ADHDの子どもはなぜ遅刻してしまうのか?|叱っても直らない本当の理由と対策
公開日:2026年2月26日
更新日:2026年2月26日

ADHDの子どもの遅刻が続くと、「また今日も…」「どうして分かってくれないの?」と親も疲れてしまいます。ただ、ADHDの遅刻はやる気や甘えの問題ではありません。
このコラムでは、ADHDの特性と遅刻が起きる理由を分かりやすく整理し、親子の衝突を回避するための具体策を紹介します。
ADHDの子どもが遅刻してしまうのは「脳の特性」が関係している
ADHDの子どもが遅刻を繰り返すと、「時間は分かっているはずなのに」「どうして同じことを何度も繰り返すのか」と感じてしまいがちです。
ただ、ADHDの遅刻は、生活態度やしつけの問題ではありません。背景には、時間の感じ方や行動のコントロールに関わる脳の特性があります。この特性を知ることで、叱る以外の関わり方が見えてきます。
1. 本人の中では「そんなに時間が経った感覚がない」|ADHDに多い時間感覚の弱さ
ADHDの子どもは、時計の読み方が分からないわけではありません。それでも、「5分のつもりが30分経っていた…」「もうこんな時間?」ということが頻繁に起こります。これは、時間の経過を体感的につかみにくい特性が関係しています。
本人の感覚では、同じことをしていても時間がゆっくり流れているように感じられることがあります。そのため、朝の支度や準備でも「まだ余裕がある」と思っているうちに、気づけば出発時間を過ぎてしまうのです。遅刻している事実は理解できても、時間が足りなくなるプロセスを実感できていない点が、大きなズレを生みます。
2.「あとでやる」が積み重なる理由|先の見通しを立てるのが苦手な特性
ADHDの子どもは、「今これをすると、この後がどうなるか」を頭の中で組み立てることが得意ではありません。そのため、「あとで着替えよう」「あとで準備すればいいや」と判断しがちです。
この「後でやる」は怠慢ではなく、先の流れを具体的に想像しにくい特性から来ています。
例えば、朝の10分がどれほど貴重か、今動かないと何が起こるか、といったことをリアルにイメージするのが難しいのです。その結果、目の前の行動を優先し、気づいたときには時間が足りなくなってしまいます。本人なりに考えているつもりでも、判断の基準が「今」だけに偏りやすいことが、遅刻につながります。
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⇒ 「また逃げた…」ADHDの子どもが嫌なことから逃げる本当の理由とは?
3. 一度気がそれると戻れない|注意の切り替えが難しく行動が遅れやすい
ADHDの子どもは、周囲の刺激に反応しやすい傾向があります。朝の支度中でも、テレビの音、スマホの通知、ふと目に入った物などに注意が向くと、そこから元の行動に戻るのが難しくなります。
これは集中力がないのではなく、注意の切り替えに時間がかかる特性によるものです。
一度別のことに意識が向くと、今やっていた作業を中断している感覚が本人の中で薄れてしまいます。そのため、「まだ途中だった」という認識が持てず、結果的に準備が遅れてしまうのです。
親から見ると「ダラダラしている」ように見えても、本人は切り替えに苦戦している状態だと理解する必要があります。
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4.「分かっているのに動けない」は怠けではない|脳のブレーキがかかりにくい仕組み
「遅刻したら困ることは分かっている」「急がなきゃいけないのも分かっている」。それでも体が動かない、行動に移せない__この状態は、ADHDの子どもによく見られます。
これは意志の弱さではなく、行動を制御するブレーキ機能が働きにくいことが関係しています。
頭では理解していても、行動を開始したり、今の行動を止めたりする指示がスムーズに伝わらないため、結果として動けなくなってしまうのです。その状態で強く叱られると、本人は「分かっているのにできない自分」を責めることになります。遅刻を減らすためには、叱るよりも環境や伝え方を調整する視点が欠かせません。

よくある「遅刻パターン」と、その裏にあるADHDの特性
ADHDの子どもの遅刻には、いくつか共通したパターンがあります。どれも「本人が分かっていない」「反省していない」から起きているわけではありません。
それぞれの行動の背景には、ADHD特有の集中の仕方や切り替えの難しさが関係しています。
ここでは、家庭でよく見られる遅刻パターンと、その理由を整理していきます。
1. ゲームや動画をやめられず、夜更かしして朝に間に合わない
夜になると、「もう少しだけ」「ここまでやったら終わるから」と言いながら、ゲームや動画を続けてしまい、結果として寝る時間が遅くなり、翌朝起きられず遅刻する__これはADHDの子どもによく見られるパターンです。
背景には、興味のあることに強く集中しすぎる特性があります。
ADHDの子どもは、楽しいことや刺激の強いものに対して、一気に意識が向きやすく、自分で止める判断が難しくなります。時間を意識してやめようとしても、「今」を優先してしまい、結果的に夜更かしにつながります。親から見ると「約束を守らない」ように感じますが、本人の中ではやめたくても切り替えられない状態が起きていることも少なくありません。
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2. 朝の準備に時間がかかり、気づいたら家を出る時間を過ぎている
朝の身支度に取りかかってはいるものの、着替え、歯みがき、持ち物準備がスムーズに進まず、いつの間にか出発時間を過ぎてしまうケースも多く見られます。
これは、「ゆっくりしている」というより、やるべき行動を順番立てて進めるのが苦手なことが原因です。
何から始めるか、次に何をするかを頭の中で整理するのに時間がかかり、その途中で別のことに意識が向いてしまうこともあります。その結果、本人は動いているつもりでも、全体として見ると準備が進んでいない状態になります。このタイプの遅刻は、本人の感覚と現実の進み具合にズレが生じやすい点が特徴です。
3. 家は時間通りに出たのに、途中で寄り道して遅刻してしまう
「今日はちゃんと出られた」と思って安心したのに、学校に着くまでの途中で寄り道をしてしまい、結果的に遅刻するケースもあります。
これは、外に出た後も気が緩んでいるわけではなく、周囲の刺激に反応しやすい特性が影響しています。
道に落ちている物、気になる看板、友だちの姿など、目に入った情報に意識が向くと、そのまま行動が変わってしまうことがあります。本人は寄り道をしている自覚が薄く、「気づいたら時間が過ぎていた」という感覚になりがちです。親からすると不思議に見えますが、これは注意が移りやすく、目的を一時的に忘れてしまう状態として理解すると納得しやすくなります。

ADHDの子どもの遅刻を減らす具体的な工夫|叱らなくても変えられる!
ADHDの子どもの遅刻対策というと、「生活習慣を正す」「もっと厳しく管理する」といった方向に意識が向きがちです。ただ、ADHDの特性を考えると、努力や根性で改善しようとする方法は、親子ともに疲れてしまうケースが少なくありません。
大切なのは「遅刻を完全になくす」と捉えるのではなく、朝の動きを整え「遅刻しにくくする」という視点に切り替えることです。
ここでは、家庭で無理なく続けやすい工夫を具体的に紹介します。
1. 朝は「やること3つだけ」を紙に書いて貼る
ADHDの子どもは、朝起きた瞬間から多くの情報にさらされています。着替え、歯みがき、朝ごはん、学校の準備__やるべきことが頭の中で一気に浮かぶと、どこから手をつければよいか分からなくなり、結果として動きが止まってしまいます。
そこで有効なのが、朝にやることを3つだけに絞って見える形にする工夫です。
例えば、「着替える」「朝ごはんを食べる」「家を出る」といった大きな行動だけを書き出します。細かく分解しすぎると逆に混乱しやすいため、「最低限これだけできればOK」というラインを親が決めることがポイントです。紙に書いて貼ることで、子どもはその都度頭で考えなくても行動を確認できます。これは甘やかしではなく、脳の負担を減らすための補助と考えると分かりやすいでしょう。
2.「何時までに」ではなく「これが終わったら次」を伝える
「あと10分で出るよ」「7時30分までに準備して」といった声かけは、多くの家庭で使われていますが、ADHDの子どもにとっては、時間そのものは抽象的で実感しづらいものです。
そのため、時間を基準にした指示は、行動につながらないことがよくあります。
代わりに意識したいのが、行動を基準にした伝え方です。
「着替えが終わったら朝ごはん」「歯みがきが終わったらランドセルを持つ」といったように、次の行動を具体的に示します。こうすることで、子どもは「今やること」に集中しやすくなります。
時間管理を子どもに任せるのではなく、行動の流れを親が一緒に作る。この考え方は、遅刻対策だけでなく、朝の衝突を減らす上でも大きな効果があります。
3. アラームは増やさない|「起きる用」「出る用」の2つだけにする
遅刻を防ごうとすると、つい「5分おきにアラームを鳴らす」「何個も通知を設定する」といった対策を取りたくなります。ただ、アラームが多すぎると、音そのものに慣れてしまい、かえって反応が鈍くなることがあります。
おすすめなのは、アラームを2つだけに絞ることです。
1つ目は「起きるためのアラーム」、2つ目は「家を出る合図のアラーム」にし、それぞれの意味を明確にします。
アラームは注意を促す道具ではなく、行動を切り替える合図として使うのがポイントです。
数を減らすことで、「この音が鳴ったら動く」というルールが分かりやすくなり、朝の混乱を減らしやすくなります。
4. 前日の夜に持ち物を玄関へ|朝の判断を減らす“見える化”
朝の準備が遅れる大きな原因の一つは、「考える場面」が多いことです。
「今日は体操服いる?」「宿題のプリントは入れた?」と、その都度判断が必要になる問いかけが多いと、ADHDの子どもは立ち止まりやすくなります。
そこで効果的なのが、前日の夜に持ち物を玄関にまとめて置く方法です。
翌朝は、置いてある物を持って出るだけ。探す、考える、確認するといった工程を減らすことで、行動がシンプルになります。
この工夫は、子どもだけでなく親の負担も減らします。朝の声かけが減り、結果として親子のやり取りが穏やかになるケースも多いです。
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⇒ 「ADHDの子どもの忘れ物が減る!親ができる対策&声かけガイド」
5. 遅刻しても感情的に叱らない|朝の衝突を減らす考え方
遅刻が続くと、「いい加減にして」「何度言えば分かるの」と感情的になってしまうこともあります。ただ、強い言葉で叱っても、次の日の遅刻が減るとは限りません。
むしろ、朝そのものが緊張の時間になってしまうことがあります。
ADHDの子どもは、プレッシャーが強いほど動きにくくなることがあります。遅刻した事実と、感情的なやり取りは切り分け、「次にどうするか」に目を向ける方が、結果的に改善につながります。
叱らないことは放任ではなく、長期的に見て遅刻を減らすための戦略だと考えてみてください。
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⇒ 「発達障害の子どもを育てるのに疲れた方へ|大切な考え方と具体的な対策とは」
6. うまくいかない対策は1週間でやめていい|家庭ごとに合う形を探す
ここまで紹介した工夫は、すべての家庭に必ず合うわけではありません。大切なのは、「合わなかった方法」を続けないことです。
最初から「1週間だけ試す」と決めておくと、親も子も気持ちが楽になります。
うまくいかなかった対策は失敗ではありません。「この方法は合わなかった」と分かっただけです。家庭の状況や子どもの特性によって、合う形は変わるのです。
試しながら調整していく姿勢こそが、遅刻対策を続けるうえで一番大切なポイントです。

まとめ
ADHDの子どもの遅刻は、やる気や甘えの問題ではなく、時間の感じ方や行動の切り替えに関わる脳の特性から起きやすいものです。叱っても改善しにくいのは、本人の意識ではどうにもならない部分が影響しているからです。
だからこそ大切なのは、完璧に直そうとすることではなく、朝の動線や伝え方を少し整えてあげること。できる工夫を一つずつ試し、合わなければ無理に続けない姿勢が、結果的に遅刻を減らし、親子の負担も軽くします。
遅刻は「責めるべき欠点」ではなく、「支え方で変えられる困りごと」。その視点を持つことが、毎朝を少し楽にする第一歩になります。
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