内申点はどこから高い?どこから低い?|内申点の目安を解説!

公開日:2024年3月29日

「●●さんは内申点が高いから羨ましいね!」「▲▲さんは内申点が低いからこの高校は厳しいね」といった声をよく耳にします。では、どんな基準で内申点の「高い」「低い」は決まるのでしょうか?因みに、オール3の場合は「5段階評価の真ん中」なので、平均的な成績のように誤解される方も多いですが、実はオール3は平均以下です。
「自分の内申点だと、どの辺の位置にいるのか?」を知っておくことで、志望校選びの参考材料にもなります。
内申点のことは理解しにくく、なんとなくモヤモヤされている方が多いです。本コラムでは、内申点は「どこから高い」「どこから低い」とされるのか?を分かりやすくご説明します!

内申点の基礎知識

内申点とは?

まず初めに、内申点の概要について説明します。
内申点とは、高校受験時に提出する調査書(内申書)に記載される「学習の記録」の評定点のことです。(※地域によっては各科目の観点別評価も内申書に記載されることがあり、それらを点数化し内申点とすることもあります。)

内申点は通知表の5段階評価の成績を基につけられており、多少の誤差はありますが、おおむね通知表の成績の平均値と考えて良いでしょう。
内申点は、中学全学年の評定を記載することが多いのですが、中学3年生の評定のみや、中学2〜3年のみが記載される場合など、都道府県によって異なります。

内申点(調査書)ついてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「調査書(内申書)について徹底解説!|高校受験に向けて正しく理解しましょう!」

絶対評価と相対評価について

2002年度から、全国の中学校の成績には「絶対評価」が導入されています。5段階評価であることは変わりないのですが、以前の「相対評価」と比べて大きな違いがあります。

相対評価とは?

以前の「相対評価」では、他の生徒と比べて自分はどの位置にいるか?によって成績がつきます。具体的には下記のようになります。

相対評価は簡単に言えば、成績順に上から評価を振り分ける方法です。
ですから、例えばテストの問題が簡単で90点以上の生徒がほとんどであった場合、自分の点数が80点であったとしても1や2がついてしまう可能性があります。
逆に、自分の点数が50点であったとしても、周りの生徒の点数がもっと悪ければ、5がつく可能性もあります。
これでは、テストの難易度や通う学校の学力差によって不公平が生じてしまうので、2002年度から「絶対評価」が導入されることになったのです。

絶対評価は?

現行の「絶対評価」は、各科目に対する目標の到達度に合わせて評価をつける方法です。
簡単に言えば、テストの点数や提出物、授業態度などを加味して点数化し、その点数に応じた評価点をつける方法です。具体的には下記のようになります。

絶対評価の場合、極端に言えばクラスの生徒全員が90点以上であれば、全員に5がつけられます。逆に20点以下の生徒が1人もいなければ、1がつけられる生徒が1人もいないこともあり得ます。
また、2020年度から導入された「観点別評価」により、定期テストの成績だけではなく、提出物や授業態度なども通知表の評定に加味されるようになりました。
つまり、テストの点数が非常に悪かったとしても、提出物や授業態度が良ければ1ではなく2がつけられることや、逆にテストの点数が100点であったとしても、提出物を出していなかったり、授業態度が悪いことで、5ではなく4がつけられることもあり得ます。

内申点はどこから「高い」となるのか?

内申点の平均は?

では、絶対評価での「各評定点の分布」「平均値」はどのようになっているのでしょうか?
ここでは東京都が発表したデータを例に挙げてみます。(※グラフの一番下には、相対評価の割合を比較例として入れています。)
相対評価と比べ、絶対評価では3〜5の割合が多くなっており、反面、1〜2の割合が少なくなっていることが、このグラフから分かります。
現行の絶対評価では、概ね8割程度の生徒が3以上の成績を取っています。
相対評価での内申点の平均は「3」ですが、絶対評価での平均は「3.2〜3.3」となります。
つまり、内申点が「ぴったりオール3」であった場合は、「平均よりやや下」ということになります。

参照: 東京都教育委員会「都内公立中学校第3学年及び義務教育学校第9学年(令和4年12月31日現在)の評定状況の調査結果について」

内申点オール5の場合

内申点がオール5の場合、これは文句なしに「内申点が高い」と評価できます。周りの生徒と比べても、上から10〜15%以内の位置にいることになるので、「高い内申点が取れている」と自信を持って大丈夫でしょう。

内申点オール4の場合

内申点がオール4の場合も「内申点が高い」と考えて良いでしょう。
周りの生徒と比べて、だいたい上から15〜37%の間に位置していることになるので、少なくとも「真ん中より上」ということになります。平たく言えば「上の中〜上の下」ということになります。
ただ、オール4の範囲は20〜25%程度の開きがあるので、「5に近い4」と「3に近い4」とは結構な違いがあります。

内申点オール3の場合

内申点がオール3の場合、なんとなく「ちょうど真ん中あたり」と考えがちですが、絶対評価ではそうとは限りません。
内申点がオール3の場合、だいたい上から35〜85%の間に位置していることになりますが、5段階評価の中でも3がつけられる生徒は半分近くを占め、その開きも一番大きくなります。
「4に近い3」であれば、およそ真ん中あたりの位置にいることになりますが、「2に近い3」であれば、下位25%内にいることになります。
つまり、オール3の場合「内申点は平均程度」と評価されることもありますが、場合によっては「内申点は低い」と評価されることもあり得ます。

自分の内申点がオール3に近い場合、科目ごとの評定点や観点別評価の3項目の評価の内訳を細かく確認して計算しておく必要があります。

内申点オール2の場合

内申点がオール2の場合、「内申点は低い」と考えられます。
周りの生徒と比べて、だいたい下から5〜20%の間に位置していることになりますので、定期テストの点数を上げたり、提出物や授業態度を改善するなどの対策が必要です。高校選びでの選択肢も狭まり、学力試験でも苦戦するかと思いますので、早い段階から学習改善に取り組むことが大切になります。

内申点オール1の場合

内申点がオール1の場合も「内申点は低い」と考えられます。
周りの生徒と比べて、だいたい下から5%以内に位置していることになります。
ただ、定期テストの点数が悪くても、「宿題や提出物をきちんと出す」「授業態度を良くする」などの対策で、1を回避できる可能性もあります。
勿論テストの点数を上げることが一番ですが、それが難しければ提出物や授業態度を改善してみましょう。


内申点を上げるためには?

次に、内申点を上げるための方法について解説します。「何をすれば内申点が上がるのか?」が分かれば、逆に「やってはいけないこと」「やってもあまり意味が無いこと」にも気付くことができます。

定期テストの対策

内申点は通知表の成績を基に計算されています。その通知表の成績に最も影響しているのは「定期テストの点数」です。ですから、毎回の中間テストや定期テストで、少しでも良い点数が取れるように努力しましょう!
中学1年生・2年生の成績から内申点に加味される都道府県の場合は、その時点からテストの点数を意識するようにしましょう。
中学3年生の成績のみが加味される都道府県の場合でも、「中1〜2年の成績は内申点と関係ないからどうでもいいや。。」といった油断は禁物です。中1〜2年生の内容が理解できていないのに、中学3年から急に良い点数を取ることは困難だからです。

勉強法についてもっと知りたい方はこちら
「学校の成績を確実に上げる方法|勉強法やテスト対策のやり方を伝授!」


観点別評価の対策

「観点別評価」は通知表にも記載されているので、見たことがある方は多いと思います。こちらは2020年から改定された「新学習指導要領」で示された新しい評価基準です。
通知表での5段階評価は、定期テストの点数のみで決まるわけではありません。テストの成績に「観点別評価」を加味し、最終的な評定点が決まります。

観点別評価には、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの評価項目があり、9科目すべてをA・B・Cで評価します。

1. 「知識・技能」の評価を上げるためには?

この項目は、授業で習ったことを「しっかり覚えているか?(=知識)」と「理解ができているか?(=応用力、考える力)」を評価する項目です。

この項目の評価を上げるためには、定期テストや小テストで「知識の習得を問う問題(暗記)」と「知識の概念的な理解を問う問題(考えて解く問題)」をバランス良く解答できるようにすることが大切です。テストの点数を上げることは勿論ですが、応用問題の演習をこなして「考えて解く問題」に強くなることが大切です。暗記だけに頼らず、応用力を身につけましょう。

2. 「思考・判断・表現」の評価を上げるためには?

この項目は、「物事を論理的に考えて解決する力やその判断力」や「自分の考えを言葉や文章で表現する力」を評価する項目です。

この項目の評価を上げるためには、「定期テストの記述問題」や「グラフ・表を読み取り考える問題」などに強くなることが大切です。

上記以外では、

  • 作文・小論文
  • レポートの作成
  • 授業での発表
  • グループや学級における話合い
  • 技能教科での作品制作や表現

などにも力を入れるようにしましょう。

この項目は、テスト以外の様々な場面における自分の行動や発言が、評価につながります。

3. 「主体的に学習に取り組む態度」の評価を上げるためには?

この項目は、簡単に言えば「授業態度」のことで、「学習や授業に取り組む姿勢や態度」について評価する項目です。

この項目の評価を上げるためには、

  • 宿題・提出物を必ず出す
  • 提出物の期限を守る
  • ノートや提出物の記述内容を良くする
  • 授業で積極的に発言や発表をする
  • 授業態度を良くする
  • 学校生活で適切な行動や言動をする
  • 学習に対して前向きに取り組む(積極的に質問するなど)

などが考えられます。

この項目は、テストの点数が悪い人でも評価を上げることができます。
私たちが過去に教えてきた子の中でも、「とにかく提出物と宿題だけはきちんと出していれば1は付かない(=2にしてもらえる)」といった例がよくあります。

内申点についてもっと知りたい方はこちら
「内申点の上げ方を徹底解説!|志望校合格に向けた勝利への方程式」


内申点の計算方法

都道府県ごとに異なる計算方法

内申点の計算方法は各都道府県によって異なり、各都道府県の教育委員会の判断で決まっています。
中学1年〜3年生までの全ての成績を加味する地域もあれば、中学3年生の成績のみを加味する地域もあります。また、高校ごとに学年や科目の配点比率が異なることもあります。

直近の成績が反映されている中学3年生の成績を2倍で計算する地域も多く、また、技能4科目の成績を2倍で計算する地域もよく見受けられます。
地域により計算方法が大きく異なりますので、お住まいの教育委員会などの情報を確認するようにしましょう。

高校ごとに異なる計算方法

推薦入試では、評定ではなく観点別評価を点数化し、特定の科目や項目の配点を高くすることがあります。これは傾斜配点と呼ばれていますが、配点の基準や比率は高校によって異なります。

また、一般入試では内申点と学力試験の合計点で合否が決まるのですが、その配点比率が高校ごとに異なります。つまり、内申点が合否に与える影響度は高校によって異なる、ということになります。
また、配点比率は公立高校と私立高校では大きく異なり、一般入試か推薦入試かによっても大きく異なります。

一般入試の場合【公立高校】

公立高校の一般入試では、学力試験と内申点の配点比率が8:2〜6:4が一般的です。
難易度の高い高校ほど学力試験の点数を重視する傾向が強く、内申点の比重が低くなることが多いです。これは、難関上位校を受験する生徒はそもそも内申点が低いことがあまりないので、差がつきにくいからです。
逆に中堅以下の高校では内申点を重視する傾向が強くなり、高校によっては学力試験と内申点の配点比率が5:5であることもあります。

一般入試の場合【私立高校】

私立高校の一般入試は、オープン入試やフリー受験とも呼ばれますが、ほとんどの学校が学力試験の得点のみで合否を判断します。つまり、内申点はほとんど影響しません。
ただ、内申点に1がないこと(上位校では1〜2)を最低基準としていることがあるので、その点では全く影響ないとは言い切れません。
また、非常に稀ですが、公立高校の一般入試のように学力試験と内申点の合計点で合否を判断する私立高校もあります。
私立高校の場合、高校ごとに大きく受験制度が異なるので、事前に確認しておく必要があります。

推薦入試の場合【公立高校・私立高校】

推薦入試の場合、公立・私立共に内申点が重視される傾向が強くなります。
こちらも高校によって異なる場合が多いのですが、一般的には「内申点:面接:作文・小論文=50%:25%:25%」になることが多いです。
推薦入試では学力試験が行われないことがほとんどなので、内申点の比重が高くなります。

まとめ

自分の内申点が高いか低いかを判断するためには、まず志望する高校や住んでいる都道府県の計算方法を調べる必要があります。
内申点の計算は複雑なので、学校の先生や塾・家庭教師などの専門家に相談することをお勧めします。ただ、内申点の基になっているのは通知表の成績なので、日頃から定期テストや提出物などを頑張ることが一番重要であることは間違いありません。志望校合格に向けて日々努力するようにしましょう!

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