宿題をしない発達障害のお子さんへの解決策とは?

公開日:2024年4月2日

「早く宿題やりなさいっっ!!!」できればお子さんに言いたくない言葉ですよね?あまりにも宿題をしない様子を見ると、ついつい強い口調で言ってしまうこともあるかと思います。
本コラムでは、宿題をしない発達障害のお子さんとの向き合い方やサポート方法をご紹介します。実践的なアドバイスで「宿題の困りごと」を解消しましょう!

発達障害・グレーゾーンについて

発達障害には、

  1. ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)
  2. ADHD(注意欠如多動症)
  3. LD・SLD(限局性学習症)

といった代表的な3つの症状があります。
1人のお子さんが複数の症状を併発することも多く、症状の明確な境界線はほとんどありません。発達障害とはっきり診断されてはいないものの、発達障害に似た症状が見られる場合、「グレーゾーン」と呼ばれています。

ASDは、「自閉スペクトラム症」「アスペルガー症候群」の2つの症状があり、集団行動や他者とのコミュニケーションに困難を抱えやすい傾向があります。

ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動的な行動」の3つの症状があり、細かいことに注意が行き届かず忘れ物や落とし物をよくしてしまう、一つのことに集中できない、感情を抑えきれず衝動的な行動が目立つ、などの傾向があります。

LD・SLDは、学習分野で困難が生じる発達障害です。具体的には「読字障害」「書字障害」「算数障害」の3種類があります。
また、発達障害グレーゾーンのお子さんは、発達障害の症状があることに気づかれにくいことがありますが、発達障害の症状が出ないわけではありません。グレーゾーンのお子さんも、発達障害のお子さんと同様、適切な支援が必要となります。

発達障害についてもっと知りたい方はこちら
「発達障害の小学生|その特徴や症状の理解、支援方法や接し方を解説」
「発達障害の中学生の特徴と支援法」
「発達障害グレーゾーンの中学生の特徴|判断の仕方やサポート方法について」

発達障害の子どもが宿題をやらない4つの理由

発達障害やグレーゾーンのお子さんが宿題をしない理由、それは「勉強が嫌いだから」だけではありません。
お子さんの目線に立ち、「なぜ宿題をやりたくないのか」を理解することで、正しい解決策が見えてきます。

1. 勉強に自信がない

お子さんは自信のあるものであれば進んで取り組みます。
例えば、大好きなゲームやスポーツなど「人より得意だ!」という自信があれば、「やりなさい!」と言われなくても積極的に取り組みます。
つまり、宿題をやりたくない=勉強に自信がないということです。
大人でも苦手意識の強いことは後回しにしてしまうことがあります。子供であれば、その傾向はより強く現れます。
逆に言えば、お子さんが勉強に自信を持てるようになれば、自然と「宿題をやりなさい!」と言う機会も減るでしょう。

2. 好きなことをやめられない

今の時代は、ゲームや動画の視聴など手軽な娯楽に溢れているため、お子さんはそれらの誘惑と上手に付き合うことが求められています。
ただ、誘惑と上手に付き合うことは非常に難しく、ゲームやSNSなどに没頭してしまう子供は後を絶ちません。過剰に没頭しすぎるあまり、宿題や勉強を後回しにしてしまう子供が非常に多いです。

この様な「好きなことに没頭し、嫌いなことを後回しにする」傾向が強すぎるお子さんは、ADHDの「衝動性」が関係している可能性があります。
このような場合、「宿題を終えてからゲームをする」などのルールを設ける必要があります。

3. 「宿題=怒られる」という先入観

過去に「宿題をしている時に怒られた」という経験がある子供は、そのトラウマから宿題を避けることがあります。
例えば、
「この前教えたばかりなのに、どうしてもう忘れてるの!?」
「なんでこんな簡単なこともできないの!?」
といった強い言葉を投げかけられた経験が積み重なり、宿題に対してアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。
このようなお子さんの場合、親御さんに隠れて宿題をすることがあります。もしお子さんが隠れて宿題をすることが目立つようだと、過去のトラウマが原因になっている可能性があります。

3. ワーキングメモリの問題

発達障害を持つお子さんは、ワーキングメモリと呼ばれる作業記憶の容量が少ない傾向があります。
ワーキングメモリが少ないと計画的に行動することが難しく、視界に入るもの以外に集中することできません。また、気が散りやすくなる傾向もあります。
特にADHDのお子さんは、思考が頻繁に切り替わりやすく、目の前のことに集中することができない特徴があります。(※お子さんのワーキングメモリを調べたい場合はWISC検査がおすすめです。)

発達障害の子どもに宿題をさせる5つの解決策

1. 授業の前に予習をする

発達障害のお子さんは学校の授業についていけないことが多く、授業での発表や発言などで上手く答えることができないことを通じて、勉強に対する苦手意識を強めてしまいます。勉強の苦手意識が強くなってしまうと、家で宿題に取り組むことにも消極的になります。

逆に言えば、授業の内容が理解できていれば、宿題をスムーズに終わらせることができます。
授業を理解するためには「予習」を行うことが一番効果的です。予習をすることで授業内容が理解しやすくなり、その結果、宿題を早く終わらせられるようになります。

また、予習と合わせて「復習」も行うとより良いでしょう。
授業で習ったことを毎回おさらいすることで記憶の定着にもつながり、テストの点数にも効果が現れます。

予習と復習の習慣化には地道な継続と積み重ねが必要です。本人に促すだけではなかなか定着しません。親御さんや家庭教師など、第三者のサポートが必須となります。

もっと知りたい方はこちら
【発達障害コース】について

2. 学習環境を整える

発達障害のお子さんの中でもADHDの傾向がある場合は、気が散りやすく、興味が色々なものに移り変わる特性があります。
その特性から、ゲームやスマートフォンなど勉強に関係のないものが目に入ると気が散ってしまい、宿題を中断して遊び始めてしまいます。

宿題をスムーズに進めるためには、お子さんの気が散るもの(好きなもの・遊びに係わるもの)が視界に入らないようにする工夫が必要です。
例えば、

  • リビングなど親の目が届く場所で宿題をさせる。
  • ゲームやスマホなどを離れた場所に置き「宿題が終わってから遊ぶ」といったルールを設ける。

などが効果的です。

3. 小さなゴールを作る

お子さんのやる気を引き出す方法としておすすめなのは、スモールステップ(小さな目標)で宿題をさせることです。

例えば、漢字の書き取りの課題が10ページあるとします。
「10ページを一気にやる」というのでは、お子さんにとって膨大な量に感じてしまい、やる気を失くし投げ出してしまうかもしれません。
この様な場合、「まずは2ページまでやってみよう!」と、少しの量から始めていき、その後少しの時間を空けてから次の2ページに取り組む、といった要領で、スモールステップを意識しながら進めるとやる気を引き出しやすくなります。

4. 些細なことでも褒める

お子さんが「できた!」と持ってきた宿題に対して「もっと綺麗な字が書けないの?」などと、つい厳しい声かけをしてしまうことがあります。
当たり前のことではありますが、お子さんは怒られるよりも褒められる方がやる気になるので、どんな些細なことでも褒めてあげるようにしましょう。
褒めてあげることが勉強に対する自信や積極性につながり、宿題をきちんとやることにもつながります。

5. 第三者の支援を受ける

上記の対策をしても上手くいかない場合は、迷わず家庭教師などの第三者を頼りましょう。
例えば、

  • 感情的になってしまい褒めることができない
  • 学習環境などの工夫もしたけれどうまくいかない

といった時でも、お子さんに対するアプローチの方法自体は間違っていないかもしれません。同じアプローチの方法であったとしても、接する人が変わるだけで見違えるほどの効果が出ることもあります。
例えば、学校の先生や家庭教師など、家族以外の第三者の手を借り、お子さんの状況を改善してみましょう!


宿題をやらない子どもにやってはいけないこと

1. 感情的に怒る・叱る

「これは前にも教えたでしょ!」
「なんでこんなこともできないの!」
といった「感情的な怒り方」は絶対にしてはいけません。
強い口調で感情的に怒ってしまうとお子さんを傷つけてしまいます。
感情的に怒られたり、叱られたお子さんは、
「自分はできない子なんだ…」
「怒られるのが怖い…」
と考えてしまい、勉強に対するやる気や自信を失くしてしまいます。

感情的になりそうな時はグッとこらえて我慢しましょう。科学的にも怒りの感情は6秒経つとおさまると言われています。お子さんのためにもまずは6秒間だけ我慢してみましょう。

2. 答えだけを教えてしまう

お子さんが宿題に時間がかかってしまっていると、じれったくなってしまい、つい答えを教えて終わらせてしまうことがあります。
しかし、これは絶対にやってはいけない行為と言われています。

答えをすぐに教えてしまうと、お子さんは考えることをやめてしまいます。そして、わからない問題がある度にすぐ答えを聞きに来るようになってしまいます。
積極的に質問すること自体は良いことなのですが、問題解決のために答えだけ安易に聞くことは良い方向性と言えません。
また、答えを教えてあげないと「この前はすぐに教えてくれたのに…」と癇癪を起こすこともあります。

どんなに時間がかかっていても、安易に答えだけを教えることはやめましょう。答えに導くようなヒントを出してあげることがベストの対応です。

3. 「宿題なんかやらなくていい」と話す

お子さんに対して「宿題なんてやらなくてもいいんだ」といった内容を話さないようにしましょう。

学校で習うことは大人になるために必要な知識ばかりです。また、宿題を決められた期日までに提出するといった「ルールを守ること」も、社会に出れば大切になります。しかしながら、まだ大人になっていない子供はそのことが分かりません。
子供は素直なので「大人が言ってるんだから、やらなくてもいいんだ!」と安易に考えてしまいます。
ですから、家族内で勉強や宿題をすることを否定するような発言はしないようにしましょう。

4. ご褒美をあげ過ぎる

「宿題が終わったらおやつを食べていいよ!」といった方法は、お子さんに宿題をさせる上で効果的ですが、やり過ぎはよくありません。
「宿題を終わらせる=ご褒美がもらえる」が当たり前になってしまうと、ご褒美がもらえない時は宿題をやらなくなってしまうことがあります。

宿題をやることは当たり前のことです。当たり前のことをやるだけなのに、過度に対応してしまうと、子供は勘違いしてしまいます。
ご褒美をあげるなら適度・適量に留め、相応のものにしておきましょう。ご褒美はキッカケ作りやカンフル剤として利用するくらいが丁度良いです。


家族では解決できない場合の方法

1. 学校と連携する

家庭内でどうしてもうまくいかない時には、担任の先生など学校側に協力を仰ぎましょう。
先生からの働きかけがあれば、「〇〇先生からも言われたでしょ?」といった、今までと違うアプローチができるようになります。
また、スクールカウンセラーに相談することも一つの解決策です。発達障害の子供に対する接し方ややる気の引き出し方など、お子さんの特性に合わせて専門的なアドバイスがもらえるでしょう。

2. 医療機関での受診

あまりにも反抗がひどく、どんな方法でも宿題をさせられない場合は、医療機関での受診も検討しましょう。
医療機関で受診し発達障害の診断を受ければ、その症状に合わせた接し方やサポート方法などをアドバイスしてもらえ、発達障害の症状によっては、症状を緩和する飲み薬を処方してもらうこともできます。
症状が緩和すれば家庭内での問題も解決しやすくなるでしょう。

3. 家庭教師の利用

家庭内外でさまざまな手を尽くしたとしても、お子さんに宿題をさせられなかった場合、家庭教師の利用がお勧めです。
家庭教師は自宅で指導してくれるため、お子さんが嫌がったとしても、塾のように無理に連れていく必要がありません。

また、家庭教師であれば学校の宿題を一緒にやってもらうこともできます。
家庭教師と一緒に宿題を終わらせ、余裕があれば予習もしてもらうことで、授業がわかるようになり、宿題も無理なくこなせるようになります。

まとめ

子供がなかなか宿題をやらない時、親御さんは不安や怒りから言い過ぎてしまうこともあるかと思います。まずは宿題をやらない理由を理解し、適切な対策や支援を地道に続けていくことが解決につながります。

家庭教師マスターでは、発達障害のお子さんに対する宿題のサポートを行っています。もし、お子さんの宿題のことでお悩みであれば、家庭教師マスターまでご相談ください!

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この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
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