発達障害はなぜ増えた?|増えたように見える理由と子どもを取り巻く環境の変化
公開日:2026年2月25日
更新日:2026年2月25日

発達障害は本当に増えたのでしょうか?「昔はこんなに多くなかった気がする」と感じる親世代の疑問をもとに、時代背景・データ・診断や教育現場の変化から整理します。
発達障害を「ラベル」ではなく子どもの特性として捉え、親としてできる関わり方も解説します。
なぜ今、発達障害の子が「増えた」と感じるのか|親世代との決定的な違い
「最近、発達障害の子が増えた気がする」と感じる保護者は少なくありません。しかし、この感覚は、実際に子どもの数そのものが急増したことを意味するものではありません。
親世代が子どもだった頃と比べて、言葉・価値観・社会環境そのものが大きく変わったことで、子どもの特性が見えやすくなった側面があります。まずは、その“違い”を整理してみましょう。
1. 親世代の子ども時代には「発達障害」という言葉がほとんど使われていなかった
親世代が子どもだった頃、「発達障害」という言葉は一般的ではありませんでした。
学校や家庭でも、今のように特性を分類したり、支援につなげたりする発想自体がほとんどなかった時代です。ですから、落ち着きがない子、集団行動が苦手な子、勉強につまずきやすい子がいても、それを発達の特性として捉える視点は乏しかったと言えるでしょう。
そのため、同じような困りごとを抱えていても、「名前がつかなかった」だけの子どもは数多く存在していました。
2. 昔は「性格」「努力不足」で片付けられていた子どもたち
かつては、学校生活でうまくいかない子どもに対して、「落ち着きがないのは性格」「勉強ができないのは努力不足」といった個人の問題として扱われることが一般的でした。
その結果、子ども自身も「自分が悪い」「頑張れない自分がダメだ」と感じやすく、困りごとが表に出にくい環境だったとも言えます。
今と比べると、支援につながる前に我慢したり、あきらめたりしていた子が多かったのが実情です。
3.「普通」の基準が変わり、特性が目立ちやすくなった社会環境
現代は、学校や社会の中で求められる「普通」の基準が、以前よりも細かく、明確になっています。
時間を守る、指示を正確に理解する、空気を読むなど、集団生活で求められる力が増えたことで、子どもの特性が相対的に目立ちやすくなった側面があります。
また、少人数化や個別評価が進んだことで、一人ひとりの違いに目が向きやすくなりました。これは悪い変化ではなく、子どもを丁寧に見る社会になった結果とも言えます。
4. SNSやネット情報で比較や不安が生まれやすくなった
現代の保護者は、SNSやインターネットを通じて、他の家庭や子どもの様子を簡単に目にする時代にいます。ですから、「同じ年齢なのに、うちの子だけ違うのでは」と感じやすく、不安が増幅されやすい環境でもあります。
一方で、情報が増えたことで「気づけるようになった」というメリットもあります。
発達障害が増えたと感じる背景には、比較しやすくなった社会構造そのものが影響していることも理解しておく必要があります。

本当に発達障害の子は増えている?|データから見る誤解と現実
「発達障害の子が増えている」という言葉は、ニュースやネット記事でも頻繁に見かけます。そのため、「今の時代の子どもは昔と何かが違うのでは」と感じる保護者も少なくありません。
しかし、公的データや教育現場の実態を丁寧に見ていくと、“子どもの性質そのものが短期間で急激に変化した”とは考えにくいことがわかります。
この章では、「増えた」という印象がどこから生まれているのかを、誤解をほどきながら整理していきます。
1. 文部科学省のデータが示す「増加」の正しい読み取り方
文部科学省が公表している調査では、特別支援学級や通級指導を利用する児童生徒の数が年々増えていることが示されています。この数字だけを見ると、「発達障害の子がどんどん増えている」と感じてしまうのも無理はありません。
ただし、ここで注意したいのは、このデータが示しているのは発達障害の発生率そのものではないという点です。
あくまで、「学校現場で支援が必要と判断され、制度につながった子どもの数」が増えていることを示しているにすぎません。
言い換えれば、以前は支援の枠に入らなかった、あるいは見過ごされていた子どもたちが、今は把握され、記録に残るようになったという変化が数字に表れているのです。
この違いを理解せずに数字だけを見ると、「急増している」という誤解が生まれやすくなります。
参照:日本経済新聞「小中学生の8.8%に発達障害の可能性 文科省調査」
発達障害の割合についてもっと知りたい方はこちら
⇒「小中学生の発達障害の割合とは?|クラスに2〜3人は“特性のある子”がいる時代」
2.「相談件数・支援対象の増加=発達障害の急増」ではない
近年、学校や教育委員会、医療機関への相談件数が増えているのは事実です。
実際に、児童相談所における平成30年度の障害に関する相談件数と令和5年度の相談件数を比較すると、約1万件もの障害相談が増加していることが分かります。
しかし、この増加をそのまま「発達障害の子が急激に増えた証拠」と捉えるのは正確ではありません。
背景には、保護者や教員の意識の変化があります。
以前は「少し変わっているけれど様子を見よう」とされていた困りごとが、今では「早めに相談しよう」「環境を整えよう」と考えられるようになりました。
また、支援制度や相談窓口が整備されたことで、相談すること自体のハードルが下がったことも大きな要因です。
相談件数が増えたのは、子どもが増えたからというより、声を上げられる環境が整った結果と見る方が現実に近いでしょう。
参照:厚生労働省「令和5年度福祉行政報告例(児童福祉関係の一部)の概況」
参照:厚生労働省「平成30年度福祉行政報告例の概況」
3. 見逃されてきた子どもが、ようやく支援につながるようになった
これまでのデータの増加を、別の角度から見ると、長い間見逃されてきた子どもたちが、ようやく支援につながり始めたとも言えます。
かつては、「集団が苦手」「授業に集中できない」「指示が通りにくい」といった困りごとがあっても、本人の努力や我慢に委ねられることが少なくありませんでした。
現在は、そうした困りごとを「本人の問題」ではなく、環境とのミスマッチとして捉える考え方が広がっています。
その結果、学校・家庭・外部機関が連携し、子どもが無理をしすぎる前に支援を受けられるケースが増えてきました。
数字が増えている背景には、社会が子どもの困りごとを拾い上げる力を少しずつ身につけてきたという側面があります。
「発達障害が増えた」と悲観するよりも、「支援につながる子どもが増えた」と捉える方が、現実に即した見方と言えるでしょう。

発達障害が「見つかりやすくなった」理由|診断・学校・社会の変化
発達障害の子どもが増えたと感じられる背景には、人数の変化だけでなく、「見つけ方」や「捉え方」が大きく変わったことがあります。
診断の考え方、学校現場の仕組み、社会全体の価値観が変化したことで、これまで気づかれにくかった子どもの困りごとが、早い段階で表に出やすくなりました。
この章では、その具体的な理由を整理していきます。
1. 診断基準や考え方の変化で、グレーゾーンも支援対象になった
以前は、発達障害の診断は「はっきりとした特徴がある場合」に限られる傾向がありました。
しかし現在は、診断基準や専門家の考え方が変化し、「白か黒か」ではなく、連続性のある特性として理解されるようになっています。
その結果、診断名がつくかどうかに関わらず、日常生活や学習で困りごとがある子どもが支援の対象として考えられるようになりました。
いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる子どもたちが、早い段階でフォローを受けやすくなったことは、見つかりやすさが増した大きな理由の一つです。
発達障害グレーゾーンの中学生についてもっと知りたい方はこちら
⇒「発達障害グレーゾーンの中学生の特徴|判断の仕方やサポート方法について」
2. インターネットや情報発信の増加が「気づき」を早めた
インターネットやSNSの普及により、保護者や教員は発達障害に関する情報に以前より簡単に触れられる環境にあります。ですから、子どもの行動やつまずきについて、「もしかすると特性かもしれない」と気づくきっかけが増えました。
一方で、情報が多いからこそ、必要以上に不安を感じてしまうケースもあります。
それでも全体としては、「知らなかったために見逃される」状況が減り、早めに相談や支援につながる流れができた点は、大きな変化と言えるでしょう。
3. 特別支援学級・通級指導・合理的配慮が広がった学校現場
学校現場でも、発達障害への対応は大きく変わっています。
以前は「特別支援学級に在籍するかどうか」という二択になりがちでしたが、現在は通級指導や通常学級での合理的配慮など、柔軟な選択肢が広がっています。
これにより、「通常クラスに在籍しながら、必要な部分だけ個別支援を受ける」ことが可能になりました。
学校側が子どもの特性に気づき、支援に繋ぐルートが明確になったことで、結果として「見つかる子ども」が増えたのです。
4.「診断の有無」より「困りごと」を重視する流れへ
近年は、「診断があるかどうか」よりも、「どんな場面で困っているか」を重視する考え方が広がっています。
この変化は、発達障害を特別なものとして切り分けるのではなく、子ども一人ひとりの状態を見る姿勢につながっています。
その結果、診断が確定していなくても、学習や生活で困りごとがあれば支援を検討するという流れが定着しつつあります。これは、発達障害が「増えた」のではなく、子どもを支える視点が社会全体で共有されるようになったことを意味しています。

発達障害は“ラベル”ではない|子どもを理解し、支えるために親ができること
ここまで見てきたように、発達障害が「増えた」と感じられる背景には、社会や制度の変化があります。その上で、親としていちばん大切なのは、診断名に振り回されることではなく、目の前の子どもをどう理解し、どう支えるかという視点です。
この章では、発達障害を一つの「ラベル」として捉えるのではなく、子どもの特性に向き合うための考え方と関わり方を整理します。
1. 診断名よりも「どんな場面で困っているか」を見る視点
発達障害という言葉を聞くと、つい診断名そのものに意識が向いてしまいがちですが、子どもにとって本当に重要なのは、診断名があるかどうかではありません。
大切なのは、
・どんな場面で困っているのか
・何が負担になっているのか
・どんな環境だと力を発揮しやすいのか
という具体的な困りごとを見ることです。
同じ診断名であっても、困りごとの内容は一人ひとり異なります。診断を「答え」と考えるのではなく、理解のための手がかりとして捉える視点が、支援の第一歩になります。
2.「発達障害=できない」ではなく「やり方が合っていない」だけの場合もある
発達障害という言葉から、「この子はできないのでは」と不安になる親も少なくありません。
しかし実際には、能力そのものが不足しているのではなく、今のやり方や環境が合っていないだけというケースが多く見られます。
例えば、
・口頭指示より視覚的な説明の方が理解しやすい
・一斉指示より個別に伝えた方が動きやすい
・長時間より短時間の方が集中できる
といった違いは、能力の差ではなく特性の違いです。
「できない」と決めつける前に、やり方を変えたらどうなるかを考えることが、子どもの可能性を広げます。
3. 必要以上に悲観せず、子どもの特性を冷静に受け止める
診断や特性を知ったとき、将来への不安が一気に押し寄せることは自然な反応です。ただし、その不安が強くなりすぎると、子ども自身にも伝わってしまうことがあります。
発達障害は、将来が閉ざされることを意味するものではありません。困りごとがある一方で、得意なことや伸びやすい分野を併せ持っている子も多くいます。
大切なのは、「大変な部分もあるが、工夫すれば前に進める」と、現実を見ながら落ち着いて受け止める姿勢です。
親が冷静でいることは、子どもにとって大きな安心材料になります。
4. 家庭・学校・外部支援を役割分担で考えるという発想
子どもの支援をすべて家庭だけで抱え込む必要はありません。
発達障害への支援は、家庭・学校・外部支援がそれぞれ役割を持つことで、初めて無理のない形になります。
・家庭は安心できる土台をつくる場所
・学校は集団の中で学ぶ場
・外部支援は専門的な視点で補う存在
です。
どこか一つで完結させようとするのではなく、役割を分けて支える発想を持つことで、親の負担も子どもの負担も軽くなります。
5. 自己肯定感を下げない声かけと環境づくり
子どもが何度も注意されたり、失敗を指摘されたりすると、「どうせ自分はできない」という思い込みを持ちやすくなります。これは、発達障害のある子に限らず、誰にとっても大きなブレーキになります。
結果だけを見るのではなく、
・取り組もうとしたこと
・工夫しようとした姿勢
・前より少しできた点
に目を向ける声かけが、自己肯定感を守ります。
環境面でも、「失敗しにくい仕組み」を整えることで、成功体験を積み重ねやすくなることを意識したいところです。
子どもの自己肯定感についてもっと知りたい方はこちら
⇒「子どもの自己肯定感が低いのは親のせい?|原因と家庭でできるサポート方法」
6. 私たちが家庭教師として現場で感じる「本当に大切なこと」
私たちが家庭教師として多くのご家庭と関わる中で感じるのは、「特性そのもの」よりも、それをどう受け止められたかが、子どものその後に大きく影響するという点です。
「あなたはダメなんじゃない」「やり方を一緒に探そう」
そう伝えられた子どもは、多少つまずいても、自分を否定せずに前を向くことができます。
発達障害は、子どもを縛るラベルではありません。
理解の仕方と関わり方次第で、学び方も成長の形も大きく変わる__それが、現場で多くの親子を見てきた中での実感です。

まとめ
発達障害が「増えた」と感じられる背景には、子どもの数そのものが急に変わったというよりも、社会や教育の中で特性に気づき、支える仕組みが整ってきたことがあります。
かつては見過ごされていた困りごとが、今は早い段階で共有され、支援につながるようになりました。
大切なのは、診断名にとらわれることではなく、目の前の子どもがどんな場面で困り、どんな環境なら力を発揮できるのかを見ていくことです。子どもの特性を正しく理解し、家庭・学校・周囲が役割を分担しながら支えていくことで、子どもは安心して成長していけます。
発達障害は、子どもを決めつけるためのものではありません。理解と関わり方次第で、学び方や未来の広がり方は大きく変わっていく__その視点を、ぜひ大切にしていきたいところです。
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