【令和5年度データ】不登校の割合はどれくらい?|小中高校別の傾向と支援の現状

公開日:2025年7月30日
更新日:2025年7月30日

不登校の割合は年々増加しています。本記事では、文部科学省が公表した「令和5年度調査結果」をもとに、小中高校別の不登校の割合や増加傾向、主な理由をわかりやすく解説します。
あわせて、不登校の子どもへの支援制度や家庭でできる対応についてもご紹介します。

目次

不登校の割合とは?|令和5年度の最新データを解説

文部科学省が公表した「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査結果」によると、不登校の児童生徒数は小・中・高校すべてで増加傾向にあり、過去最多を記録しました。
不登校は「一部の特別な子どもに起きるもの」ではなく、今やどの家庭にも起こりうる社会的な課題です。ここでは、小中高校別の不登校の割合や、学年別・欠席日数ごとの傾向について、最新のデータをもとに解説します。

1. 小中学校の不登校児童生徒数と割合(3.7%)

令和5年度の調査では、小中学校における不登校の児童生徒数は34万6,482人と、前年度から約4万7,000人増加し、過去最多となりました。
これは在籍者全体の3.7%にあたる割合で、およそ27人に1人の子どもが「年間30日以上登校していない=不登校」とされる状況です。

不登校の内訳を見ると、小学校で13万370人(前年比約2万5,000人増)、中学校で21万6,112人(前年比約2万2,000人増)となっており、中学生の不登校率は小学生の約3倍と高い水準にあります。

2. 高校の不登校生徒数と割合(2.4%)

高校でも不登校は増加しています。令和5年度の不登校生徒数は6万8,770人で、前年度(6万575人)から約8,000人増加しました。在籍生徒に占める割合は2.4%となり、小中学校と同様に過去最多の記録です。

高校生の場合、進路選択や人間関係、生活環境の変化による「適応の難しさ」などが影響し、登校を継続することが難しくなるケースもあります。中学とは異なり、高校は「義務教育」ではないため、本人や保護者の判断で退学や転学を選ぶケースも含め、不登校の実態把握が難しい側面もあります。

3. 学年別に見る不登校の増加傾向

不登校は全学年で増加しており、特に中1・中2・中3の3学年で顕著です。令和5年度の調査では、中学1年で5万8,035人、中学2年で7万7,768人、中学3年で8万309人が不登校とされました。
小学生でも、学年が上がるほど不登校数が増加する傾向があり、小学6年では3万6,588人と、1年生(9,154人)に比べて約4倍の人数です。

この背景には、学年が上がるごとに学習内容や人間関係の負担が大きくなること、思春期特有の不安定さなどが影響していると考えられます。

4. 欠席日数ごとの実態|90日以上が過半数

小・中学校における不登校の欠席日数を分類すると、90日以上欠席している子どもが全体の55.0%と、過半数を占めています。これは年間の授業日数の4割以上を欠席していることになり、実質的に学校生活の大部分を送れていない状況といえます。
その他、「30〜49日欠席」が約22.3%、「50〜89日欠席」が約22.7%となっており、不登校は一時的なものではなく、長期化する傾向があることが分かります。

出席日数がゼロの子どもも約1万人(3.1%)おり、まったく学校に通えない状態が1年続いているケースも珍しくありません。支援の手が届かないまま放置されれば、社会的孤立につながる恐れもあるため、早期発見と継続的な支援が不可欠です。

参照:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査結果」

なぜ不登校が増えているのか?|背景と原因を探る

不登校の児童生徒数は年々増加しており、令和5年度には小中学校だけで34万人を超える過去最多の数字となりました。では、なぜこれほどまでに不登校が増えているのでしょうか。
一昔前と比べて、子どもを取り巻く環境や価値観が大きく変化するなかで、単に「甘え」や「怠け」とは言えない複雑な背景があります。ここでは、文部科学省の調査結果に基づき、不登校増加の要因を読み解いていきます。

1.「学校に行きたくない」背景にある“やる気が出ない”“不安・うつ”

文科省の調査では、不登校児童生徒について把握された情報の中で最も多かったのが、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」というもので、小中高いずれの段階でも30%以上を占めました。
この“やる気が出ない”という言葉の裏には、抑うつ状態や不安感が隠れていることも多く、メンタル面での不調が登校の大きなハードルになっていることがわかります。

特に思春期に差しかかる中学生や高校生は、自分の感情をうまく言語化できず、「なんとなく行きたくない」という表現にとどまることがあります。しかし、その奥には自己否定感や将来への不安、人間関係への恐れなど、見えづらい心理的負荷が潜んでいるケースも少なくありません。

2. 生活リズムの乱れ・学業不振・友人関係の悩みも

2番目に多かったのが「不安・抑うつの相談」(中学校で約23%、高校で16.7%)に加え、「生活リズムの不調」「学業の不振」「友人関係の問題」など、日常生活や学習、対人関係に関する困りごとです。

朝起きられない、夜に眠れないといった生活リズムの乱れは、登校の第一歩を妨げる大きな要因です。また、勉強についていけない・提出物が出せないなどの学業不振も、「行ってもどうせ怒られる…」「居場所がない…」と感じさせてしまいます。

さらに、いじめ被害に該当しない友人関係のトラブルも無視できません。些細なすれ違いや孤立感が、子どもにとっては深刻な心理的ストレスとなり、教室に足を踏み入れられなくなる引き金になることもあります。

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3. 保護者の意識変化や法改正も影響

不登校の増加には、子ども自身の問題だけでなく、保護者や社会全体の意識の変化も影響しています。かつては「学校に行かせなければならない」とされていた時代から、「無理に行かせなくてもいい」という考えが徐々に広がってきました。

背景には、2022年に施行された「教育機会確保法(正式名:義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」の存在があります。
この法律では、「休養の必要性がある子どもに無理な登校を求めるべきではない」と明記されており、“不登校=悪いこと”という価値観が変わり始めていることがわかります。

保護者側が子どもの不調を早めに認め、休養や支援を選択することは、子どもの将来を守る上でも大切な姿勢です。しかし一方で、早期の適切な支援体制が整っていない場合、結果的に不登校が長期化してしまうケースもあり、社会全体での連携強化が求められています。

参照:文部科学書「不登校児童生徒等への支援についての法律「教育機会確保法」って何?」

不登校の子どもはどんな支援を受けているのか?

不登校の増加にともない、学校や地域、家庭が連携して子どもを支援する取り組みが全国で進められています。
かつては「放置されがち」とも言われた不登校ですが、近年は「つながりを切らさないこと」や「多様な学びの場の提供」が重視されるようになりました。
文部科学省の令和5年度の調査からも、不登校の子どもの大多数が何らかのかたちで支援を受けていることがわかります。ここではその具体的な内容を見ていきましょう。

1. 約95%が何らかの相談・指導を受けている

文部科学省の調査によると、令和5年度に不登校とされた小中学生のうち、95.8%が学校内外で何らかの相談・指導等を受けていることが明らかになりました。
その内訳としては、学校外の専門機関(教育支援センターや医療機関など)での支援が21万人以上、さらに担任や学校内スタッフから継続的なかかわりを受けているケースも多数あります。

この数字は、「不登校=支援がない状態」ではなく、多くの子どもが何らかの支援の中にいるという点を示しています。ただし、その支援が適切かどうか、子どもに合っているかどうかは別の問題であり、今後の課題として残されています。

2. 学校外の支援やICT活用で「出席扱い」となるケースも

不登校の子どもでも、一定の条件を満たせば「出席扱い」とされる学び方が可能です。
令和5年度の調査では、学校外の機関(フリースクールや教育支援センターなど)で支援を受けていた生徒のうち、38,632人が出席扱いとされていました。
また、ICTを活用した自宅学習も出席扱いとなるケースがあり、10,467人がこの方法で記録されています。例えば、タブレットを用いたオンライン授業への参加や、学校との双方向のやりとりが行われていれば、校長の判断で出席扱いにできます。

こうした柔軟な対応は、学校に物理的に通うことが難しい子どもたちの学びの継続を支える上で、非常に重要な手段となっています。

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3. 担任との継続的な関わりも支援とみなされる

不登校の子どもに対しては、必ずしも専門機関だけが支援するわけではありません。学校の担任や教職員が週1回以上の継続的な相談・指導を行っているケースも支援の一つとされており、令和5年度は11万9,699人がこの対象でした。

担任が家庭訪問や電話、SNSを通じて子どもとつながり続けることは、「教室には来ていないけれど、完全に孤立しているわけではない」状況をつくり出します。これは、子どもにとって大きな心理的支えになるだけでなく、将来的な再登校や別の学びへの橋渡しにもなり得ます。

支援の形は一つではありませんが、継続的に関心を寄せてくれる大人の存在は、子どもにとっての安心感を生む大切な要素です。

家庭・学校・行政にできる支援とは?

不登校の背景は一人ひとり異なり、正解のない問題とも言えます。そのため、支援も「誰か一人が解決する」のではなく、家庭・学校・行政が連携して取り組むことが大切です。
ここでは、身近な家庭での接し方から、学校の制度的な対応、そして国が進める支援体制まで、不登校の子どもにとって実際に役立つ支援の在り方を整理して紹介します。

1. 家庭でできること|責めずに受け止める姿勢

不登校の子どもを最も近くで支える存在が、家庭、つまり親や保護者です。
登校しない子どもを見ると、「どうして行けないの?」「行かないと将来困るよ」と焦ってしまうのは自然なことですが、一番苦しんでいるのは子ども自身であることが多いです。

まず大切なのは、「責めずに受け止める姿勢」です。
無理に登校させようとするよりも、子どもの心の声に耳を傾け、「あなたがここにいていいよ」と伝えることが、安心感につながります。
また、生活リズムが乱れている場合も、頭ごなしに叱るのではなく、「一緒に整えていこうか」といった寄り添うような関わり方が効果的です。

家庭は「安心できる居場所」であることが、子どもにとっての再出発の土台になります。

2. 学校での対応|校内教育支援センターやチーム学校

学校現場では、近年「不登校の子どもに教室以外の学びの場を提供する」取り組みが広がっています。
代表的なのが、「校内教育支援センター(スペシャルサポートルームなど)」の設置です。これは、教室とは別の静かな環境で学習や交流ができるスペースで、登校へのステップにもなります。

また、文科省が提唱する「チーム学校」の考え方も注目されています。これは、教師だけでなく、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、養護教諭などが連携し、多角的に支援を行う体制です。
一人の担任がすべてを抱え込むのではなく、チームで子どもの状況を見守ることで、無理のない支援が可能になります。

学校は「登校する場」であると同時に、「学びの多様性を支える場」としての役割も求められています。

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3. 国の施策「COCOLOプラン」などの支援体制

行政レベルでは、文部科学省が2023年から進める「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」が注目されています。
このプランでは、不登校の子どもに対して以下のような支援を強化する方針が示されています。

  • 学びの多様化学校(校内教育支援センターの拡充など)の整備
  • アウトリーチ支援体制(家庭や地域への訪問型支援)の推進
  • 保護者支援や地域との連携(NPO・福祉機関との協議会の設置支援)
  • ICTを活用した学習支援と出席扱い制度の活用

また、令和7年度には、こども家庭庁と連携して「地域で切れ目ない支援モデルを創出する」ための新たな施策も検討されています。

このように、国・自治体のレベルでも「学校に戻す」だけではない支援のあり方が整備されつつあり、保護者や学校が一人で抱え込まず、制度の力を借りて支援することが可能になっています。

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「学びの多様化学校(不登校特例校)で叶える多様な学びのカタチ」

参照:文部科学省「COCOLOプラン」

不登校の時代にどう向き合うか?|これからの考え方

かつては「学年に数人いるかいないか」と言われた不登校ですが、今や小中学生の約3.7%、高校生の約2.4%が不登校とされ、どの学校にも、どの家庭にも関係しうる「ごく身近な現実」となっています。
不登校を“例外的な出来事”と捉える時代は終わりつつあります。私たち大人は、いま何を理解し、どう向き合うべきなのでしょうか。ここでは、これからの時代に必要な考え方のヒントを整理します。

1. 不登校は“珍しくない時代”になっている

令和5年度の調査で、小中学校の不登校児童生徒は34万人を超え、過去最多となりました。割合で言えば、小学生で21人に1人、中学生では約15人に1人という計算です。
これだけの人数が該当する今、不登校はもはや“特別なこと”ではなく、誰にでも起こり得る選択や状況となっています。

周囲の大人が「なぜ学校に行けないのか」と問い詰めるよりも、「学校に行けない時期があることは、悪いことではない」という理解と共感を持つことが、子どもにとっての安心や信頼につながります。
社会全体がこの認識を共有することで、子どもが「学校に行けない自分はダメなんだ…」と感じにくい環境が整っていきます。

2. 多様な学びの場の整備が求められている

学校に通えない期間があっても、子どもの学びが止まらないようにするためには、「教室以外の学びの選択肢」が必要です。現在、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクール、通信制高校、オンライン学習など、さまざまな場が整備されつつあります。

文部科学省も「学びの多様化学校」などを推進し、不登校の子どもが無理なく学べる場を広げる動きを本格化させています。
ただ、地域によって支援体制に差があるのも現状です。より多くの子どもが自分に合った環境を選べるよう、行政・教育機関・民間が連携して多様な学びを支える仕組みづくりが求められています。

3. 子ども一人ひとりに合った「居場所」と「学び方」を

不登校の対応において最も重要なのは、「一律の正解」を求めないことです。
「こうすれば解決する」「何日休んだら登校できるようにしよう」といった基準ではなく、その子にとって“安心できる場所”と“納得できる学び方”があるかを軸に考えることが大切です。

ある子にとっては家庭が居場所であり、別の子には支援センターやフリースクールが居場所かもしれません。学び方も、紙の教材が合う子、動画授業が合う子、先生とのやりとりが必要な子など、実に多様です。
大人側の「こうあるべき」という思い込みを一度手放し、子ども本人の気持ちや特性に寄り添う支援こそが、長い目で見たときの“学びの再開”や“社会との再接続”への第一歩になります。

まとめ

不登校は、今や誰にでも起こりうる身近な課題です。大切なのは、子どもを責めるのではなく、その背景や気持ちに目を向け、家庭・学校・社会がつながって支えること。多様な学び方や居場所を認め合いながら、一人ひとりのペースを大切にしていく姿勢が求められています。

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