【先生向け】期末テスト指導法ガイド【中1編】|家庭教師のマスター
中学1年生にとって期末テストは、9教科すべてが対象となる初めての大きな試験です。学習範囲の広さと副教科の比重を意識しながら、効率的に成果を上げることが大切です。
家庭教師の先生向けに、主要5教科+技能4教科のバランスを取った効果的な期末テスト対策のポイントを紹介します。

中1の期末テスト指導に求められる視点
中学1年生にとって期末テストは、初めて9教科が対象となる大きな試験です。中間テストと比べると学習量が増え、計画的な勉強が欠かせません。
さらに、主要5教科に加えて技能4教科も評価の対象となるため、「勉強のバランスを取る力」が試されます。
家庭教師としては、「どの教科にどれだけ時間をかけるか」「どのように勉強の優先順位をつけるか」を一緒に整理し、生徒が混乱せずに取り組めるよう導いていくことが大切です。
ここでは、期末テストを指導する上でまず意識したい2つの視点を解説します。
1. 中間テストとの違いを理解する

期末テストの特徴は、何よりも試験範囲の広さと科目数の多さにあります。
中間テストは“5教科集中型”であるのに対し、期末テスト“9教科対応の総合型”です。そのため、学習量が大幅に増え、短期間で全教科を仕上げるのが難しくなるのが実情です。
この違いを理解せずに中間テストと同じペースで進めると、“やり切れない科目”が出てしまいます。ですから、先生は早い段階から、「いつ・どの教科に取りかかるか」という学習スケジュールの見通しづくりをサポートしましょう。
また、期末テストでは実技科目(副教科)もテストが実施されます。
「副教科は勉強しなくても大丈夫」と軽視する中1の生徒が多いですが、多くの都道府県では中1・中2の副教科の成績も高校入試の内申点に加味されます。
そのため、技能教科の評価も“未来の得点”につながる大切な要素であることを、生徒に理解させることが重要です。
さらに、期末テストでは学期中に学んだ学習内容の総合問題が出題されることもあります。
単元ごとの理解だけでなく、「これまで学んだ内容をどうつなげて使うか」という総合的な理解力が問われます。
家庭教師は「単元をまたいだ復習」を意識し、思考力を鍛える指導を取り入れると良いでしょう。
2. 9教科対応の学習バランスをどう取るか
期末テストでは、5教科+技能4教科=9教科すべてが評価対象になります。
この“9教科すべて”というボリュームを前に、生徒が「どれから手をつければいいのか分からない」と戸惑うことも少なくありません。
先生はまず、主要5教科を優先することを伝えた上で、副教科は早めの準備を促すことが大切です。
副教科は提出物や作品、記録ノートなど、事前評価の比重が大きいため、テスト直前にまとめて取り組もうとすると間に合いません。

「授業で出された課題をその日のうちに終える」「テスト前1週間は復習中心にする」といった具体的な目安を示してあげましょう。
また、5教科については「得意科目で点を伸ばす」「苦手科目を底上げする」という科目ごとの目標設定を明確にすることが重要です。生徒自身に「どの教科で何点を目指すか」を意識させることで、全体のバランスが取りやすくなります。
加えて、学習時間の配分にも注意が必要です。
例えば、「主要5教科に7割、技能4教科に3割」といったざっくりとした割合を示すだけでも、生徒は学習の全体像をイメージしやすくなります。その上で、日ごとに「今日は理科と技術」「明日は英語と美術」といったように、1日の中で複数教科を交互に進める工夫を提案しましょう。
家庭教師が“教科バランスの設計者”としてサポートすることで、生徒は無理なく全教科に取り組めるようになります。
期末テストの成功は、この「バランス設計」にかかっていると言っても過言ではありません。
1学期(または前期)期末テストへの指導戦略
1学期の期末テストは、中学生活で初めての9教科試験です。
中間テストまでは主要5教科だけだったため、多くの生徒がこの時期に「勉強量の多さ」に驚きます。
ここでは、勉強の総量に慣れながら、無理のないペースで全教科に取り組めるよう指導していくことが大切です。
1. 指導全体のテーマは「学習量に慣れること」
中1の1学期期末テストでは、範囲が広く、さらに技能4教科が加わるため、学習の負担が一気に増す時期です。この段階で目指したいのは、完璧を求めることではなく、9教科をバランスよく勉強できるペースをつかむことです。
生徒の多くは、テスト直前に焦って全教科を詰め込もうとしますが、結果的にどの科目も中途半端になります。

そこで先生は、「早めに少しずつ進める」習慣をつけさせることを意識しましょう。
例えば、「テスト2週間前には全教科に一度手をつけておく」という目標を立て、学習計画を一緒に立てるだけでも、勉強のリズムが安定します。
また、初めての9教科テストでは、時間配分や切り替えの練習も重要です。
「英語を30分やったら理科に切り替える」といったように、1日の中で複数教科を交互に学ぶ切り替えトレーニングを意識させると、集中力の持続にもつながります。
効果的な勉強計画の立て方についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「効果的な勉強計画の立て方|計画倒れしないためのコツもご紹介!」
2. 主要5教科の指導ポイント
英語
英語では、be動詞・一般動詞の区別や三人称単数など、基礎の定着がカギになります。
文法理解を確認しながら、「自分で文を作る練習」を取り入れると、知識の定着が深まります。
数学
数学は、文字式・方程式・図形の基礎が中心です。
途中式を省かず、「考え方を説明できる指導」を心がけましょう。
間違えた問題をノートに整理することで、復習の質を高めることができます。
国語
国語は、語句の意味・文法・読解問題のバランスが重要です。
文章問題では、答えの根拠を文中から探す「根拠読み」を意識させましょう。
理科
理科は、植物・光・音・力など観察や実験が絡む単元が多く出題されます。
図やグラフを使って「説明できる理解」を目指します。
社会
理科は、植物・光・音・力など観察や実験が絡む単元が多く出題されます。
図やグラフを使って「説明できる理解」を目指します。
3. 副教科を軽視しない指導のコツ
中1では主要5教科の勉強で精一杯になりがちですが、副教科(技能4教科)も内申評価に関わる重要な教科です。
多くの都道府県では、中1・中2の成績も高校入試の内申点に加味されるため、この時期から「副教科も真剣に取り組む姿勢」を育てることが大切です。
副教科では、テストよりも提出物・授業態度・作品の完成度などが重視されます。
「授業中のメモを丁寧にとる」「課題は期限より早く出す」といった具体的な行動指導を通して、生徒が“評価される努力の仕方”を理解できるようにしましょう。
また、技術や家庭、美術、音楽のような実技科目は、勉強方法が分からない生徒が多い分野です。
先生は、ワークやプリントを見ながら「どこを覚えたら点につながるか」を一緒に確認し、短時間でも繰り返す練習を勧めてあげると効果的です。
副教科を軽視せず、9教科の努力を積み重ねる経験を持たせることが、今後の学習姿勢を育てる第一歩になります。
2学期の期末テストへの指導戦略
2学期の期末テストは、学年の折り返しとして大きな意味を持つテストです。
範囲が広く、行事も重なりやすいため、勉強のペースを崩す生徒が増える時期でもあります。
先生は、生徒が「やる気を維持しながら、長期間コツコツ取り組む力」を育てられるように指導していくことが大切です。
1. 指導全体のテーマは「計画力と持続力の育成」

2学期の期末テストは、範囲が広い上に9教科が対象となり、計画性のある学習管理が欠かせません。また、学習内容も1学期と比べて難易度が上がります。
この時期の目標は、すべてを完璧に仕上げることではなく、“無理
ない計画で最後までやり抜くこと”です。
特に注意したいのは、中だるみの時期に入る生徒のモチベーションです。
「まだ大丈夫」と油断しているうちにテスト直前を迎えるケースが多く見られます。先生は、テスト3週間前には一度スケジュールを一緒に立て、「今どこまで進んでいるか」を見える化すると効果的です。
また、提出物の管理も大切なポイントです。
課題の進捗を定期的に確認し、「授業で扱った部分をその日のうちに終える」習慣をつけることで、提出遅れを防ぎましょう。
モチベーション維持についてもっと知りたい方はこちら
⇒「勉強のモチベーションを上げる方法|テクニックを使ってやる気UP!」
2. 主要5教科の指導ポイント
英語
英語では、比較・不定詞・助動詞など、文法の応用が中心になります。
これらの単元は入試にもつながる重要内容なので、文の構造を理解し、使える形で覚える指導を心がけましょう。
数学
数学は、比例・反比例・平面図形・資料の整理など、複数単元が混在します。
苦手単元を放置せず、「解ける問題を確実に増やす」意識で演習を重ねることが大切です。
国語
国語は、現代文・古文・文法の総復習に加え、記述問題が多く出る傾向があります。
書く練習を避けず、自分の言葉で答える力を養うことが得点アップのカギになります。
理科
理科は、化学反応・電流・生物の構造など、理解が難しい内容が続きます。
図解や実験記録を活用し、「なぜそうなるか」を説明できる学習を意識しましょう。
社会
社会は、歴史の後半や地理のまとめが中心です。
流れを暗記するだけでなく、時代や地域を関連づけて理解する視点を持たせると、応用問題にも対応できます。
3. 9教科のバランスを整える学習設計
2学期の期末では、主要5教科に加えて技能4教科も含めた、9教科すべてが評価の対象になります。
技能4教科は、普段の授業での実技・作品・提出物に加えて、期末テスト期間中に行われるペーパーテストの結果も成績に反映されます。そのため、「副教科は実技・提出物だけやっておけば良い」という考え方では不十分で、テスト勉強としての準備も必要になります。

先生としては、まず技能4教科について「授業中の評価」と「期末テストでの筆記」の両方があることを生徒に伝え、どちらも意識して取り組むように促すことが大切です。
テスト前には、ワークやプリント、配布されたプリント類を一緒に確認し、どの範囲がペーパーテストとして問われるのかを整理してあげると、勉強の見通しが立てやすくなります。
結果として、主要5教科と技能4教科の両方で、テスト前に何をすべきかがはっきりし、9教科全体のバランスが取りやすくなります。
家庭教師が全体を見渡しながら、どの教科にどれくらい時間を配分するかを一緒に決めていくことが、期末テスト成功の鍵になります。
副教科についてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「副教科の勉強法について|テストで高得点を取るための対策」
3学期(または後期)期末テストへの指導戦略
3学期(または後期)の期末テストは、1年間の学習の総まとめとして行われる重要な試験です。
中学1年生にとっては、これまで積み上げてきた知識や学習習慣を整理し、2年生に向けて学びをつなぐ節目でもあります。
先生は、成果を確認しながら、次学年に向けての「学びの土台づくり」を意識した指導を心がけましょう。
1. 指導全体のテーマは「1年間の総まとめ」

3学期の期末テストは、これまでの範囲を総合的に出題する学校が多く、1年間の理解度を確認するテストとも言えます。
学年末でもあるため、ここでは「1年間の苦手分野の洗い出しと総復習」に力を入れるのが効果的です。
生徒には、テスト勉強を「1年間の総仕上げ」として取り組ませましょう。
これまでの中間・期末テストの問題を振り返らせ、「自分がどの単元でつまずいてきたのか」を一緒に整理しましょう。
先生は、その結果をもとに、「できなかった分野をもう一度解けるようにする学習」を中心に計画を立てると良いです。
また、3学期は他の学期に比べて期間が短く、テストまでの時間も限られます。
早めに準備を始め、「テスト1週間前には主要教科の復習を終えておく」などの具体的な目標を立て、ペース管理をサポートしましょう。
2. 主要5教科の総復習の進め方
英語
英語では、1年間の文法事項(be動詞・一般動詞・疑問文・三人称単数・助動詞など)を総復習する時期です。
単元ごとに整理しながら、文法を使い分けて表現できるようにする練習が重要です。
既習内容をまとめた自作ノートを作ると、理解が定着しやすくなります。
数学
数学は、計算力と文章題の総まとめが中心です。
「どの単元で間違えやすいか」を分析し、苦手単元を集中的に演習しましょう。
特に方程式や図形などの基礎は、2年生以降の学習の土台になるため、確実に整理しておく必要があります。
国語
国語は、文法・漢字・読解・古文など幅広い内容が出題されます。
文章問題では、答えの根拠を文中で確認する習慣をもう一度徹底し、読み取る力の確認を行いましょう。
理科
理科は、地学・化学・物理・生物の基礎分野の統合がポイントです。
単元をまたいだ出題も多く、図やグラフを活用しながら「内容をつなげて理解する」練習を重ねると効果的です。
社会
社会では、地理と歴史のまとめが中心となります。
地名・人物名・出来事を単に暗記するのではなく、時代や地域の流れを整理する復習を行いましょう。
3. 次学年への橋渡しとしての指導
3学期の期末テストが終わると、学年の総まとめだけでなく、次年度への準備期間が始まります。
この時期の学習を「終わり」と捉えるのではなく、「次に向けて何を伸ばしたいか」を考えるきっかけにしましょう。
先生は、生徒と一緒に「得意になった教科」「まだ苦手が残る単元」を整理し、春休みに向けた学習計画を立てると良いです。
このプロセスを通して、生徒自身が1年間の成長を実感できると、学ぶ意欲が大きく変わります。
また、テスト結果の見直しでは、「点数」だけでなく、「どの単元が定着していないか」「どんなミスがあったか」を振り返ることが重要です。
家庭教師としては、「次の学年で活かせる学び」を明確にしてあげることで、生徒に前向きな気持ちを持たせることができます。
3学期(または後期)の期末テストは、単なる学年の締めくくりではなく、次の学年へとつながるステップです。
1年間の努力をしっかりと形にしながら、生徒が自信を持って次の学年へ進めるよう、丁寧にサポートしていきましょう。
期末テストを活かした年間サポートの実践ポイント
期末テストは、1年間の学習を振り返り、次につなげる重要な機会です。
中1の段階では「点数」よりも、「どのように勉強を積み重ねてきたか」を生徒と一緒に確認しながら、成長を実感させることが大切です。
1. 9教科全体の得点バランスを意識する

期末テストでは主要5教科に加え、技能4教科の得点も大切です。どちらか一方に偏らず、9教科すべてに目を向ける姿勢を育てましょう。特に副教科もペーパーテストが行われるため、早めの準備が必要です。
先生は、「得意教科を伸ばす」「苦手教科を底上げする」というように、教科ごとの小さな目標を立て、生徒が自分のペースでバランス良く取り組めるよう支援します。
2. 勉強時間と集中力のマネジメント
9教科を勉強するには、時間の使い方がカギになります。
「短時間集中・こまめな休憩」を意識し、60分勉強+10分休憩など、集中力を保てるリズムを作りましょう。
また、同じ教科を長時間続けるよりも、英語→理科→美術のように、内容が異なる科目を交互に進めることで、集中が続きやすく、飽きにくい学習になります。
先生は、生徒の様子を見ながら、学習ペースを一緒に整えていくと良いでしょう。
ポモドーロテクニックについてもっと知りたい方はこちら
⇒ 「ポモドーロテクニックとは?|勉強がはかどる時間管理法と実践ステップ」
3. 学習の振り返りと1年間の成長記録
テスト後は、点数だけでなく学習の過程を振り返る時間を設けましょう。
「どの教科が伸びたか」「どんな工夫がうまくいったか」を確認し、次の学期に活かせるよう一緒にまとめておきましょう。
成績ノートや簡単なチェック表を使い、1年間の変化を可視化すると、生徒自身が「できるようになった実感」を持ちやすくなります。
それが次のテストや学年へのモチベーションにつながります。

4. 保護者との情報共有と学期総括の伝え方
期末テスト後は、保護者への報告も欠かせません。
「どんなところが伸びたか」「どんな姿勢で頑張っていたか」を具体的に伝えることで、家庭でも前向きなサポートがしやすくなります。
また、次の学期に向けた方向性を一言添えると、保護者との信頼関係も深まります。
「計画を立てるのが上手になったので、来学期は応用力を育てたい」といった形が理想です。
まとめ|中1の中間テストは「学習習慣づくり」の軸になる
中学1年生にとって期末テストは、ただの学期末試験ではありません。
9教科すべてを対象とすることで、学習の幅が一気に広がり、計画的に取り組む力を試される大切な機会になります。
特に1年生のうちは、勉強量の多さに戸惑う生徒も少なくありません。
しかし、先生の支えによって「どの教科をいつ、どれくらい勉強するか」を一緒に整理していくことで、生徒は少しずつ学びのリズムをつかみ、自信を持って取り組めるようになります。
また、期末テストは単に点数を競うものではなく、自分の努力を形にする場でもあります。
「苦手な教科を少し克服できた」「提出物を計画的に終えられた」など、小さな成功体験を積み重ねることが、次の学期への原動力になります。
中1の期末テストを通して身につけた計画性や粘り強さは、今後の中学校生活の基盤となります。先生は、生徒が“自分の力でやり抜く姿勢”を育てられるよう、焦らず丁寧に伴走していくことが大切です。
1つひとつのテストを通して、「学ぶことが自分を成長させるものだ」と感じられるような指導を重ねていきましょう。それが、家庭教師として生徒に寄り添う最も大きな役割です。
