発達障害の中学生の特徴と支援法

公開日:2024年3月7日

親御さん世代にとっては「発達障害」という言葉に馴染みがなく、お子さんが発達障害の傾向にあると、強い不安や焦りを感じる方が多いかもしれません。しかし、発達障害は正しい知識と適切な支援を行えば、徐々に改善できます。
本コラムでは、発達障害をもつ中学生の特徴と支援の方法を詳しく解説します。中学生は反抗期も伴う為、お子さんへの接し方や支援方法が非常に大切です。そこで、親御さんが知っておきたい症状の特徴やその対応策をまとめました。また、高校受験に向けて「どのように学習環境を整えればよいの?」「高校進学の際の選択肢について」なども詳しくご紹介しています。

発達障害とは?

発達障害には、

  1. ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)
  2. ADHD(注意欠如多動症)
  3. LD・SLD(限局性学習症)
  4. 境界知能
  5. グレーソーン

といったように、いくつかのタイプに分類されます。

ただし、1人のお子さんが複数のタイプに分類されることも多く、明確な境界線はほとんどありません
例えば、ADHDの特徴と読字障害(LD)の特徴が併発しているといったようなケースが一般的です。
ですので、発達障害の傾向が強い中学生の場合、お子さんの特性を正しく把握し、学習の中でどのような困難があるのかを見極めることが非常に重要です。
「適切な学習方法」が提供されることによって、問題なく学校生活を送り、高校進学ができる子も多いため、的確な対応が必要です。

発達障害の種類と特徴

1. ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)

ASDは「自閉スペクトラム症」と「アスペルガー症候群」の2つの症状があります。これらの症状を持つお子さんは、中学校生活において、集団行動や同級生とのコミュニケーションに困難を抱えやすい傾向があります。特に中学生になると部活動や課外活動などで集団行動が増えるため、トラブルや困難を抱えることが多くなります。

自閉スペクトラム症

ASDのお子さんの中でも「自閉症の傾向」があるお子さんは、自分の話ばかりを続けたり、相手の話を遮ってまで自分の話をすることがあります。これは、「相手の心情を理解することが難しい」ために起こる行動です。また、特定の事柄に対するこだわりが強く、予定やルールの変更に敏感で、イライラしたり強いストレスを感じることがあります。

アスペルガー症候群

ASDの中でも「アスペルガーの傾向」があるお子さんは、表情や仕草といった非言語的なコミュニケーションを苦手としています。具体的には言葉の裏の意味を理解するのが苦手で、相手の冗談をそのまま受け取ってしまい、同級生とトラブルになることもあります。

ASDの特徴まとめ

集団行動が苦手でストレスを感じやすい
相手の心情を理解することが苦手
非言語的なコミュニケーションが苦手で同級生とトラブルになりやすい

2. ADHD(注意欠如多動症)

ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動的な行動」の3つの特徴が挙げられます。

「不注意」

「不注意」は細かいことに注意が行き届かず、「ケアレスミスが多い」「集中力が持続しない」「忘れ物や落とし物をよくしてしまう」などの特徴が一般的です。
中学生になると、ノート提出やワーク提出などの提出期限が定められる課題が増えるため、提出期限を守れないなどの困難が生じやすくなります。

「多動性」

「多動性」は「一つのことに集中できない」「貧乏ゆすりなどの細かい動きが止まらない」などの特徴が一般的です。
中学生になると、授業に集中できず大事な内容を聞き逃したり、テスト勉強に集中できずに十分なテスト対策ができないという困難を経験しやすくなります。

「衝動的な行動」

「衝動的な行動」とは、「カッとなって友達や先生に暴言を吐いてしまう」「感情的になると家や学校のもの(壁など)を殴りつけて壊してしまう」といった特徴が一般的です。
学校生活では同級生とのケンカやトラブルが起こりやすくなり、学校外では非行に走りやすい傾向があります。また、学校の物を壊してしまった結果、調査書(内申)に影響が及ぶ可能性もあるので注意が必要です。

ADHDの特徴まとめ

ケアレスミスが多く、提出物の期限を守ることが苦手(不注意)
集中力が続かず授業で大事なことを聞き逃してしまう(多動性)
衝動的な行動が多く学校内外問わずトラブルを起こしてしまう(衝動的)

3. LD・SLD(限局性学習症)

LD・SLDは、学習分野で困難が生じる発達障害です。
具体的には「読字障害」「書字障害」「算数障害」の3種類があります。

「読字障害」

「読字障害」は、知的な遅れはないにも関わらず、文章の読解が極端に苦手といった特徴があります。読字障害のある中学生は、数学の文章題や英単語の暗記、複雑な漢字を覚えることが非常に苦手という症状が見られます。具体的な学習面では、英文読解や数学の応用問題(文章題)に困難を示すことがあります。

「書字障害」

「書字障害」は、文字の書き取りや作文に困難が生じるという特徴があります。例えば、アルファベットの「b」と「d」や「p」と「q」といった形の似た文字を何度も書き間違えるなどの症状が見られます。具体的な学習面では、作文や数学の証明問題などで困難を示すことがあります。

「算数障害」

「算数障害」は、コミュニケーション能力や他の科目に問題がない一方で、数学の能力(計算)のみが極端に苦手な特徴があります。
例えば、「中学生になっても分数や小数が苦手」、「+(プラス)や-(マイナス)といった正負の符号を頻繁に間違える」などの症状が見られます。具体的な学習面では、数学のテストで特に低い点数を取ってしまったり、何度教わっても分数や小数が理解できないといった困難を示すことがあります。

LD・SLDの特徴|まとめ

英単語を覚えたり数学の文章題が苦手(読字障害)
似た形のアルファベットを何度も書き間違えてしまう(書字障害)
計算がとても苦手で、分数や小数や正負の数でつまづいている(算数障害)

4. 境界知能

「境界知能」とは、同年齢の子供の7〜8割に位置する知能指数(IQ)を持つお子さんを指します。
一般的な中学生の平均IQは90〜110程度ですが、境界知能のお子さんのIQは70〜84に該当すると言われています。
境界知能に分類されるお子さんは思ったよりも多く、クラスの約14%(約7人に1人)が該当するとされています。
IQが平均よりも低いため、学習面においてさまざまな困難が生じることがあります。
境界知能に分類される中学生には、学習方法を工夫することによって成績を伸ばすことが可能です。例えば、定期テストで平均点に届かないお子さんであれば、テストに出やすい範囲のポイントを絞って学習するなど、お子さんの特性に合わせた効果的な学習方法を見つけることが非常に重要です。

5. グレーゾーン

「グレーゾーン」とは、発達障害に近い行動や特徴が見られるお子さんのことを指します。
一般的には発達障害と診断されたお子さんに比べて、学校内での困難が少ないように思われますが、実際は非常に苦労することが多いです。なぜなら特定の診断名(ADHDなど)がつかないため、支援が受けづらかったり、学校でのフォローの優先度も低くなってしまうからです。
グレーゾーンに分類される中学生のお子さんをお持ちの親御さんは、お子さんがどのような特性があるのかを正しく認識し、適切な学習法や支援法を確立することが非常に重要です。お子さんの学習に向かう姿勢を見て、「やる気がないだけじゃないか」と考えずに、特性を理解することで、結果的にお子さんの成長に繋がります。

中学生の発達障害の診断

発達障害の診断を行えるのは主に医療機関であり、その中でも小児科医、児童精神科医、小児神経科医、または発達外来での受診が一般的です。これらの医療機関は、大学病院や総合病院など地域の大きい病院に所属してます。

医療機関を受診するかどうか迷ったときは、発達障害の専門機関に相談することも選択肢の一つです。発達障害のお子さんのサポートに特化した相談機関であれば、お子さんやその家族にとって重要な情報や支援のヒントを得られる可能性が高いです。

簡易チェックポイント

「医療機関で診断を受けるのは少し抵抗がある」と感じる方は、簡易なチェックポイントを活用し、お子さんがどういった発達障害の傾向にあるかを確認することができます。ただし、これはあくまで医療的な診断ではないので、正確なお子さんの症状を知りたい方は医療機関に訪問し、医師の診断を受けましょう。

ASDのチェックリスト

周りの目をあまり気にせず、寝癖をつけたまま学校へ来てしまったり、制服のシャツをはみ出したまま着てしまう。
ひとりでいることが好きで、学校行事などの協調性を求められる活動を苦痛に感じる。
相手の感情を表情や雰囲気など非言語的なものから読み取ることが苦手
周りを気にせず、マイペースに行動してしまう
他人の心情を想像するのが苦手
急な予定変更が苦手で臨機応変に対応できない
順番や物の配置などのこだわりが強い
好きなものに没頭しやすく、なかなか切り替えができない
聴覚・触覚といった特定の刺激に過剰に反応してしまう

ADHDのチェックリスト

ゲームやスマートフォンを理性的に使用することが難しく、保護者に無断で課金をしてしまったり、際限なく利用してしまう。
定期テストや高校受験に向けて計画的に学習を進めることが苦手
先生からの説明や指示を聞き逃してしまい、テストの範囲や提出物の期限など大事な情報を把握できない
名前を書き忘れる、回答欄がずれる、記号で書くところに具体的な答えを書いてしまうなど、ケアレスミスが異常に多い
提出物や宿題を期限の直前までやらず、後回しにしてしまう
忘れ物や、落とし物が多い
怒りの感情をコントロールできず、トラブルを起こしてしまう
急に話しかけてしまう
その場に関係のない内容の質問をしてしまう

LD・SLDのチェックリスト

マイナスの概念の理解が難しく、正負の数からつまづいている
数学の文章問題が特に苦手で、何を求めればいいのかを読み取ることが難しい
分数や小数が中学生になってからも苦手
英単語を覚えるのがとても苦手
歴史の問題で答えはわかっても漢字を間違えてしまう
作文や感想文が苦手で箇条書きになってしまう
ノートを綺麗にとることができない

WISC検査

WISC検査とは、「言語理解」「知覚推理」「処理速度」「ワーキングメモリー」の4つの分野とIQ(知能指数)をスコア化する検査です。
お子さんの「得意分野」と「苦手分野」がスコア化され、保護者がお子さんの強みと弱みを正確に知ることができます。
このようにお子さんの特性を正確に把握することができれば、「効果的な学習の進め方」や「お子さんへの接し方の」的確なヒントを得られます。

WISC検査は、教育支援センターや児童相談所、学校などの公的機関、医療機関、民間のカウンセリングルームなどで検査可能です。ただし、必ず実施しているわけではありません。各都道府県に設置されている「発達障害者支援センター」から実施可能な機関の情報が提供されます。WISC検査は、約2,000〜4,000円程度の費用がかかり、所要時間は約2時間です。また、なかなか予約がとれないこともあるので、検査を検討している場合は早めに問い合わせた方が良いでしょう。

ただし、WISCの検査結果は、お子さんの発達上の特性や、強み・弱みを把握する上で非常に便利な手段ですが、その結果のみで発達障害の診断は確定しません。発達障害かどうかの正確な診断は、あくまで医療機関の医師が行うものなのでご注意ください。

発達障害の中学生への接し方

理解と共感の大切さ

発達障害の傾向が強い中学生と接する際、まず重要なのは本人の個性を尊重することです。「なぜそういった行動に至ったのか」を積極的に理解しようとし、共感する姿勢を持つことが非常に重要です。なぜなら中学生というのは非常に多感で、保護者への反抗もより一層強くなる時期だからです。そういった繊細な年頃でありながら、発達障害という学校生活上の困難を抱えるお子さんの個性を肯定し、受け止めることによって信頼関係が生まれ、親子の絆も強くなっていきます。

また、他の兄弟や自身の学生時代と比較するような発言は絶対に避けなければなりません。例えば、「自分が中学生のときはこんな点数を取らなかった」といった発言は、お子さんを深く傷つけてしまい、親子関係に大きな溝を生む原因になります。その結果、勉強に対する自信を失い、高校進学を諦めてしまう可能性もあります。ですので、本人の考えや個性を尊重し、自己肯定感を高めることが大切です。

反抗期のお子さんへのコミュニケーションの工夫

発達障害の傾向が強い中学生とのコミュニケーションにおいて、一番大切なのはお子さんを否定しないことです。
「どうしてこんなこともできないの!?」といった言葉で否定してしまうと、お子さんも反抗的な態度や発言をしてしまい、親子の衝突が頻繁に起こりやすくなってしまいます。また、そういった反抗的な態度の裏側では、お子さんは人格そのものを否定された気持ちになっており、指摘されたことに対して苦手意識が強まります。そうなると、ますます取り組む姿勢が消極的になり、その結果、以前より強く指摘され、更に苦手意識が強まる・・・といった悪循環に陥ってしまいます。
発達障害の傾向が強い中学生と接する際には、お子さんを信じ、少しの成長やわずかな変化でも褒めてあげることが非常に大切です。そうすることで、お子さんも自信を持てるようになり、次のステップに進みやすくなります。
もし家族内でそういった根気強い接し方や指導が難しい場合には、塾や家庭教師などの第三者に頼るのも一つの手段です。第三者であれば根気強くお子さんに接してくれるのでおすすめです。

得意なもので自信がつくように促す

発達障害の傾向が強い中学生は、得意なことと苦手なことが極端な傾向があります。苦手なことを周りの同級生と比べることで自信を失ってしまい、積極性や、やる気が無くなっていくこともあります。
苦手なことを克服することも重要ですが、得意なことを更に伸ばすことも非常に大切です。親御さんからお子さんに対して、どんな分野でもいいので得意なことを伸ばすよう促すことでお子さんの才能が開花することもあります。例えば、「野球は誰にも負けない」「ゲームは学校で一番上手い」「絵で賞をとった」といった成功体験があると、それが学校生活を送る上での精神的な拠りどころとなり、苦手なことを乗り越える力をお子さんに与えます

ただし、親の価値観で得意なことに制限をかけるのはおすすめしません。例えば、ゲームに対して「やっても意味がない」という考え方は避けるべきです。現在ではゲーム業界にプロやコーチングの職業があり、またゲームからプログラミングに興味を持つこともあります。
バランスを考慮しつつ、子供が得意なことを伸ばしていくようサポートし、その成長を見守っていくことが重要です。

中学生の発達障害への支援方法

学校との連携と個別支援計画(ISP)の作成

個別支援計画(ISP)とは、障害のあるお子さんに最適な教育と支援を提供するための計画です。特別な支援を必要とする生徒について、本人・保護者・学校・その他関係機関も含めた関係者で共通認識を持ち、情報共有をするために作成されます。
例えば、発達障害のある中学生は、学校以外で定期的に病院や放課後デイサービスに通い、療育を受けているお子さんもいます。そこでお子さんに合わせた個別の教育支援計画を作成し情報を共有することで、それぞれが同じ方針を持ちより効果的な支援をすることができます。検討している方は、まず学校の担任の先生にご相談下さい。

参照:文部科学省「参考1「個別の教育支援計画」について」

各種医療機関への相談

発達障害の治療やサポートにおいて、専門の医療機関に相談することでより効果的な支援方法が見つかることがあります。
発達障害かどうかの診断や判断には、お子さんの生育歴が重要な情報となります。相談したいことをあらかじめ整理し、「今お子さんのことで困っていることはどんなことか?」をまとめておくと、より効果的な診断やアドバイスを受けやすくなります。
持参する資料としては、母子手帳、小学校の通知表、中学で書いた作文、幼少時の様子を記録したビデオなどが有用です。WISC検査などの結果があれば合わせて持って行くと良いでしょう。

また、最近では「代理受診」という制度もあります。これは病院に行くことを拒否するお子さんの代わりに保護者が病院に行き、相談や診察を受けることができる制度です。医療機関で医師に相談に乗ってもらうことで保護者の負担も軽減され、お子さんへの接し方のヒントも得られるため、お子さんが受診を拒否したときは代理受診も検討してみる価値があります。

公的機関への相談

子さんに発達障害の傾向があると感じた場合は、まず、地域の発達障害者支援センターなどの公的な機関に相談することもおすすめです。
専門機関の相談窓口では、発達障害の診断に対応した近くの医療機関を紹介してくれることもあります。また、相談窓口で発達障害の専門家に相談することで、お子さんへの具体的な支援方法や正しい情報を知ることができます。

相談できる主な公的機関は以下の通りです。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターというのは、発達障害者とその家族に対し、発達障害に関する支援について相談に応じ、アドバイスを提供する公的な機関です。法令により各都道府県・指定都市に設置義務が課せられているため、どの都道府県に住んでいても相談が可能です。
発達障害支援センターでは知能テストや発達検査を通じて、日常生活において得意なことや不得意なことを確認し、課題と対応策を整理することができます。また、発達障害児の特性に応じた療育や教育、支援の具体的な方法について、支援計画の作成や助言を行うこともあります。

※全国の一覧はこちらから検索できます

児童発達支援センター

地域の発達障害の傾向が強いお子さんに対し、日常生活における基本的な動作の指導を行います。また将来的に自立できるよう、集団生活へ馴染めるように様々なサポートを提供してくれます。
福祉サービスを行う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療を行う「医療型」があります。具体的には放課後や休日に、施設に通い、生活能力の向上のための必要な訓練や、社会との交流の促進等を行います。最近では放課後デイサービスを併設している施設も増えており、より多様なサポートを受けることができます。

教育支援センター(教育相談所)

教育支援センター(適応指導教室)は、主に小中学校を長期で休んでいるお子さんのために、地域の教育委員会等が運営している公的機関です。
在籍している職員の多くは、教員免許や臨床心理士や社会福祉士などの資格を保有しており、発達障害の傾向が強いお子さんに対する指導経験や知識が豊富です。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが派遣される場合もあり、お子さんや保護者がカウンセリングを受けることもできます。
スケジュールやカリキュラムも、お子さんの特性にあわせて調整される場合が多く、少ない頻度から通い始め、徐々にペースを増やして行くことや、体調に合わせて午後から通うことなども可能です。
活動内容は施設によって異なります。主に、学習支援、社会体験、運動(スポーツ)、などが実施されることが多く、季節に応じた行事を取り入れている施設もあります。
学習支援に関しては、ほとんどの施設で個別指導が行われてます。
自習を主に行っている施設が多く、お子さんの特性に非常に合わせやすいので、発達障害の傾向が強く、学校のような集団授業だとうまく力を発揮できないお子さんにはおすすめです。

放課後デイサービスの活用

発達障害の中学生をサポートしていく上で、放課後デイサービスの利用も一つの方法です。
放課後デイサービスでは6歳〜18歳と幅広い年齢の障がいがある子どもを受け入れています。基本的な活動内容は、「自立支援と日常生活の充実のための活動」「創作活動」「地域交流の機会の提供」「余暇の提供」とされておりますが、近年では中高生向けのプログラムを提供している事業所も増えてきています。例えば、「高校受験に向けて面接の練習をする」「マナー講座を受ける」「パソコンに関するスキルを習得できる」など将来を見据えたSST(ソーシャルスキルトレーニング)を身につけられる環境も整ってきています。

また、放課後等デイサービスでは、お子さんへの支援だけではなく、保護者との面談を通じてお子さんについて相談ができるので、日々の支援状況について具体的なフィードバックがもらえます。
保護者と放課後デイサービスのスタッフとでコミュニケーションをとることで、よりお子さんに適した支援方法を見いだすことができるでしょう。

将来に向けたサポート

高校進学に向けた進路の選択

発達障害の傾向が強い中学生にとって、中学卒業後の進路選択は大きな不安の一つでしょう。しかし、現在では一般的な全日制高校以外にも、高校卒業資格を取得できる選択肢が増えています。これらの高校では、卒業後に就職だけでなく、大学や専門学校への進学をサポートしてくれる学校もあります。ここでは、中学卒業後の様々な選択肢について紹介します。

全日制高校への進学

発達障害の傾向が強くても、全日制高校への進学は可能です。
ただし、特別支援学級に所属している生徒には内申点がつかないため、普通学級に在籍していないと受験が不利になる可能性があるので注意が必要です。
通信制高校や一部の私立高校では調査書(内申点)が必要ない場合もありますが、公立の全日制高校受験においては調査書(内申点)が重視されます。
また、普通学級の授業についていけない場合や、提出物の管理が困難な場合、調査書(内申点)に響いてしまい、結果的に高校進学が困難になることがあります。

通信制高校への進学

通信制高校は、全日制高校と同様に高卒資格を取得できる学校です。しかし、全日制高校と異なり、登校を毎日する必要はありません。代わりに、レポートをタブレットやパソコンで提出し単位を取得します。定期的に「スクーリング」と呼ばれる登校日がありますが、頻度はお子さんによって異なります。
また、通信制学校の職員の中には、発達障害の特性を理解し、適切な指導や支援を提供する方も多くいます。卒業後の進路に関しても、全日制高校と同じように大学や専門学校への進学や、就職活動のサポートも受けられます。

チャレンジスクール・エンカレッジスクールへの進学

チャレンジスクール・エンカレッジスクールは、小・中学校時代に不登校の経験がある生徒や、発達障害などの理由で集団生活に馴染めなかった中学生を主に受け入れる公立高校です。
チャレンジスクールは総合学科の定時制高校であり、エンカレッジスクールは全日制高校と位置付けられています。各都道府県によって名称が異なり、「クリエイティブスクール」「パレットスクール」「地域連携アクティブスクール」とも呼ばれています。

定時制高校への進学

定時制高校は、1日4時間の授業を4年間受けることで、全日制高校と同様に高卒資格を取得できる学校です。
定時制高校は、通学の時間帯や授業時間の長さを選択できるため、発達障害を持つお子さんの特性に合わせやすく、朝起きるのが苦手な子や集中力に自信のない子にはおすすめです。
また、学校によって、クラブ活動や体育祭や文化祭などが行われており、全日制の高校とほぼ同様の高校生活を送ることができる学校もあります。

高等専修学校への進学

高等専修学校(専修学校高等課程)は、中学校卒業者を対象とした専門知識を学ぶことができる教育機関で、高等学校と同様に中学校卒業後の進路のひとつです。
ただし、高等専修学校では高卒資格は取得できないので注意が必要です。一部の高等専修学校は通信制高校と提携しており、その場合は通信制高校のカリキュラムをこなすことで高卒資格を取得できるようになります。

特別支援学校への進学

特別支援学校は、身体障害や知的障害などの障害を抱えた子どもが進学する学校です。将来的な自立を支援するため、生活の中での困難に対処するトレーニングや、就労の意義などを学びます。一般の高校では提供されない支援やサポートを受けられるのが大きなメリットです。
また、特別支援学校を卒業後は、就職や社会福祉施設への入所し、就労支援を受けます。ただし、大学や専門学校への進学率は非常に低いため、進学を希望する場合はおすすめできません。

発達障害についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「発達障害(ASD・ADHD・LD・グレーゾーン)の子の高校受験対策」


学習支援の提供

発達障害の傾向が強い中学生には、さまざまな学習支援の選択肢があります。近年では、その対応策も増えており、以前よりも専門家の意見やアドバイスを受けやすくなっています。ここでは、様々な学習支援の選択肢についてご紹介します。

学校との連携(合理的配慮による学習支援)

2016年4月に障害者差別解消法が施行されたことによって、国公立の学校が障害のある生徒とそれ以外の生徒が平等に学べるような環境を作ることが義務化されました。これを「合理的配慮」といい、具体的には無理のない範囲で障害のある生徒が不利にならないようなルールの変更・調整をすることを指します。
ただし、発達障害グレーゾーンのお子さんの場合、学校の先生が気づきにくいため、「合理的配慮」を受けられない可能性があります。
ですので、保護者から積極的にお子さんに関する情報を共有し、学校に「合理的配慮」を促す必要があります。
この「合理的配慮」によって、読み書きに困難がある子の場合は、タブレットを利用することが許可され、文字を拡大して見ることができるようになるなどの学習支援が受けられます。また、感覚過敏で周りの刺激に敏感な子の場合は、別室でテストを受けられるようにしたりするなどの配慮を受けることができ、お子さんの力を発揮しやすくなります。

参照:文部科学省「合理的配慮について」

スクールカウンセラーの利用

スクールカウンセラーは、主に生徒や保護者に対して心理面でのサポートを行います。具体的には、一対一のカウンセリングを通じて、生徒に対して学校生活や日常生活に関する相談に応じます。また、校内会議への参加や緊急時の心のケアなども担当することもあります。
さらには、保護者に対してお子さんに関するアドバイスを提供したり、保護者と教職員の間に入り情報を共有することによってお子さんが学校生活で困難になりにくい環境を作るといった役割があります。
お子さんの特性に合わせた学習方法の提案や、やる気の引き出し方など、学習面に関する支援も受けることができるため、積極的に相談してみると良いでしょう。

家庭教師や塾の利用

中学生になると、授業の内容が格段に難しくなり、授業のスピードも上がるので、授業についていく為の予習復習が小学生の頃より重要になります。
また、中間テストや期末テストなどの定期考査は範囲が広く、一夜漬けでは対応しきれません。目標に向けて計画を立てて、コツコツ努力する能力が必要です。
加えて、定期考査ごとにノート提出やワーク提出などの課題があり、提出物の管理も必須になってきます。

発達障害の傾向が強い中学生は「毎日の予習復習を行う」、「計画を立てて実行する」、「提出物の管理」といった、この3点を非常に苦手にしている子が多いです。ですので、以上の3点をフォローすることで、中学校生活をストレスなく過ごすことができ、最終的に希望の高校へ進学できる可能性が上がります。

塾に通うことも効果的な側面がありますが、塾では特に、「提出物の管理」までは対応できない場合が多いです。また、ASDの特性がある子供たちは環境の変化に敏感であり、ADHDの特性がある子供たちは多人数のいる場所での集中が難しい傾向があります。そのため、発達障害の特性を持つ中学生には家庭教師といった、自宅でマンツーマンで授業を受けるといった学習スタイルがマッチする可能性が非常に高いです。
家庭教師であれば、お子さんの特性に合わせた柔軟に計画を立てることが可能であり、自宅で指導を受けるため提出物の管理も行うことができます。以上のことより、発達障害の傾向が強い中学生の場合、家庭教師がおすすめです。

まとめ

小学生の頃と違い、中学生になると人間関係や卒業後の進路に関する様々な悩みが多くなると思います。しかも発達障害はお子さんによって症状が異なり、加えて思春期や反抗期も重なるため、親御さんはお子さんとの接し方に非常に悩むことも多いと思います。
しかし、近年では多くのサポート機関や、専門家との相談窓口がありそれらを活かしてお子さんとの接し方のアドバイスを受けることができるようになってます。このコラムがお子さんのことで悩む親御さんへのヒントやきっかけになれば幸いです。
家庭教師のマスターでは、発達障害の傾向が強い中学生への学習フォローも行っています。ご相談だけでも構わないので、心配事がありましたら気軽にご連絡ください。

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