中学受験の調査書とは?|作成の仕方から合否への影響まで徹底解説!

公開日:2024年6月13日

中学受験を検討している方で、調査書について詳しく知りたい方に必見のコラムです!
「そもそも中学受験に調査書って必要なの?」「合否への影響は?」そんな疑問に対して、作成依頼の仕方、合否への影響、調査書を良くするための対策などを徹底解説していきます!

中学受験における調査書とは?

中学受験においては、願書と一緒に「調査書」の提出を求められることがあります。公立中高一貫校一部の私立中学校では提出が必要で、学校によっては合否に大きく影響を与える書類となります。(※公立中高一貫校では、「調査書」ではなく「報告書」と呼ばれるのが一般的です。)
まずは、中学受験の調査書がどういう物なのかを見ていきましょう。

1. 調査書は願書と併せて入手する

一般的には、秋以降の入試説明会で願書の配布が始まります。調査書が必要な学校であれば、その際に願書と一緒に配布されます。書式は学校ごとにまちまちで、願書と調査書が別になっていることもあれば、願書の中に「小学校の担任の記入欄」が用意されていることもあります。
高校受験における調査書とは異なり、記入の形式が中学校によって異なるので、入試説明会でしっかりと確認しておくようにしましょう。
また、調査書が廃止されたり、記入様式が変更になったりと、前年までと比べ変更が起きることもよくあります。なので、小学校6年生になったら志望校の入試説明会には必ず参加しておきましょう。

2. 調査書の対象期間

調査書に記載される対象の期間は、基本的には小5と小6の2年間となります。(小6は2学期まで) ただし、一部の学校では対象期間が異なる場合があるので、予め確認が必要です。
例えば、都内の公立中高一貫校でいうと、全11校あるうちの、10校は小5と小6の2年間を対象としていますが、九段中等教育学校だけは小4から小6の3年間を対象としています。

3. 調査書における重要項目

調査書には様々な事項が記載されていますが、項目のイメージとしては高校受験の内申書をイメージすると分かりやすいかと思います。その中でも中学受験の調査書で特に重要となる項目は以下の3点です。

  1. 教科ごとの成績
  2. 出席日数
  3. 授業態度やクラブ活動など、学校の様子

どの項目を重視するかは中学校によってまちまちなので、志望校の募集要項などでしっかりと確認しておきましょう。

調査書が中学受験の合否に与える影響

中学受験における調査書は、学力検査や適性試験の結果と併せて、合否の結果を左右する書類となっています。しかし、その影響力は私立中学と公立中高一貫校で大きく異なると言われています。
次は、それぞれの場合の調査書の扱いについて見ていきましょう。

私立中学

まず、私立中学の場合はそもそも調査書の提出が不要な場合も多いです。また、提出が必要であったとしても、合否に与える影響はかなり少ないと言われています。
しかし、あまりに成績が悪い科目があったり、出席日数が少なすぎたりすると、合否に影響を与えることもあります。
小学校において極端に悪い成績がつくというのは、「提出物を全く出さない」「授業態度が極端に悪い」など、素行が良くないことが推察されるからです。出席日数に関しても同様で、体調不良など正当な理由以外での欠席が多いというのは、合否に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、学校によっては、調査書のどの項目を重視するかを公表している学校もあるので、募集要項や入試説明会でしっかりと確認しておきましょう。例えば、関西の灘中学校は、「調査書において出席日数を重視する」と公表しています。

公立中高一貫校

公立中高一貫校においては、「調査書」ではなく「報告書」と呼ばれるのが一般的です。
公立中高一貫校の受験では、適性試験と呼ばれる筆記試験の点数と、報告書の評価を合計したものが「総合成績」と呼ばれ、その総合成績によって合否が決まります。そのため私立中学とは違い、公立中高一貫校受験においては報告書が重要となります。

総合成績=適性試験の点数+報告書の評価

適性試験と報告書の配点比率は学校によって異なりますが、約20〜30%が報告書の点数となることが多いです。ですから、公立中高一貫校の受験では、適性試験の「入試合格者の最低点」と「入試不合格者の最高点」を比べた時に、「不合格者の最高点」の方が上回っている、ということがよくあります。
そのため、公立中高一貫校の受験を考えている場合は、調査書(報告書)に対する対策が必須となります。

中学受験の調査書|作成依頼~提出まで5つの注意点

高校受験における調査書とは異なり、小学校の先生にとって「調査書の作成」は通常業務ではありません。また、受験する中学によって記入の形式も異なるため、適当な形で先生に作成をお願いするようなことは避けましょう。
ここでは、小学校の先生に調査書の作成依頼をする際の注意点を見ていきましょう。

1. 調査書の作成にはかなりの手間がかかる

調査書は重要な書類です。そのため、作成をする学校側にもいくつかのルールが設けられていたりします。学校にもよるのですが、一般的には以下のようなルールがあります。

  1. 1.個人情報となるので、学校外での作成はNG。
  2. 担任が作成し、その後他の教員も必ず目を通す。
  3. 校長や学年主任のチェックが必要。

というようなものです。
1と2に関しては、基本的にどこの学校でも同様で、3に関しては学校によって異なります。
1のルールがあることにより、調査書の作成が多い時期は、残業や休日出勤をして作成をしていく先生がとても多いです。特に12月に関しては、通常業務である成績表の作成もあるため、さらに調査書を完成させるまでの時間がかかります。
そのため、作成依頼をする際には、なるべく先生側に負担がかからないような形で依頼していくように気をつけましょう。

2. 作成依頼をする時期に注意

志望校から調査書を受け取ったからといって、すぐに担任の先生に依頼をするのは避けるべきです。何故なら、前述のとおり調査書とは小6の2学期までの評価を記入するものなので、早すぎるタイミングで渡されても、担任の先生は何も記入することが出来ないからです。また、大事な書類を長期間保管しておくのは、先生側にも負担がかかります。
そのため、調査書は12月の上旬〜中旬にかけて渡すのが一般的です。
渡し方は、子ども経由でも保護者が直接渡す形でもどちらでも大丈夫です。もしちょうど良いタイミングで三者面談等があれば、その際に直接渡すのも良いでしょう。
また、夏休み前後の時期に担任の先生と話す機会があれば、その時に中学受験をするので調査書の作成をお願いしたい旨を伝えておくと、よりスムーズです。

3. 1度にまとめて依頼する

調査書の作成依頼をする時期に、まだ受験校が決まり切っていない場合も多いでしょう。しかし、受験校を追加・変更する度に調査書作成を依頼したり、受験直前に慌てて作成を依頼するというのは、先生側にかなりの負担をかけることになってしまいます。
ですから、調査書を依頼する際は、受験する可能性がある中学を全て含めた状態で、必ず一度にまとめて依頼するようにしましょう。
また、渡す調査書に関しては、コピーを取って記入箇所にマーカーを引いたり、付箋を貼ったりしておくと、記入の際に先生の手間も省けます。記入ミスや漏れを防ぐ意味でもそのような形で渡すと良いでしょう。

4. 金品は贈らない

調査書作成を依頼する際や、完成した調査書を受け取った際に、「なるべく良いことを書いて欲しいから」「手間をかけて作成してもらったから」というような理由で、金品を贈ろうとする保護者は意外と多いそうです。
しかし、このような行為はやめた方が良いでしょう。学校の先生は金品を受け取ることが絶対に出来ないため、断りの連絡を入れる手間を増やしてしまうだけになります。
作成依頼の際にお礼の一筆を添えて渡したり、作成後に直接会う機会が無い場合には、連絡帳にお礼の言葉を書くようにすれば大丈夫です。

5. 完成した調査書は開封しない

調査書は封入された状態で渡されます。
何が書いてあるのか、中身を知りたい気持ちにはなりますが、調査書は少しでも開封してしまったら無効となってしまいます。ですから、完成された調査書は絶対に開封しないようにしましょう。
また、開封できないため、複数の受験校に調査書を提出する場合、どの調査書がどの学校の物かが分からなくなってしまうことがあります。そのため、複数の調査書をまとめて受け取った際には、1つずつに付箋を貼って区別するなどして、提出の際に入れ間違いが起きないように気をつけましょう。

中学受験の調査書|依頼文・礼文の文例

調査書の作成依頼をする際、面談等で直接渡せる場合はお願いの気持ちを直接伝えることが出来ます。子ども経由で渡す場合は、依頼文を調査書に添えて渡すようにしましょう。

1. 依頼文は連絡帳か便箋に書く

調査書の依頼文は、連絡帳か便箋のいずれかに書くようにしましょう。普段先生と連絡帳でやり取りをしているようなら、連絡帳でも大丈夫です。
文章は以下のような例を参考に、先生への感謝の気持ちが伝わるような文を作成すると良いでしょう。

依頼文の例

[担任の先生の名前]先生

いつもお世話になっております。○○(保護者の名前)と申します。

このたび、息子(娘)の[子供の名前]が中学受験をすることになりました。つきましては、受験に必要な書類として、調査書の作成をお願いしたく、ご連絡いたしました。

以下の学校への受験を予定しております:

学校名:○○中学校
提出期限:○月○日
お忙しいところ恐縮ですが、調査書の作成にご協力いただけますようお願い申し上げます。必要な情報や書式等がございましたら、どうぞご教示ください。

お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

○○(保護者の名前)
連絡先:○○○-○○○-○○○○

2. お礼文も忘れずに

先生から調査書が返ってきたら、中学校への提出に頭が切り替わってしまうところですが、作成してもらったお礼を一言伝えておきましょう。
作成依頼をする際と同様に、直接受け取った場合はその場でお礼を伝えるだけで大丈夫ですが、子ども経由で受け取った場合は、お礼文を書くようにしましょう。
文章の例は下記のとおりです。

お礼文の例

[担任の先生の名前]先生

お世話になっております。○○(保護者の名前)です。

このたびは、息子(娘)の[子供の名前]の中学受験に際し、調査書を迅速にご作成いただき、誠にありがとうございました。おかげさまで無事に提出することができ、大変助かりました。

お忙しい中、細やかな配慮をいただき、深く感謝申し上げます。先生のおかげで、安心して受験に臨むことができます。

これからもご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○○(保護者の名前)
連絡先:○○○-○○○-○○○○

調査書対策ですべきことは?

最後に、調査書の評価を上げるために気を付けておくべきことをご紹介します。

1. きちんとした学校生活を送る

調査書は、短期間で評価を上げることは出来ません。
まずは、「授業をしっかりと聞く」「提出物をちゃんと出す」などの学校生活の基本を普段からしっかり守るようにしましょう。そのうえで、クラブ活動委員会活動などにも力を入れていくと、より良い評価となっていきます。
学校生活において「何事にも一生懸命取り組む」ということが最終的には調査書の評価に繋がります。

2. 評価されるポイントを理解しておく

調査書の内容と通知表の評価はイコールでは無いのですが、通知表の評価に準じて調査書の記載をしていきます。ですから、調査書の評価を上げるためには、通知表の成績を上げておくことが重要となります。
通知表は基本的に、「知能・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で評価されます。
「知能・技能」、「思考・判断・表現」に関しては、テストの結果とほぼイコールになるので、90点以上を常にキープしておけば問題ありません。
「主体的に学習に取り組む態度」というのは、授業中の挙手や、課題ごとに自分で目標を決めて、それに向けて真摯に取り組めたか?、という部分の評価となります。
書店に行くと、学校の先生向けのマニュアル本がたくさんあります。そこには「評価の仕方や基準」が書かれているので、普段先生がどの辺りを注意して評価しているかが分かるようになります。気になる方は一度目を通してみても良いかもしれません。

まとめ

今回は中学受験の調査書について解説していきました。中学受験では普段あまり意識することが無い「調査書」ですが、公立中高一貫校や一部の私立では特に重視される物となります。
作成依頼の仕方や時期が分からず、受験期に慌てることがないよう、しっかりと準備しておきましょう。
このコラムが、中学受験を考えている方に、少しでもお役に立てればと願っております。

この記事を企画・執筆・監修した人

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この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
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