不登校の中学生への正しい対処法|その原因と対策法や進学について

公開日:2024年3月15日

過去10年間で不登校の児童は急速に増えています。文部科学省が公表した令和5年10月の最新データにおいても、過去最高を更新しました。
このコラムでは、不登校の中学生の親が知りたい「不登校になる原因やその対処法」「不登校の中学生の高校進学・受験対策について」などについて、最新データを元にわかりやすく解説していきます。お子さんが不登校になり「どのように向き合えば良いか?」「高校には進学できるの?」とお悩みを抱える保護者の方には必読の内容です。

中学生の不登校:最新データ

不登校の定義

文部科学省では、不登校児童生徒を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。
つまり、病気や経済的な理由以外で30日以上欠席した場合は、「不登校生徒」として扱われます。

不登校の中学生の人数・割合

文部科学省が令和5年10月に公表した最新データ「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、全国の在籍中学生3,245,395名のうち、不登校の中学生は193,936名(全体の6.0%)とのことです。不登校生徒数は10年連続で増加し、過去最多となっています。

不登校の中学生の内訳としては、

  • 欠席日数が30〜89日の生徒|75,161名(38.8%)
  • 90日以上欠席している生徒|118,775名(61.2%)
    • うち出席日数が11日以上の生徒|88,133名(45.4%)
    • うち出席日数が1〜10日の生徒|23,938名(12.3%)
    • うち出席日数が0日の生徒|6,704名(3.4%)

とのことです。

このデータから、年間欠席日数3ヶ月以上の生徒が6割以上を占めており、中学生で不登校になった場合、小学生と比べより長期化することが分かります。
中学生には高校受験という重要なイベントがあります。
高校受験では調査書(内申書)が必ず提出されますが、その中に「出欠日数について」報告する項目があり、高校側からの評価対象とされます。また、推薦入試では、あらかじめ「出席日数●●日以上」といった条件を設けている学校もあります。
ただ、不登校になっても、保健室登校や教育支援センター、ICTの活用など、様々な形で「出席扱い」にできる手段もあります。(※これらについては詳しく後述します)

参照:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」

不登校児童数の推移

中学生の不登校は年々増加傾向にあります。
下記に、最新のデータから10年間分を一覧表にまとめてみました。

不登校生徒数の推移|過去10年

この表からも、不登校の生徒数は年々増加しており、その割合も増加していることがわかります。令和2年のコロナ禍以降、その増加ペースは急激に加速したようです。
近年、不登校であることは特別なことではありません。お子さんの状況に合わせて、柔軟に対応していくことが大切です。

不登校の中学生の進学・就職について

20年近く前のデータ(※「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」)では、不登校生徒の進学率は約87%とされています。
しかしながら、現在の不登校の生徒に対する学習支援や進路の選択肢は、当時と比べ大きく変更・改善されています。昔は、出席日数不足や学力の遅れなどが原因となり進学できないこともありましたが、現在では、この点についても大きく改善しています。※このトピックについては、後半で詳しく解説します。

中学生が不登校になる原因

次に、中学生のお子さんが不登校になる原因について、最新データを元に解説していきます。
まず、文部科学省が公表しているデータでは、中学生の生徒が不登校になる要因は下記の割合となっています。

参照:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和4年度)

約半数が「13. 無気力、不安」といった漠然とした理由なのですが、これは理由が無いわけではなく、学習面や生活面での大小様々な不安が入り交じっている状態と考えてください。
中学生の不登校の特徴として、「2. いじめを除く友人関係をめぐる問題」「12. 生活リズムの乱れ、あそび、非行」が原因となる割合が高いことに注目すべきでしょう。
思春期を迎える中学生は、より対人関係についてナイーブになりがちです。また、反抗期を迎え、夜に出歩いたり、夜遅くまで起きていたりすることもあります。
これらがエスカレートした場合、不登校へつながることがあります。

また、小学生と比べ、「4. 学業の不振」「5. 進路に係る不安」「8. 入学、転編入学、進級時の不適応」が高い比率を示しています。
これは、学習内容が急激に難しくなる中学生では、元々問題になりやすい部分です。勉強が理解できない・授業に付いていけないことで、学校に行くのが嫌になり、最終的には不登校につながるのです。
学習の遅れが、「5. 進路に係る不安」「8. 入学、転編入学、進級時の不適応」に連動しますので、これらは一連の問題として捉えてよいでしょう。

ただし、お子さんが不登校になる理由は一人ひとり異なり、データには反映されていない隠れた理由もあります。それぞれの理由やお子さんの状況に即した対応が必要となります。

学校に係わる不安|人間関係のトラブル

中学生は、第二次反抗期・思春期に入ることで、人間関係に対して多感になりがちです。些細な出来事でもクヨクヨしてしまったり、必要以上に悩んだり考えすぎたりしてしまいます。
例えば、「友達と意見が合わなかった、口論になってしまった」「気にしていることを言われて傷ついた」など、様々な理由で、人間関係や学校生活にストレスを感じてしまい、それが積もりに積もった後、最終的には不登校につながることがあります。

文部科学省の「不登校に関する基礎資料」によると、「生徒児童が休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの期間に相談した相手」は、「誰にも相談しなかった」の割合が、中学生では42%となっています。

中学生のお子さんの多くは、思春期・反抗期ということもあり、親に相談することをためらいがちです。特に人間関係での悩みは、口に出したくない内容も多く、誰にも相談できずにため込んでしまう傾向が強いです。

誰にも相談できず、ストレスをため込んでしまった結果、体調不良を併発することもよくあります。例えば、朝起きた時や家を出ようとすると、腹痛や頭痛、下痢などの症状が出てしまうなどです。上記同資料によると、欠席時の子供の状況として「原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱などがあった」という回答は、約半数に上っています。

不登校に至るまでに、お子さんの異変や悩みのサインがきっとあるはずです。
例えば、

  • 起きる時間が遅い(学校に行きたがらない)
  • 学校に出かける準備(着替えや朝ご飯)がいつもより遅い
  • 夜は普通だったのに、翌朝、登校する前は表情が暗い
  • 休日が終わりに近づくと元気がなくなる
  • 学校の話や友人の話をしたがらない

などです。
お子さんから発信されるSOSのサインを見逃さないようにするためにも、普段から家族でのコミュニケーションを大切にしてください。

参照:文部科学省「不登校に関する基礎資料」

学業の不振|勉強についていけない

「4. 学業の不振」に関連することですが、中学生が不登校になる「最初のきっかけとは別の理由」では、「勉強が分からない」という回答が、最も高い42%です。
不登校になるキッカケはお子さんによって様々ですが、背景として「勉強が分からない」ことが不登校への後押しになっていることが見受けられます。
中学では学習内容が急に難しくなるので、成績差が大きく分かれ始める時期でもあります。小学生のうちは何とか付いていけたものの、中学生になって「テストで10点台を取ってしまった…」など、親が驚くような点数を取ってしまうこともあります。この様な場合、実はお子さん本人が一番ショックを受け、プライドが傷ついています。
それを隠すために、ヘラヘラしていたり、全く気にしていない素振りを見せたりするので、親御さんは「やる気がない」「気にしてない」と捉えてしまう方も多いようですが、私たちの経験上、本音で「悪い点数を取って、喜んだり嬉しがったりする」子は見たことがありません。

  • テストで悪い点を取ってしまった(恥ずかしい、笑われた、馬鹿にされた)
  • 先生に当てられても答えることができない(恥ずかしい、わからない)
  • 授業内容がわからない、付いていけない(授業がわからないので苦痛、つらい)
  • 勉強がわからないので将来が不安(高校に進学できないかも)

などの理由が大きなストレスへとつながり、不登校の原因となります。
また、不登校の原因として半数近くを占める「13. 無気力、不安」も、お子さんの学習状況が多分に影響しているでしょう。
「勉強が分からないことへの不安」「やってもできない」「勉強が苦手」ということから生じる無気力感は、不登校になる原因の漠然とした下地になっていることが考えられます。

生活の乱れ|生活のリズム、遊びの影響

中学生の不登校になる要因として「12. 生活リズムの乱れ、あそび、非行」については、10.7%と、最も高い割合になっています。
中学生になると、塾に通い始めたり、部活が始まったりすることで帰宅時間が自然と遅くなります。その中で「夜遊び」を覚えてしまい、生活の乱れや非行につながることがあります。
また、ほとんどの中学生は自分用のスマートフォンを持っています。スマホを覚えたての中学生は、SNSやスマホのアプリやゲーム、YouTubeなどにのめり込んでしまい、歯止めがきかなくなってしまうことがあります。親の目を盗んで、夜遅くまでスマホに没頭してしまい、生活のリズムが崩れてしまう(朝が起きられなくなる、昼夜逆転してしまう)ケースもよくあります。
このように生活のリズムが崩れてしまい、結果的に不登校につながるのです。

その他|発達障害や病気の関係

その他の原因として、発達障害の特性が原因となり不登校となるケースもあります。発達障害とは、ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症)など、いくつかの異なるタイプが存在しますが、1人のお子さんが複数の症状を示すことも多く、明確な境界線は存在しません。
例えば、ASDの傾向が強いお子さんは「集団行動が苦手」「場の空気を読むことが苦手」という特性があり、ADHDの傾向が強いお子さんは「不注意で忘れ物・落とし物・なくし物を頻繁にしてしまう」「落ち着きがなく授業の邪魔をしてしまう」「衝動的な行動で相手を傷つけてしまう」などの特性があります。また、LDの傾向が強いお子さんは、「読字障害」「書字障害」「算数障害」という特性があり、学力に対して大きく影響します。
これらの特性が起因となって、学習に遅れが生じたり、学校生活で様々な人間関係のトラブルを引き起こしてしまい、結果として不登校につながるケースがあります。

発達障害についてもっと知りたい方はこちら
「発達障害の中学生の特徴と支援法」

不登校のお子さんへの対処法

次に、不登校になった中学生のお子さんへの具体的な対処法をご紹介します。

不登校の中学生にやってはいけない対応

1. 無理に学校に行かせる

「もう中学生なんだからしっかりしなさい!」などの強い言葉で、無理に学校に行かせようと叱責する親御さんもいますが、これは逆効果になります。しかも、親子関係が悪化してしまい、お子さんは心を閉ざしてしまいかねません。

文部科学省による「休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの期間」についてのアンケート調査によると、実に約半数のお子さんが1ヶ月〜半年程度で休み始めています
つまり、お子さんは「1ヶ月〜半年」もの間、毎日「学校に行きたくない」という気持ちと闘いながら、通学していたということです。その我慢が限界に達した時に、はじめて不登校となるのです。

お子さんなりの「学校に行きたくない理由」がちゃんとあります。
それは大人からすると「単なる甘えじゃないのか?」「そんな些細なことで休むなんて…」と感じてしまうかもしれません。

しかし、内容はどうあれ、お子さんの等身大の気持ちでは「我慢の限界」に達していることは間違いないのです。
「無理矢理学校に行かせる」という行為は、この「我慢の限界」を強制的に延長させる、という行為と同じことになります。お子さんに対するフォローや救いになっていないことは明らかです。

2. 登校しないことを責める・怒る

不登校になったお子さんに「何で学校に行かないの?」「学校は行かないとダメでしょ!」と、責めたり怒ったりすることも逆効果です。
前述したとおり、「学校を休みたい理由」をそもそも誰にも相談していない子が42%もいます。これは裏返して考えると「誰にも相談できない」ともとれます。
特に、第二次反抗期に入っている中学生の場合、親に理由を素直に打ち明けてくれないことも十分考えられます。
まずは、お子さんの気持ちにより添い、お子さんなりの「学校に行きたくない理由」に耳を傾けましょう。それを理解せずに、「学校に行け」と頭ごなしに責める・怒る・問いただすということは、お子さんをさらに追い詰めてしまうことになりかねません。

3. 今の学校への登校にこだわる

不登校の原因が、「友人との関係」「いじめ」「担任との相性」などの場合は、転校を検討することも手段の一つです。
また、高校受験での内申書(調査書)における出席日数が心配であれば、教育支援センター(適応指導教室)やICTを活用することで出席扱いにできる方法もあります。(※こちらについては、この後に詳しく解説しています)

とにかく、今の学校への登校に、殊更こだわる必要はありません。
在籍する学校の生徒や先生との人間関係が、不登校の原因となっている場合、原因となっていた接し方や態度が改善されたとしても、「なんか気まずいな」「内心はどう思っているんだろう…」と気にしてしまうこともあります。
お子さん本人の意思が一番大切ですが、復学を希望していないようであれば、迷わず他の手段を選ぶと良いでしょう。
「今の学校にもう戻らなくていいんだ!」ということだけで、お子さんのストレスが軽減されるケースも多々あります。

4.子どもとの距離を置く、避ける

お子さんは、不登校に至るまでの間、不安や葛藤を抱えながらつらい日々を過ごしています。このような状況下では、家族からの温かい支えが一番のよりどころとなります。
もし、お子さんが暗い表情を見せていたり、悩みを抱え込んでいるような様子があったら、家族の方が迷わず話しを聞いて寄り添ってあげることが大切です。
普段から家族が一緒に過ごす時間を設け、気軽に会話できるようにしましょう。

特に、思春期や反抗期のお子さんの場合、親御さんは腫れ物に触るかのように接してしまい、結果的に距離を置く、避けるといったことになることがあります。これにより、お子さんはさらに悩みを1人で抱え込んでしまい、状況がさらに悪化していくことになります。
「ほっといた方が良い」「本人が話しかけてくるまで待とう」という考えよりも、短い時間でも会話するなどのコミュニケーション回数を増やし、お子さんとの距離を縮めていくことが大切です。

メンタルケアの充実

1. ゆっくり休ませる

文部科学省によるアンケートでは、「学校を休んでいる間の気持ち」について「ほっとした・楽な気持ちだった」と回答した中学生は69%、「自由な時間が増えてうれしかった」と回答した中学生は66%とのことです。
お子さんは、不登校に至るまでの一定期間を「学校に行きたくない」という気持ちと闘ってきたことが分かります。また、「欠席時の子どもの状況」についてのアンケートでは、約半数が「極度に落ち込んだり、悩んだりしていた」「原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱などがあった」という症状が見られたということです。
ですから、弱り切っている体と精神を休めるためにも、まずはゆっくりと休息を取らせてあげることが大切です。

「学校に行かなくては…」という悩みから解放されることで、気持ちが楽になり睡眠をしっかり取れるようになることもあります。体調を整え、気持ちを整えることで、表情が明るくなったり、本来のお子さんに戻れることもあるでしょう。

2. 自分の好きなことをする

リラックスできる時間を過ごすために、自分の趣味や好きなことをやってみることも良いでしょう。読書をしたり、好きなアニメを見たり、なるべく激しい行動は避け、ゆっくり気分転換できることを選ぶと良いでしょう。
また、何もしない時間が多過ぎると、嫌なことをつい思い出してしまいがちです。やり過ぎは禁物ですが、何かに没頭している時間は充実感を感じることができ、嫌なことも忘れてしまうことがあり、リフレッシュすることができます。

好きなことだけではなく、家事のお手伝いや料理のお手伝いなども良いでしょう。頼む時は「家にいるんだから、これくらい自分でやりなさいよ!」といった強制的な言い方ではなく、「ちょっとこれ手伝ってくれたら助かる〜!」「一緒にやってみない?」といった気軽な感じ(遊び気分)で話してみると良いでしょう。

3. 生活リズムを崩さない

不登校の状態が長くなると、徐々に起床時間が遅くなりがちになります。
少し寝坊したからといって遅刻することもないので、少しずつルーズになっていきます。
起床時間が遅くなると、同時に就寝時間も遅くなりがちです。エスカレートしてしまうと昼夜逆転してしまい、体調やメンタル面も不安定になります。加えて、家族で顔を合わせる機会が減ってしまい、コミュニケーションの量が極端に少なくなってしまいます。この状況は、不登校のお子さんとって非常に悪い環境となります。

生活のリズムを整えるために、「平日の起床時間を決めておく」「朝ご飯は家族で一緒に食べる(一緒に作る)」「就寝時間を決めておく」といったことなどで、生活のリズムを維持する工夫をしましょう。
私たちの経験上のオススメは、「起床時間を決めておく」ことです。早い時間に起きていれば、自然と夜には眠くなって寝てしまうので、無理なく生活リズムを整えやすくなります!

親の心構えとサポート

「休んでも大丈夫だよ」と伝える

不登校になりそう、または、なっているお子さんに対して、「学校を休んでも大丈夫だよ」と伝えてあげましょう。
親御さんの世代では「学校を休むことはいけないこと」という価値観で育ってきた方が多く、この一言がなかなか言えない方も多いようです。

文部科学省による「学校を多く休んだことに対する感想」についてのアンケートでは、「もっと登校すればよかったと思っている」「しかたがなかったと思う」と答えた中学生は計45%であったことに対し、「登校しなかったことは自分にとってよかったと思う」と答えたのは、わずか10%でした。
このことから、お子さんは、不登校になった自分に対して何らかの自責の念や後悔を感じている可能性があります。その想いが強くなりすぎると、「不登校になっている自分はダメな人間なんだ…」といった劣等感や自己肯定感の低下につながってしまうことがあります。

親御さんからの「休んでも大丈夫なんだよ」という一言が、そういったお子さんの気持ちを和らげることになり、傷つき弱り切った心を楽にしてあげられるでしょう。

努力や頑張りを認めてあげる

お子さんが不登校に至るまでの間、「学校に行きたくない」気持ちと精一杯闘ってきたこと、苦しいけど限界まで我慢してきたこと、を理解してあげ、まずはそこに対してのねぎらいの言葉をかけてあげましょう。
「不登校になった」という結果だけに焦点をあててしまい、責めたり怒ったりすることは、これまでお子さんなりに頑張ってきた気持ちをさらに傷つけることになります。
家族として、親として、「ここまでよく耐えてきたね、よく頑張ったね」「勇気を出して打ち明けてくれたんだね、ありがとう」という、労いの言葉をかけてあげることが、我慢してきたお子さんにとって「一番救われる言葉」となるのです。

「不登校になった結果」ではなく、「不登校に至るまでの頑張り」に焦点を向けることで、お子さんの頑張りや我慢、つらい気持ちに気付くことができ、親子の関係にとっても良い影響となるでしょう。

子どもの話をよく聞いてあげる

お子さんは、長い間悩みに悩んだ末、不登校に至っています。
表面的には悩んでいるように見えなかったとしても、心の中では必ず大きな傷や悩みを抱えていると考えてください。
もし、お子さんが「学校に行きたくない」と打ち明けてきたら、まずはお子さんの気持ちをゆっくり、肯定的に聞いてあげてください。どんな表情・話し方であっても、この時のお子さんは決死の覚悟でSOSを送っていると考えてください。

軽く受け流すように聞いたり、お子さんの話に対して自分の考えを頭ごなしにぶつけたりすることは避けましょう。例えば、「はっきり言いなさい!」「それは間違っているよ」といった、否定したり問い詰めるような言葉がけです。「お子さんは今弱りきっている、追い詰められている」ということを認識しましょう。

お子さんの話すことは、大人目線で考えると「甘え」や「都合がよい」という風に聞こえてしまうこともあるかもしれません。
しかし、お子さんの気持ちや感じたことは、等身大の「本当の気持ち」なのです。
今勇気を振り絞って、その気持ちを親に伝えにきていることを理解してあげ、言葉通り「親身になって」耳を傾けてあげてください

お子さんは、自分の気持ちをうまく表現できない、うまく言葉にできないこともあるかと思います。打ち明けたいことをゆっくり丁寧に引き出してあげ、お子さんの気持ちを理解し共感してあげることを最優先に考えましょう。

家族で過ごす時間をつくる

不登校になると、どうしても他者とのコミュニケーション不足になりがちです。
外の世界との接点が少なくなると、殻に閉じこもりやすくなり、視野も狭くなってしまいます。
そこで、家族と過ごす時間がとても大切になります
お子さんが不登校になった時は、これまで以上に家族で過ごす時間を増やすように心掛けましょう。

家族みんなで、映画やテレビ番組を観ながらワイワイ話したり、休日には少し遠出して遊びに行ってみるのも良いでしょう。
また、DIYで何かを作ってみたり、キャンプに行ったり、BBQをするなど、家族での共同作業やイベントなども意識的に増やすことも良いでしょう。

家族で楽しい時間を過ごすことが、お子さんの傷を癒やすことにもなりますし、親子関係も良くなり、お子さんも本音で話してくれやすくなるはずです。

不登校になった中学生の高校受験

不登校でも高校に進学できる?

中学生のお子さんが不登校になった場合、「高校受験はどうすれば良いのだろうか?」「ちゃんと高校に進学できるのだろうか?」と、不安になる方は多いのではないでしょうか?
不登校のお子さんが高校受験をする際は、まず「高校の種類」を把握するところから始めましょう。高校には様々な種類があり、不登校の生徒を積極的に受け入れている高校も沢山あります。

不登校でも受け入れている高校

公立高校(全日制)

全日制の公立高校の場合、「学力試験+調査書」の結果で合否を決める高校がほとんどです。
調査書(内申書)の点数は、主に通知表の成績を基に点数がつけられますが、それとは別に、一般的な公立高校の場合「欠席日数の多い生徒は審議の対象とする」とされています。基準となる欠席日数は高校ごとに異なりますが、審議の対象となると高校受験では不利な要素となります。そのため、不登校の生徒さんが全日制の公立高校を受験する上では、欠席日数に対しての対策が必要となります。
(ただし、令和5年以降、東京都や神奈川県など、調査書に出席日数の記載項目が無い形式に変更された地域もあります。)

1. 「不登校枠」を利用する

都道府県ごとに「不登校枠」という制度を設けていることがあります。これは、「自己申告書」というものを高校に提出して、欠席理由を説明することにより、特別な配慮(欠席日数が不利に働きづらくなる)をしてくれるという制度です。
ただし、「不登校枠」と言っても不登校の生徒用に別で合格の枠を用意しているわけではなく、あくまで不利になりづらくなるというだけです。また、各都道府県ごとの制度なので、お住まいの地域の制度を確認する必要があります。

参照:
東京都「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱の細目」第1-3 自己申告書の提出
埼玉県「令和6年度埼玉県公立高等学校入学者選抜 不登校特別選抜について」

2. 調査書の「特記事項」を記載してもらう

調査書には「特記事項」という項目があり、そこに欠席日数に対する理由を記載してもらうことも一つです。例えば、「中学校の後半は登校できるようになってきており、高校での登校は可能であると思われる」などです。
ただし、「特記事項」を記載するかどうかは、最終的には中学校の先生の判断となります。

私立高校(全日制)

一般的に、公立高校に比べると私立高校では調査書をあまり重んじないとされています。
私立高校は学校ごとに募集要項が異なるため、不登校であることが受験で不利にならない学校を選んで受験することができます。いわゆる「オープン入試」では、内申点(調査書)をほとんど考慮せず、学力試験のみで合否を決定します。
また、オープン入試ほどではないが、学力試験をかなり重視するという学校も私立高校の場合は多く見られます。

通信制高校

通信制高校は、「スクーリング」と呼ばれる学校から定められた日だけ登校するというスタイルの高校です。
受験では、学力検査が無く「書類選考+面接」ということが一般的です。通信制高校の場合は、不登校を経験した生徒を積極的に受け入れている学校も多く、不登校であることが受験においてマイナスに評価されることが無いので、有力な候補の1つとなります。

定時制高校

定時制高校は、通信制高校とは異なり、毎日学校に登校します。全日制高校との違いは、「登校の時間帯が夕方〜夜にかけてが多いこと」と「授業時間が4時間程度と短いことが多い」という点です。
受験では、「学力試験+面接」を行う所が多いのですが、学力試験の結果はあまり重視しない学校が多いです。定時制高校も、不登校を経験した生徒を広く受け入れている学校なので、有力な候補の1つとなります。

チャレンジスクール・エンカレッジスクール

チャレンジスクール

チャレンジスクールは、「定時制でかつ単位制」となっており、不登校を経験した生徒や、高校を中退した生徒を対象にしている公立高校です。
受験の制度としては、学力試験は無く、内申書も見られません。「作文+面接」が基本で「志願申告書」という書類を提出することで審査が行われます。
「チャレンジスクール」は東京都にしか無いのですが、埼玉県の「パレットスクール」や神奈川県の「フロンティアスクール」など、他の都道府県にも同様の高校が存在するので、お住まいの地域で確認してみてください。

エンカレッジスクール

エンカレッジスクールは、チャレンジスクールとは異なり「全日制でかつ学年制」となっている高校です。
受験の制度としては、学力試験は無く、「作文+面接+調査書」となっており、調査書が見られる点がチャレンジスクールとは異なります。しかし、不登校であることがマイナスに働くことはないです。
「エンカレッジスクール」も東京都にある学校ですが、神奈川県の「クリエイティブスクール」や千葉県の「地域連携アクティブスクール」など、他の都道府県でも同様の高校があります。

不登校のお子さん向けの高校についてもっと知りたい方はこちら
「不登校からの高校受験|高校選びから内申書の対策までを徹底解説」

調査書(内申点)について

調査書とは?

調査書(内申書とも呼ばれます)は、生徒の学力や学習態度、学校での活動などを学校の先生が総合的に評価し、受験する高校へ提出される書類です。調査書自体は生徒本人や保護者の方には公開されません。
進学先の高校が入学を受け入れる際に、生徒の判断材料として利用されます。

この調査書は高校受験の合否に大きく影響します。
影響する割合は、学校ごとや入試のスタイル(一般入試or推薦入試)によって異なりますが、多くの場合約30〜50%程度です。
学力検査(テスト)以前に、調査書(内申点)の評価によって志望校の選択肢がある程度決まっていると言っても過言ではありません。

調査書の仕組み

調査書では、各科目の成績や授業態度、出席状況、学校での活動記録などを総合的な評価がなされます。
具体的には、1. 基本情報 2. 各教科の学習記録 3. 学習時間(出欠)の記録 4. 特別活動の記録(学校行事、生徒会・部活動など)5. 行動の記録 6. 総合的な学習の記録 の6項目に分けて評価されています。

成績だけでなく、生徒の授業態度、出席日数、校内外での活動なども評価の対象となります。ただし、これらは高校受験において均等に評価されるわけではありません。上記6項目の中でも「2. 各教科の学習記録(内申点)」が最も重視されます。
また、不登校のお子さん場合、「3. 学習時間(出欠)の記録」も気にされることが多いでしょう。

「各教科の学習記録」について

「各教科の学習記録」は、受験においては最も重要な項目です。
「各教科の学習記録」には、「評定」「観点評価」という2つの項目があります。
「評定」項目については、通知表と同じように9科目すべてが5段階で評価されます。この9教科の評定が「内申点」に最も大きく影響しています。これは平たく言えば「通知表の5段階の成績」と考えてください。
「観点評価」項目については、1. 知識・技能 2. 思考・判断・表現 3. 主体的に学習に取り組む態度 の3つの観点から9科目すべてをA・B・C評価で記載されます。

不登校のお子さんの場合、「評定」については定期テストを全く受けていない状態だと、受験では不利になります。また、授業を受けていないことで「観点別評価」にも影響は出てしまいます。
ですから、「定期テストだけは受けに行く」「別室登校などでできるだけ授業を受けるようにする」などを検討することが必要です。また、詳細は後述しますが、ICTを活用した学習を行えば、学校成績にも反映されるので有効な手段となります。
担任の先生やスクールカウンセラーと早期に相談し、様々な対応方法を検討することをお勧めします。

「学習時間(出欠)の記録」について

この項目には欠席日数とその理由が記載されます。年間で10日以上の欠席がある場合はその主な理由が記載されます。
ただし、私立高校の推薦入試では、欠席日数が条件になっている高校もあるので確認が必要です。

欠席日数は「各教科の学習記録」ほど重視される項目ではありませんが、出席日数が十分であることに越したことはありません。
詳細は後述しますが、不登校のお子さんの場合、「教育支援センター(適応指導教室)」「ICT等を活用した学習活動」「フリースクール」を利用することで、一定の条件を満たせば「出席扱い」にすることができることがあります。
担任の先生やスクールカウンセラーと早期に相談し、可能な対応方法を検討することをお勧めします。

志望校の試験方法を調べる

高校受験では調査書の成績が大きく影響しますが、入試のスタイルによってその影響度に強弱があります。
例えば、私立高校の一般入試では学力検査(入試テスト)での点数でほとんど合否を判定し、調査書はあまり影響しない学校も多くあります。
また、通信制高校定時制高校などは出席日数をあまり加味しない高校も多くあります。
学校ごとに内容は異なるので、事前に募集要項を調べ、志望校を決めると良いでしょう。志望校選択についても、学校の先生と連携をとって進めた方がスムーズです。

調査書(内申書)についてもっと知りたい方はこちら
「調査書(内申書)について徹底解説!|高校受験に向けて正しく理解しましょう!」

外部との連携

お子さんが不登校になった場合、家族だけで全てを対応・解決するのではなく、外部と連携しながら解決をはかることも、有力な方法です。
専門家の意見や支援を受けることで、よりスムーズに進めることが期待できます。

担任の先生やスクールカウンセラーとの連携

不登校になった場合は、学校の担任やスクールカウンセラー(スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカー)と相談しましょう。
学校生活でのお子さんの様子や学習状況を聞くことで、本人の話とは違った視点での情報を知ることができ、客観的に状況を把握することができます。
また、復学へ向けた方向性なども、専門家の意見を取り入れることで、よりスムーズになります。

また、中学生で不登校になると、学習面の遅れや進路(高校受験や内申書)のことがどうしても心配になります。
お子さんの意思にもよりますが、保健室登校(別室登校)、教育支援センターの利用、ICTを活用した学習方法の検討、不登校特例校への転校、なども視野に入れて、早期に相談してみましょう。具体的なアドバイスや新たな解決策を見いだせるかもしれません。

不登校支援をしている公的機関に相談する

各都道府県や市町村には、不登校のお子さんを支援している公的機関があり、学校以外での相談窓口として無料で利用できます。
各機関には不登校に詳しい専門家が在籍しており、お子さんの状況に合ったアドバイスや支援を受けることができます。

子育て相談窓口 全国の市区町村に設置されている相談窓口です。お住まいの市役所や区役所にてご確認ください。
子育て全般について相談を受けており、不登校についての相談もできます。
教育支援センター(適応指導教室)教育委員会等が運営する公的機関です。
不登校の児童が学校に通わなくても学習できる環境の支援、児童や保護者との教育相談、心理カウンセラーによる面談等を提供しています。市の施設など、公の建物の中にあることが多く、利用料は無料です。
児童相談所
児童相談センター
児童家庭支援センター
厚生労働省が運営する公的機関です。
18歳未満の子どもやそのご家族を対象として、子育てやしつけの悩み、不登校、発達障害、子どもの行動上の問題などについて相談することができます。
ひきこもり地域支援センターすべての都道府県・指定都市にある、行政が運営するひきこもりに特化した相談窓口です。(NPO法人などに委託しているケースもあります。)
ひきこもり本人やご家族からの相談を受け付け、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって相談支援などを行います。

親のグループやコミュニティ(民営)への参加

専門的な相談ではなく、不登校から生じる不安や将来への心配事などを気兼ねなく話し合う場として、民間の団体があります。ただし、有料であることがほとんどなので、参加する際には確認が必要です。

不登校の親の会 全国の民営団体やNPO法人が運営している「親の会」です。有料である団体がほとんどで、検討の際は確認が必要です。
不登校のお子さんを持つ親御さんが集まり、情報交換やお悩み相談などが行われています。
専門的なカウンセリングというよりは、同じ境遇の親御さん同士で繋がり、気兼ねなく話し合う場として利用されています。

不登校の学習支援|学びの継続のために

中学生で不登校になった場合、やはり気になるのは「学習面の遅れ」と「高校受験(内申書)への影響」です。これらについて、親御さんが心配することは勿論ですが、お子さん本人も同じ不安を抱えています。
文部科学省による「学校を休んでいる間の気持ち」に関するアンケートでは、「勉強の遅れに対する不安があった」と回答した中学生は74%、「進路・進学に対する不安があった」と回答した中学生は69%、となっています。

通学しないことにより授業から取り残されてしまい、勉強が少しずつ遅れてしまいがちになります。そして、学力が停滞することで「このままでは受験できない…」といった不安へと発展します。
また、欠席日数が増えることで「調査書(内申書)」への影響を心配する方も多いです。

調査書(内申書)についてもっと知りたい方はこちら
「調査書(内申書)について徹底解説!|高校受験に向けて正しく理解しましょう!」

学習面や将来の受験のために、不登校時の学習環境を整えていくことが重要な課題となります。

教育支援センター(適応指導教室)

教育支援センター(適応指導教室)では、教育相談やカウンセリングを受け付けているだけではなく、お子さんの学習支援も行っています。教育委員会が運営する公的機関なので、無料で利用できます。
教育支援センターでは、基本的にお子さんの好きなことをして過ごしますが、毎日学習する時間も確保されており、お子さんに合わせたカリキュラムに沿って、個別指導または自主学習で進められます。
また、教育支援センターは、在籍する学校と連携を取りながら様々な学習支援等を行っています。主な活動としては、下記のような内容があります。

参照:文部科学省「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果

また、大きなメリットとしてあげられるのが、教育支援センターに通うことで一定の条件を満たせば「出席扱い」になる点です。(※ただし、教育支援センターは学校ではないので、卒業資格は得られません。)
一定の条件とは、以下の通りです。

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  2. 当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること

利用を検討されている方は、まず学校の先生やスクールカウンセラーに相談してみましょう。

ICTの活用

学習における「ICT」とは、パソコンやタブレットなどのデジタル機器を用い、インターネットを介して学習する方法のことです。(※その他、電子黒板、プロジェクタ、eラーニング、デジタル教科書、学習用ソフトウェアなども含まれます。)
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」では、義務教育を受ける児童生徒のために「1人1台の学習者用PC」と「高速ネットワーク環境」などを整備することを5年間の計画で進めており、コロナ禍からその普及が加速しています。

文部科学省では、

“ 小・中学校段階の不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行う場合、在籍校の校長は、一定の要件を満たす場合に、指導要録上出席扱いとすること、及びその学習成果を評価に反映することができる。”

としています。

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  • 訪問等による対面指導が適切に行われること
  • 計画的な学習プログラムであること
  • 校長が対面指導や学習活動の状況等について十分に把握すること
  • 基本的に学校外の公的機関等で相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること
  • 当該学習の計画や内容が、その学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること

などの一定条件が満たされていれば、「出席扱い」として認められ、さらに学校の成績にも反映されます。
「自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」は、元から増加傾向にありましたが、令和2年のコロナ禍で一気に増加しました。


■ ICT等を活用した学習活動を「出席扱い」とした中学生生徒数の推移[直近7年]

ICTを利用した学習を希望する際には、在籍する学校の先生やスクールカウンセラー、教育支援センターの相談員と具体的にどのような方法が可能かを相談してみましょう。

参照:
「遠隔教育の推進に向けた施策方針」
「不登校に関する基礎資料」

不登校特例校

不登校特例校とは、学校に行きづらい児童生徒のために、通常の学校より授業時間数が少ないなど、柔軟に学ぶことができる学校(小・中・高等学校等)のことです。
令和5年2月時点では、全国で24校(公立14校、私立10校)しかありませんが、将来的には希望する児童生徒が居住地によらず通えるよう、分教室型も含め全国300校を目指して、行政による積極的な促進がなされています。

不登校特例校の学習カリキュラムでは、年間の総授業時間数を750〜770時間としており、体験型の学習や校外学習、コミュニケーション能力の向上を目指す授業、一人ひとりの学力を考慮して学習する、など、不登校の子どもたちに配慮した様々な工夫が各学校毎になされています。

不登校特例校は、正式に文部科学大臣から指定を受けた学校なので、現在在籍している学校から転校(編入)することができ、出席していれば、通常の学校と同じように出席扱いとなり、また「卒業」も正式に認められます。つまり、将来的にはそのまま一般の高校へ進学することも可能です。

ただし、不登校特例校に入学するためには、一定の条件をクリアする必要があります。
文部科学省では、

“児童生徒について,不登校状態であるか否かは,小学校又は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの参考となり得ると考えられるが,その判断は小学校等又はその管理機関が行うこととし,例えば断続的な不登校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る。”

としています。

つまり、不登校特例校に入学(編入)できるかどうかは、最終的に各学校や教育委員会の判断に委ねられます。入学を検討されている方は、通っている学校やお住まいの地域の教育委員会に相談してみましょう。

フリースクール

フリースクールとは、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間(NPO法人やボランティア団体、個人)の施設のことです。簡単に言えば、不登校用の塾のようなものです。
その規模や活動内容は多種多様ですが、概ね教育支援センターと似通った内容です。
フリースクールは、民間施設(学習塾のようなもの)なので有料です。料金体系は様々ですが、入会金は10,000円〜50,000円程度、月額費用は10,000円〜50,000円程度が一般的です。詳しくは各団体のホームページでご確認ください。
フリースクールには入学資格などが無いので、基本的には誰でも入会できます。
基本的には、決まったカリキュラムや時間割などが無く、その日に何をするか(遊びなども含む)は、お子さん本人が自由に選択するような仕組みです。
主な活動内容は、以下の通りです。(※教育支援センターとほぼ同様です。)

※複数回答あり、計351団体・施設の割合

参照:文部科学省「民間の団体・施設との連携等に関する実態調査」

フリースクールは学校ではないので「卒業資格」は得られませんが、教育支援センターと同様、一定の条件を満たせば「出席扱い」にできることもあります。
条件の概要は以下の通りです。

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  2. フリースクールにおける相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であること
  3. 当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること
  4. フリースクールにおける学習計画や内容が、学校の教育課程に照らし適切であること

これらの条件を元に、最終的には学校の校長と教育委員会が判断することになっています。
フリースクールを検討されている方は、まず、学校の先生やスクールカウンセラーに「出席扱い」になるかどうかも含めて相談しましょう。

家庭教師をつける

不登校のお子さんの場合、外出を避けたがる傾向が強くなります。その点、家庭教師の場合は「自宅まで先生が通ってきてくれる」ので、不登校のお子さんの学習に適しています。
また、家庭教師は1対1で指導が行われるので、周りの目を気にせず勉強できることに加え、お子さん一人ひとりの学力や学習状況に合わせてカリキュラムを組むことができます。不登校により遅れてしまった科目や単元にさかのぼって指導することもできます。
これは受験対策の勉強においても同様です。家庭教師であれば、各学年各科目、苦手な分野やわからない問題、お子さんの志望校に合わせた勉強に対して、すべてをお子さんだけに合わせたカリキュラムで教えることができます。

加えて、大学生の家庭教師であれば、お子さんのお兄さん・お姉さんのような存在として、勉強面だけではなくプライベートの面(趣味や遊びの相手、話し相手)でも良き相談者になってくれるメリットがあります。
勉強ばかりではなく、時には一緒に話題のスイーツを食べに行ったり、一緒に洋服を見に行ったり、話題の映画を観に行ったり、と塞ぎ込みがちなお子さんの生活に彩りを加えてくれることが期待できます。
また、高校生活や大学生活についてリアルな話しを聞くこともでき、将来の目標や夢を見いだすキッカケになることもあります。
家庭教師は、他者とのつながりが希薄になりがちな不登校のお子さんの精神面での大きなサポートが期待できます。

もっと知りたい方はこちら
【不登校コース】について

塾に通うことも選択肢の一つですが、近くの塾では、同じ学校の生徒(顔見知り)が多く在籍しており、特に学校での人間関係が原因で不登校になっている場合は、あまり適していません。また、ほとんどの塾は学校の授業を受けている前提で授業を進めるため、不登校のお子さんには合わない可能性があります。

まとめ

中学生で不登校になると、高校受験や勉強の遅れについての心配があり、お子さんも親御さんも不安が多いと思います。
しかしながら、正しい知識と対応策により改善できることも多くあります。
まずはお子さんのメンタル面や体調の回復が最優先ですが、先々のことを考えて対応していくことも大切です。
家庭教師のマスターでは、不登校になった中学生への学習フォローも行っています。ご相談だけでも構わないので、心配事がありましたら気軽にご連絡ください。

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【不登校コース】について

この記事を企画・執筆・監修した人

家庭教師のマスター教務部

この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
家庭教師のマスターでは、家庭教師・受験・不登校・発達障害・学習方法・学校情報・教育・子育てをテーマに、お役に立ち情報を発信しています。

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