発達障害の子どもを育てるのに疲れた方へ|大切な考え方と具体的な対策とは

公開日:2025年5月19日

このコラムでは、発達障害のある子どもを育てることに「疲れた」と感じている保護者の方に向けて、なぜ発達障害の子どもの子育てが負担になりやすいのかを解説します。また、発達障害の子どもを育てるときに大切な考え方や、親の負担を軽減する具体策もご紹介します。

発達障害の子どもを育てていて疲れてしまう主な原因とは?

発達障害のある子どもを育てていると、一般的な子育てとは異なる難しさに直面する場面が多くあります。
最初は「自分がもっと頑張れば…」と思っていても、日々の積み重ねによって疲れがたまり、心がすり減ってしまう保護者の方も少なくありません。
ここでは、発達障害の子どもを育てている保護者が「つらい」「もう限界かも」と感じてしまう主な原因について解説します。

1. 子どもが予測できない行動をしてしまう

発達障害の特性として、衝動的に行動してしまうことがあります。
たとえば、ADHD傾向の子どもであれば、急に走り出す、物を投げる、危険な行動をとるなど、予測できない行動をとることが多いです。親が注意する暇もなく動いてしまうため、常に神経を張りつめている必要があります。
また、ASD(自閉スペクトラム症)傾向の子どもは強いこだわりを持つことが多く、スケジュールや環境の変化に敏感だったり、気に入らないことがあると強い抵抗やパニックを起こしたりします。

「次は何が起きるのか分からない」という毎日が続くことで、保護者は慢性的なストレスを抱えやすくなります。

2. 自己肯定感が低下し、自分の育て方に不安を感じてしまう

何度注意しても同じことを繰り返したり、他の子どもと違う行動をとるわが子を見ると、「自分の育て方が悪いのでは」と不安になってしまう方も多いです。
特に周囲の目や意見に敏感になり、「ちゃんとしつけてない」「親のせいだ」と思われているのではないかという思い込みから、保護者自身の自己肯定感が下がってしまうケースもあります。

こうした感情の積み重ねは、子どもとの関係だけでなく、保護者自身のメンタルバランスを崩す大きな要因にもなり得ます。

3. 周囲に理解してもらいづらい

発達障害の子どもは家庭では予測不能な行動をとる一方で、学校や外では大人しく見えることもよくあります。
そのため、先生や周囲の大人から「特に問題ないですよ」と言われると、「家庭の問題なのでは」と思われがちです。

また、パートナーや祖父母など身近な家族が発達障害に対する理解が乏しい場合、「甘やかしているだけ」「しつけがなっていない」などと責められてしまい、母親の孤独感や孤立感を深めてしまうことがあります。

4. 自分の時間が持てず、心の余裕がなくなる

発達障害の子どもを育てる場合、常に子どものことで頭がいっぱいになってしまい、自分の趣味やリフレッシュの時間を確保できない保護者が少なくありません。
子どもの行動を常に気にかけ、先回りして動く必要があるため、気が休まる暇がないのです。

「自分の時間がほしい」と思うこと自体に罪悪感を抱いてしまうケースもあり、その結果ますます心の余裕を失っていきます。

5. 日々のトラブル対応で慢性的に疲弊している

発達障害の子どもを育てる場合、突然の癇癪、学校でのトラブル、兄弟姉妹とのケンカなど、毎日のように何らかの問題が発生することもあります。
その都度対応に追われ、落ち着いて話す時間も、考える余裕もなくなってしまうと、保護者の疲労感はどんどん蓄積していきます。

「この状況がいつまで続くのか分からない」という不安感も、慢性的な疲れと無力感を生みやすく、心の余裕をさらに奪ってしまいます。

保護者に知ってほしい大切な考え方

発達障害のある子どもと向き合う毎日は、想像以上にエネルギーが必要です。
だからこそ、子どもへの関わり方だけでなく、保護者自身の「考え方」や「捉え方」を少し変えるだけでも、心の負担は大きく軽減されます。
ここでは、日々疲れてしまう保護者の方にこそ知っておいてほしい、5つの大切な考え方を紹介します。

1. 完璧を目指さない

「ちゃんと育てなきゃ」「周りに迷惑をかけないように」と、保護者が理想の育児像や完璧な子育てを目指すと、自分を追い込みやすくなります。
特に発達障害のある子どもは、周囲と同じペースで成長するとは限りません。
その子自身のペースを大切にし、「できることを少しずつ増やしていけばいい」と考えることで、心がふっと軽くなることもあります。

2. 感情的にならないようにする

何度注意しても直らない行動に、思わずイライラして声を荒げてしまうことは誰にでもあります。
しかし、感情的に叱っても子どもには伝わりにくく、関係性がこじれてしまうこともあります。
そんなときは、怒りを感じた瞬間に「いったん間を取る」ことを意識してみてください。
深呼吸をしたり、少し距離を取って冷静になる時間を挟むだけでも、余計な衝突を避けられることがあります。

3. 子どもの“できた”を見つけてほめる

日々の関わりの中で、どうしても「できないこと」「困った行動」に目が向きがちです。
しかし、どんな子どもにも「できた瞬間」は必ずあります。
たとえば、自分で靴を揃えられた、いつもより早く切り替えられた、今日は泣かずに終えられたなど、小さな進歩を見逃さずに声をかけることが大切です。
子どもは「認められた」「ほめられた」という経験を積むことで、自信を持ち、次の行動につなげやすくなります。

4. 「この子はダメ」ではなく「やり方を変えれば伸びる」と捉える

「何をしてもダメ」「どうせできない」と思ってしまうことは、保護者にとっても苦しい感情です。
でも、子ども自身に問題があるのではなく、「やり方」や「関わり方」が合っていないだけかもしれません。
環境を変えたり、別の伝え方を試してみたり、アプローチを工夫することで子どもがぐんと伸びることもあります。
可能性を信じ、前向きに関わる姿勢が、子どもを成長させる大きな支えになります。

5. 「他の子と比べない」ことを意識する

兄弟や周囲の子と比べて「なんでこの子は…」と思ってしまうのは、自然な感情です。
でも、比べることで子どもへの期待や不満が膨らみ、保護者自身の心が疲弊してしまいます。
「この子はこの子のままでいい」と認めることが、最大のサポートになります。
比べるべきは過去のその子自身。「昨日より少しできたこと」を大切に見守る姿勢が、子どもにも安心感を与えてくれます。

疲れてしまったときの具体的な対処法

どれだけ頑張っていても、疲れるときは誰にでもあります。
特に発達障害のある子どもを育てていると、イレギュラーな対応や心配ごとが日常的に発生し、知らず知らずのうちに心も体も限界に近づいてしまうことがあります。
ここでは、そんなときに試してほしい具体的な対処法を5つご紹介します。
「つらい」と感じたときは、無理に我慢せず、自分を守るための工夫を取り入れていきましょう。

1. 感情のコントロール法(アンガーマネジメント)を取り入れる

怒りやイライラは、完全になくすことはできません。
ただ、アンガーマネジメントを活用することで、感情に振り回されずに行動する力を養うことができます。
「怒りを感じたら6秒待つ」「その場を離れる」「深呼吸をする」など、簡単に実践できる方法も多くあります。

怒るべきことと、怒らなくていいことを自分の中で仕分けする習慣を持つことで、衝動的な怒りからの後悔を減らし、子どもとの関係も穏やかに保ちやすくなります。

2. ペアレントトレーニングを取り入れる

ペアレントトレーニングとは、発達障害のある子どもを育てる保護者向けに開発された関わり方のトレーニングプログラムです。
子どもをどう褒めるか、どう対応すれば問題行動を減らせるかなど、具体的な技術を学ぶことができます。

「感覚ではなく、理論に基づいた関わり方」が分かることで、育児の不安や迷いが軽減されるというメリットがあります。
自治体や医療機関、発達支援センターなどで実施されていることが多いので、情報をチェックしてみましょう。

3. 同じ悩みを持つ保護者と情報交換をする

同じ立場の人と話すだけで、気持ちがふっと軽くなることがあります。
周囲に相談できる人がいないと、「この悩みは自分だけなのでは」と思ってしまいがちですが、同じように悩んでいる保護者はたくさんいます。

発達障害の子どもを持つ保護者の会やSNSのコミュニティ、支援団体の交流会などに参加することで、情報交換ができるだけでなく、「分かってもらえる」安心感を得ることもできます。
また、自分ひとりでは気づかなかった工夫や支援制度を知るチャンスにもなります。

4. 子どもと少し距離を取れる時間を意識的に作る

毎日ずっと向き合い続けていると、どんな親でも心がすり減ってしまいます。
ときには「子どもと距離を取る時間」も必要なケアの一つです。
数十分でもいいので、子どもと離れて一人になる時間を意識的に作ってみてください。

その間にコーヒーを飲んだり、散歩をしたり、好きな音楽を聴いたりするだけでも、気持ちがリセットされやすくなります。
罪悪感を持たず、「休むことも大切な育児」と考えて、自分を労わってあげてください。

5. 公的支援やカウンセリングを活用する

育児のストレスや悩みを抱えたとき、専門家の力を借りることは決して恥ずかしいことではありません。
自治体の子育て相談窓口、発達支援センター、スクールカウンセラーなど、さまざまな相談先があります。

また、心理士やカウンセラーとの面談を通じて、自分の感情を整理したり、状況を客観的に見つめ直したりすることもできます。
一人で抱えず、頼れるものには頼ることが、長く安定した育児を続けていくための鍵になります。

まとめ

発達障害のある子どもを育てることは、日々の喜びとともに大きな負担も伴います。だからこそ、「頑張りすぎない」「一人で抱え込まない」ことが大切です。
完璧を目指すのではなく、自分と子どもに合ったやり方を見つけながら、少しずつ前に進んでいきましょう。

この記事を企画・執筆・監修した人

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この記事は、家庭教師のマスターを運営している株式会社マスターシップスの「家庭教師のマスター教務部」が企画・執筆・監修した記事です。家庭教師のマスター教務部は、教育関連で10年以上の業務経験を持つスタッフで編成されています。
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