例校とは、学校に行きづらい児童生徒が柔軟に学ぶことができる学校(小・中・高等学校等)のことです。
不登校特例校の学習カリキュラムでは、▽年間の総授業時間数を750〜770時間としている▽体験型の学習や校外学習▽コミュニケーション能力の向上を目指す授業▽一人ひとりの学力を考慮して学習する▽など、不登校の子どもたちに配慮した様々な工夫が各学校毎になされています。
令和5年2月時点では、全国で24校(公立14校、私立10校)しかありませんが、将来的には希望する児童生徒が居住地によらず通えるよう、分教室型も含め全国300校を目指して、行政による積極的な促進がなされています。

不登校特例校は、正式に文部科学大臣から指定を受けた学校なので、出席していれば通常の学校と同じように出席扱いとなり、また「卒業」も正式に認められます。つまり、将来的にはそのまま一般の高校へ進学することも可能です。

ただし、不登校特例校に入学するためには一定の条件をクリアする必要があり、編入できるかどうかは、最終的に各学校や教育委員会の判断に委ねられます。
入学を検討されている方は、通っている学校やお住まいの地域の教育委員会に相談してみましょう。

通信制高校やチャレンジスクールへの転校(進学)

通信制高校や定時制高校は、毎日の登校がなかったり(単位制)、授業の時間帯が夕方以降であったりするなど、不登校を経験したお子さんでも、少ない負担で学校に通うことができます。学習の内容も比較的やさしめな学校が多いです。
受験の選考についても、書類選考や面接が主なので、不登校のお子さんが受験しやすい内容となっています。
不登校を経験した生徒を積極的に受け入れている学校が多く、不登校であることが受験(転校)においてマイナスに評価されることはありません。
チャレンジスクールやエンカレッジスクールは、小・中学校時代に不登校の経験がある生徒や、発達障害などの理由で集団生活に馴染めなかった中学生を主に受け入れる公立高校です。
受験の選考についても、学力試験は無く、作文や面接が主となります。また、不登校であることがマイナス評価になることはないので、不登校のお子さんが受験(転校)しやすい学校です。
チャレンジスクールは総合学科の定時制高校であり、エンカレッジスクールは全日制高校です。各都道府県によって名称が異なり、「クリエイティブスクール」「パレットスクール」「地域連携アクティブスクール」とも呼ばれています。

不登校のお子さんが通いやすい学校についてもっと知りたい方はこちら
「不登校からの高校受験|高校選びから内申書の対策までを徹底解説」

不登校になった時の親の役割

1. 無理に学校に行かせない

「しっかりしなさい!」「我慢しなさい!」などと、無理に学校に行かせようと叱責する親御さんもいますが、これは逆効果になります。
不登校になりそう、または、なっているお子さんに対しては、「学校を休んでも大丈夫だよ」と伝えてあげましょう
親御さんの世代では「学校を休むことはいけないこと」という価値観で育ってきた方が多く、「単なる甘えじゃないのか?」「そんな些細なことで休むなんて…」と感じてしまい、この一言がなかなか言えない方も多いようです。

文部科学省による「休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの期間」についてのアンケート調査によると、実に約半数のお子さんが1ヶ月〜半年程度で休み始めています。
つまり、お子さんは「1ヶ月〜半年」もの間、毎日「学校に行きたくない」という気持ちと闘いながら、通学していたということです。その我慢が限界に達した時に、はじめて不登校となるのです。
「無理矢理学校に行かせる」という行為は、この「我慢の限界」を強制的に延長させる、ということになります。

親御さんからの「休んでも大丈夫なんだよ」という一言が、傷つき疲れ果てたお子さんの気持ちを和らげることになり、心を楽にしてあげられるでしょう。

2. 不登校になったことを責めない

不登校になったお子さんに「何で学校に行かないの?」「学校は行かないとダメでしょ!」と、責めたり怒ったりすることも逆効果です。
お子さんは、不登校になった自分に対して何らかの自責の念や後悔を感じていることがよくあります。それを理解せず、頭ごなしに不登校になったことを責めてしまうと、「不登校になっている自分はダメな人間なんだ…」といった劣等感や自己肯定感の低下に拍車がかかり、お子さんをさらに追い詰めてしまうことになりかねません。

まずは、お子さんの気持ちにより添い、お子さんなりの「学校に行きたくない理由」に耳を傾けましょう。

3. 子どもの話をよく聞いてあげる

お子さんは、悩みに悩んだ末、不登校に至っています。表面的には悩んでいるように見えなかったとしても、心の中では必ず大きな傷や悩みを抱えています。
もし、お子さんが「学校に行きたくない」と打ち明けてきたら、どんな表情・話し方であっても、決死の覚悟でSOSを送っていると考え、まずはお子さんの話をゆっくり、肯定的に聞いてあげてください

軽く受け流すように聞いたり、自分の考えを頭ごなしにぶつけたりするようなことは避けましょう。
お子さんによっては、「自分の気持ちをうまく表現できない」「うまく言葉にできない」こともあります。打ち明けたいことをゆっくり丁寧に引き出してあげ、お子さんの気持ちを理解し、共感してあげることを最優先に考えましょう。

4. 努力や頑張りを認めてあげる

お子さんが、「学校に行きたくない気持ちと精一杯闘ってきたこと」「苦しいけど限界まで我慢してきたこと」を理解し、まずはそこに対してのねぎらいの言葉をかけてあげましょう。
家族からの「ここまでよく耐えてきたね、よく頑張ったね」「勇気を出して打ち明けてくれたんだね、ありがとう」という、労いの言葉が、我慢してきたお子さんにとって一番救われる言葉となるのです。
「不登校になったという結果」ではなく、「不登校に至るまでの頑張り」に目を向けることで、お子さんの頑張りや我慢、つらい気持ちに気付くことができ、親子関係にとっても良い影響となるでしょう。

5. 復学にこだわらない

在籍する学校の生徒や先生との人間関係が不登校の原因となっている場合、原因となっていた接し方や態度が改善されたとしても、「なんか気まずいな」「内心はどう思っているんだろう…」と気にしてしまうことがあります。
お子さん本人が復学を希望していないようであれば、今の学校への登校に、殊更こだわる必要はありません。
出席日数が心配であれば、教育支援センター(適応指導教室)やICTを活用することで出席扱いにできる方法もあります。また、転校することも一つの選択肢です。
お子さん本人の意思が一番大切ですが、「今の学校にもう戻らなくていいんだ!」ということだけで、お子さんのストレスが軽減されるケースが多々あります。

6. 子供とコミュニケーションをとる

不登校に至るまでの間、お子さんは不安や葛藤を抱えながら、つらい日々を過ごしています。このような状況下では、家族からの温かい支えが一番のよりどころとなります。
もし、お子さんが暗い表情を見せていたり、悩みを抱え込んでいるような様子があったら、家族の方が迷わず話しを聞いてあげ、寄り添ってあげることが大切です。

特に、思春期や反抗期のお子さんの場合、親御さんは腫れ物に触るかのように接してしまい、結果的に距離を置く、避けるといったことになることがあります。これにより、お子さんはさらに悩みを1人で抱え込んでしまい、状況がさらに悪化してしまいかねません。
「ほっといた方が良い」「本人が話しかけてくるまで待とう」という考えよりも、短い時間でも会話するなどのコミュニケーション回数を増やし、お子さんとの距離を縮めていくことが大切です。

7. 家族で過ごす時間をつくる

不登校になると、他者とのコミュニケーション不足になりがちです。
外の世界との接点が少なくなると、お子さんは殻に閉じこもりやすくなり、視野も狭くなってしまいます。

お子さんが不登校になった時は、これまで以上に家族で過ごす時間を増やすように心掛けましょう。

家族みんなで、映画やテレビ番組を観ながらワイワイ話したり、休日には少し遠出して遊びに行ってみるのも良いでしょう。
また、DIYで何かを作ってみたり、キャンプに行ったり、BBQをするなど、家族での共同作業やイベントなども意識的に増やすことも良いでしょう。

家族で過ごす時間が、お子さんの傷を癒やすことにもなりますし、親子関係も良くなり、お子さんも本音で話してくれやすくなるはずです。

不登校になった時の学習支援

不登校になった時に心配となるのが「学習の遅れ」が生じることです。
遅れが生じると、復学した場合には授業についていけなくなり、また不登校になってしまうというケースもよくあります。
授業を受けないことで遅れが生じないように、学習支援の方法を考えていく必要があります。

教育支援センター(適応指導教室)

教育支援センター(適応指導教室)では、教育相談やカウンセリングを受け付けているだけではなく、不登校のお子さんに向けた学習支援も行っています。教育委員会が運営する公的機関なので、無料で利用できます。
教育支援センターは、在籍する学校と連携を取りながら、個別の学習指導や体験活動などの様々な学習支援を行っています。

また、教育支援センターに通うことで、一定の条件を満たせば「出席扱い」になります。(※ただし、教育支援センターは学校ではないので、卒業資格は得られません。)

一定の条件とは、以下の通りです。

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  • 当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること

利用を検討する場合は、まず学校の先生やスクールカウンセラーに相談してみましょう。

ICTの活用

学習における「ICT」とは、パソコンやタブレットなどのデジタル機器を用い、インターネットを介して学習する方法のことです。
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」では、義務教育を受ける児童生徒のために「1人1台の学習者用PC」と「高速ネットワーク環境」などを整備することを5年間の計画で進めており、コロナ禍からその普及が加速しています。

このICTを用いた学習も、一定の条件を満たせば「出席扱い」となり、さらに学校の成績(通知表)にも反映されます

一定の条件とは、以下の通りです。

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  • 訪問等による対面指導が適切に行われること
  • 計画的な学習プログラムであること
  • 校長が対面指導や学習活動の状況等について十分に把握すること
  • 基本的に学校外の公的機関等で相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること
  • 当該学習の計画や内容が、その学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること

ICTを利用した学習を希望する際には、在籍する学校の先生やスクールカウンセラー、教育支援センターの相談員と、具体的にどのような方法が可能か相談してみましょう。

参照:
「遠隔教育の推進に向けた施策方針」
「不登校に関する基礎資料」

家庭教師をつける

不登校のお子さんは、外出を避けたがる傾向が強くなります。
塾の場合は学校のように通わなければいけませんが、家庭教師は自宅まで先生が通ってきてくれるので、不登校のお子さんの学習に適しています

また、家庭教師は1対1の指導スタイルなので、周りの目を気にせず勉強することができます。お子さん一人ひとりに合わせて学習カリキュラムを組むので、不登校により遅れてしまった科目や単元にさかのぼって指導することもできます
前の学年の内容を勉強することを「恥ずかしい」と感じてしまうお子さんもいますが、家庭教師であれば、周りの目を気にせず、分からないところを納得いくまで習うことができます。

加えて、家庭教師は、他者とのつながりが希薄になりがちな不登校のお子さんの精神面での大きなサポートが期待できます。
大学生の家庭教師であれば、お子さんのお兄さん・お姉さんのような存在として、プライベートの面(趣味や遊びの相手、話し相手)でも良き相談者になってくれます。時には一緒に話題のスイーツを食べに行ったり、一緒に買い物に出かけたり、映画を観に行ったり、と塞ぎ込みがちで単調になりがちなお子さんの生活に彩りを加えてくれることが期待できます。

もっと知りたい方はこちら
【不登校コース】について

塾に通うことも選択肢の一つですが、近所の塾では、在籍する学校の生徒(顔見知り)が多く在籍していることが多く、特に学校での人間関係が原因で不登校になっている場合は、あまり適していません。
また、多くの塾は学校の授業を受けている前提で授業を進めるため、不登校のお子さんには合わない可能性があります。

フリースクール

フリースクールとは、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間(NPO法人やボランティア団体、個人)の施設のことです。簡単に言えば、不登校用の塾のようなものです。
その規模や活動内容は多種多様ですが、概ね教育支援センターと似通ったカリキュラムになります。

フリースクールは、学習塾同様、民間が運営する施設なので有料になります。
料金体系は様々ですが、入会金が10,000円〜50,000円程度、月額費用が10,000円〜50,000円程度が一般的な相場になります。詳細については各団体のホームページなどでご確認ください。

フリースクールは学校ではないので「卒業資格」は得られませんが、一定の条件を満たせば「出席扱い」にできることもあります

条件の概要は以下の通りです。

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  • フリースクールにおける相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であること
  • 当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること
  • フリースクールにおける学習計画や内容が、学校の教育課程に照らし適切であること

これらの条件を元に、最終的には学校の校長と教育委員会が判断することになっています。
フリースクールを検討されている方は、まず、学校の先生やスクールカウンセラーに「出席扱い」になるかどうかも含めて相談しましょう。

まとめ

不登校に至る原因は、お子さん人1人によって様々です。データを参考にしながら客観的な理解を深めていくことは大切ですが、最終的にはお子さん本人の気持ちを理解し、きめ細かく対応することが大切です。
どんな状況であったとしても、不登校のお子さんへの支援方法や対策は沢山ありますので、前向きに取り組んでいきましょう。
家庭教師のマスターでは、不登校のお子さんへの学習サポートを行っております。
ご興味のある方は、是非気軽にご相談頂ければ幸いです。

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【不登校コース】について

この記事を企画・執筆・監修した人

家庭教師のマスター教務部

この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
家庭教師のマスターでは、家庭教師・受験・不登校・発達障害・学習方法・学校情報・教育・子育てをテーマに、お役に立ち情報を発信しています。

家庭教師のマスターについて

家庭教師のマスターの特徴

平成12年の創立から、家庭教師のマスターは累計2万人以上の子供たちを指導してきました。その経験と実績から、

  • 勉強大嫌いな子
  • テストで平均点が取れない子
  • 特定の苦手科目がある子
  • 自宅学習のやり方、習慣が身についていない子

の指導方法や自宅学習の習慣づけには、特に自信があります!
また、家計に優しい料金体系や受験対策(特に高校受験)にもご好評いただいております。

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指導料金について

指導料:1コマ(30分)

  • 中学生:900円/1コマ
  • 小学1年生~4年生:800円/1コマ
  • 小学5年生~6年生:850円/1コマ
  • 高校生:1000円/1コマ

家庭教師マスターではリーズナブルな価格で高品質の家庭教師をご紹介しています。

2人同時指導の割引き|ペアレッスン

兄妹やお友達などと2人一緒に指導を受けるスタイルの「ペアレッスン」なら、1人分の料金とほぼ変わらない料金でお得に家庭教師の指導が受けられます!

※1人あたりの指導料が1コマ900円 → 1コマ500円に割引きされます!

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教え方について

マンツーマンで教える家庭教師の強みを活かし、お子さん一人ひとりにピッタリ合ったオーダーメイドの学習プランで教えています。
「学校や教科書の補習」「中間・期末テスト対策」「受験対策」「苦手科目の克服」など様々なケースに柔軟な対応が可能です。

コースのご紹介

家庭教師のマスターでは、お子さんに合わせたコースプランをご用意しています。
ご興味のある方は、下記をクリックして詳細を確認してみてください!

・【小学生コース】について
・【中学生コース】について
・【高校生コース】について

・【不登校コース】について
・【発達障害コース】について
・【私立・中高一貫校コース】について

・【高校受験コース】について
・【中学受験コース】について
・【大学受験コース】について

無料体験レッスン

私たち家庭教師のマスターについて、もっと詳しく知って頂くために、無料の体験レッスンをやっています。
体験レッスンでは、お子さんと保護者さまご一緒で参加して頂き、私たちの普段の教え方をご自宅で体験して頂きます。同時にお子さんの勉強方法や課題点について無料のコンサルティングをさせて頂き、今後の学習プランに活かせるアドバイスも提供します。
他の家庭教師会社や今通われている塾との比較検討先の1つとして気軽にご利用ください!

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