失読症とディスレクシアの違い|「読めない」に悩む子どもをどう理解し、支えるか

公開日:2026年2月17日
更新日:2026年2月17日

文章を読むことが苦手な子どもを見て、「失読症なのでは?」「ディスレクシアかも?」と不安になる保護者は少なくありません。このコラムでは、混同されやすい「失読症」と「ディスレクシア」の違いを整理し、子どもに見られやすい特徴や日常の困りごと、家庭や学校でできる具体的な支え方をわかりやすく解説します。

目次

「失読症」と「ディスレクシア」は何が違う?|混同されやすい理由を整理

文章がうまく読めない子どもの様子を見て、「失読症なのでは」「ディスレクシアかもしれない」と不安になる保護者は少なくありません。
ただ、この二つは似ている言葉に見えて、成り立ちも意味合いも大きく異なります。ここでは、混同されやすい理由を整理しながら、それぞれの違いをわかりやすく解説します。

1. 失読症は後天性|事故や病気の後に起こる読字の障害

失読症は、もともとは普通に読めていた人が、ある出来事をきっかけに文字を読めなくなる状態を指します。
多くの場合、脳梗塞や頭部外傷などの脳の損傷が原因となり、文字の認識や意味理解が難しくなります。

このように失読症は、後天的に起こる症状であり、主に成人や高齢者で見られることが多いものです。生まれつき読み書きが苦手な子どもに、いきなり当てはまるケースは現実的には多くありません。

参照:東京都長寿医療センター研究所「失読症とは?」

2. ディスレクシアは発達特性|生まれ持った脳の処理の違いによるもの

一方でディスレクシアは、生まれ持った脳の情報処理の特性によって、文字の読み書きに困難が生じる状態です。
知的発達や視力、教育環境に大きな問題がなくても、文字と音を結びつける処理が難しいことがあります。

ディスレクシアは病気やケガによって起こるものではなく、成長の過程で表れてくる特性です。
そのため、「努力不足」「練習が足りない」といった問題ではなく、脳の働き方の違いとして理解する視点が重要になります。

参照:国立成育医療研究センター「ディスレクシアとは」

3. 子どもの読字の困難は、ディスレクシアによるケースが多い理由

子どもが文章を読むのに強い苦手さを示している場合、その背景にディスレクシアの特性が関係しているケースは少なくありません。
失読症のような後天的な要因よりも、発達段階で表れる特性として説明できることが多いためです。

実際、学校現場や支援の場でも、読字に困難を抱える子どもの多くは、発達性の読み書きのつまずきとして捉えられています。
だからこそ、子どもの場合は「失った能力」ではなく、「うまく働きにくい部分がある」という視点で考えることが大切です。

4. なぜ「失読症」という言葉で検索されやすいのか|保護者が混乱しやすい背景

保護者が検索の際に「失読症」という言葉を使ってしまうのは、「読めない=失った」というイメージが直感的に浮かびやすいためです。
専門的な用語の違いを知らない段階では、これはごく自然な反応と言えます。

また、インターネット上では「失読症」「読字障害」「ディスレクシア」といった言葉が明確に区別されずに使われている情報も少なくありません。その結果、保護者が混乱しやすくなり、本来知りたい「文字を読むのが苦手な子どもの支援方法」よりも言葉の違いに悩んでしまうことが起こります。

大切なのは、言葉を正確に当てはめることよりも、子どもがどんな場面で困っているのかに目を向けることです。その視点が、次の支援や関わり方につながっていきます。

ディスレクシアの子どもに見られやすい特徴と日常の困りごと

ディスレクシアの子どもが感じている困りごとは、見た目には分かりにくいものが多く、日常の学習や生活の中で少しずつ表れてくることが特徴です。
ここでは、学校や家庭で気づかれやすい代表的な様子を取り上げながら、「努力ややる気の問題ではない」背景を整理していきます。

1. 文字と音を結びつけるのに時間がかかる|音読が詰まりやすい理由

ディスレクシアの子どもは、文字を見た瞬間に音へ変換する処理がスムーズにいかず、一文字ずつ確認するように読もうとすることがあります。
そのため、音読では途中で止まったり、同じところを読み直したりしやすくなります。

本人は決してふざけているわけではなく、頭の中で「これは何の音だろう」と考えながら必死に処理している状態です。しかし周囲からはテンポが悪く見え、「もっとはっきり読んで」「集中して」と声をかけられやすく、緊張や不安が強まる原因にもなります。

2. 読むスピードが遅く、宿題や課題に極端に時間がかかる

ディスレクシアの子どもは、読む作業そのものに時間がかかるため、問題文や説明文を読むだけで、多くのエネルギーを使ってしまうことがあります。
その結果、同じ量の宿題でも、取り組み始めるまでに疲れてしまうケースも少なくありません。

これは集中力がないわけではなく、「読む」という工程が学習の大きな壁になっている状態です。それが理解されないまま「時間がかかりすぎ」「要領が悪い」と言われ続けると、学習そのものを避ける気持ちが生まれてしまうこともあります。

3. 文章を最後まで読んでも内容が頭に入りにくいことがある

ディスレクシアの子どもは、一文一文を追うだけで精一杯になると、文章全体の流れや意味を整理する余裕がなくなることがあります。
読み終えた直後に「何について書いてあったの?」と聞かれても、答えられないことがあるのはそのためです。

これは理解力の問題ではなく、処理の負荷が高すぎて内容まで手が回らない状態と考える方が自然です。
この状態が続くと、「ちゃんと読んでいない」「話を聞いていない」と誤解され、自己評価が下がりやすくなる点にも注意が必要です。

4. 漢字や単語が定着しにくく、「覚えていない」と誤解されやすい

漢字や単語を覚える際には、形・音・意味を結びつける必要があります。ディスレクシアの子どもは、この結びつきが弱く、何度練習しても安定して思い出しにくいことがあります。

本人の感覚としては、「昨日はできたのに、今日は出てこない…」という状態に近いこともあります。それでも周囲からは「覚えていない」「復習していない」と見られやすく、努力が評価されにくい経験を重ねてしまいます。

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5. 書き写しや板書に強い負担がかかり、作業が遅れやすい

板書や書き写しは、「見る・読む・理解する・書く」を同時に行う作業です。ディスレクシアの子どもにとっては、複数の処理を一度に求められる高負荷な作業になります。

その結果、途中で行を飛ばしたり、書き間違えたりしやすく、最後まで書き終わらないまま次に進んでしまうこともあります。
「書くのが遅い」「雑だ」と言われやすい場面ですが、実際には処理能力の限界と戦っている状態です。

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6. 読み書き以外は問題がなく、怠けや努力不足と見られやすい

会話の理解や発想力、算数の考え方などに問題がない場合、読み書きの苦手さだけが浮き彫りになることがあります。
そのギャップによって、「できるはずなのにやらない」と誤解されやすくなります。

しかし多くの子どもは、苦手な部分を隠しながら、周囲に合わせようと必死に頑張っています。
この努力が伝わらないまま否定的な評価が続くと、自信の低下や「どうせ無理」という諦めにつながることがあります。

診断の前に大切にしたい考え方|「見極める」より「理解する」視点

子どもが読み書きでつまずいている様子を見ると、「何かの障害なのでは…」と不安になるのは自然なことです。ただし、診断名を早く知ることよりも、今その子がどんな場面で困っているのかを理解することの方が、実際の支えにつながりやすい場合も少なくありません。
ここでは、診断の前段階として大切にしたい考え方を整理します。

1. 家庭だけで失読症・ディスレクシアを判断することはできない

失読症やディスレクシアは、家庭での様子だけを見て判断できるものではありません。
学校での学習状況、発達の経過、専門的な視点など、複数の情報を総合して考える必要があります。

インターネット上のチェックリストや体験談を読むことで、似た点が見つかることはあります。しかし、それだけで結論を出してしまうと、不必要に不安を強めてしまうこともあります。まずは「診断名を当てる」よりも、困っている事実そのものに目を向ける姿勢が大切です。

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2. 困りごとの背景に「特性」がある可能性に気づくことが第一歩

読み書きのつまずきを「努力不足」や「やる気の問題」として捉えてしまうと、子どもは必要以上に責められやすくなります。
一方で、「もしかすると特性が関係しているかもしれない」と考えるだけで、関わり方の選択肢が大きく広がります。

特性に気づくことは、診断を下すこととは違います。それは、子どもが感じている負担を理解しようとする姿勢であり、支援の出発点になります。
この視点を持つことで、「どうしたら楽になるか」を一緒に考えやすくなります。

3. 早く決めつけるより、負担を減らす関わり方が子どもを守る

「ディスレクシアかどうか」を早くはっきりさせたい気持ちは、多くの保護者が抱くものです。ただ、結論を急ぐあまり、子どもが置き去りになってしまうこともあります。

大切なのは、診断の有無にかかわらず、今の困りごとを少しでも軽くする工夫を取り入れることです。読む量を調整したり、方法を変えたりするだけでも、子どもの安心感は大きく変わります。
決めつけず、支えながら様子を見る姿勢が、結果的に子どもを守ることにつながります。

ディスレクシアの子どもを支えるためにできる具体的な工夫

ディスレクシアの支援は、特別な教材や大きな環境変更が必要なものばかりではありません。日々の学習や関わり方を少し工夫するだけで、子どもが感じている負担を軽くし、学びへの抵抗感を下げることができます。
ここでは、家庭や学校で取り入れやすい具体的な工夫を紹介します。

1. 音声読み上げやルビ付き教材で「読む負担」を軽くする

文章を読むこと自体に大きなエネルギーを使うディスレクシアの子どもにとって、「読む量を減らす工夫」は非常に効果的です。
音声読み上げ機能やルビ付き教材を使うことで、内容理解に集中しやすくなります。

「わざわざ読まなくていいのでは??」と心配になるかもしれませんが、これは甘やかしではありません。読むことが壁になっている場面では、理解を優先する支援が、結果的に学習意欲を守ることにつながります。

2. 色分け・指差し・視覚ガイドで文章理解をサポートする

ディスレクシアの子どもは、文章の中で大切な部分が分かりにくいと、どこに注目すればよいのか迷ってしまうことがあります。
行や段落を色分けしたり、指でなぞりながら読んだりすることで、視線の迷いを減らす効果が期待できます。

視覚的なガイドがあるだけで、文章の構造がつかみやすくなり、内容理解のハードルが下がることも少なくありません。
「集中できていない」のではなく、「見え方を整える」支援として捉えることが大切です。

3. 短時間×回数の学習で集中と成功体験を積み重ねる

長時間の学習は、ディスレクシアの子どもにとって負担が大きくなりやすい傾向があります。
そのため、短い時間で区切り、回数を分けて取り組む方が、集中を保ちやすくなります。

「最後までやり切れた」という経験を積み重ねることで、学習への苦手意識が少しずつ和らぐこともあります。
量よりも達成感を重視する視点が、継続につながります。

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4. 宿題や提出物は手順を見える化し、管理の負担を減らす

「何から始めればいいか分からない」「途中で混乱する」という困りごとは、読み書きの苦手さと重なりやすいものです。
手順をチェックリストやカードで示すことで、取り組む流れが分かりやすくなります。

管理がうまくいかないのは怠けではなく、情報処理の負担が大きい状態とも言えます。手順を見える形にするだけで、親子双方のストレスが軽くなることがあります。

5. 読み書き以外の得意分野を認め、自己肯定感を守る関わり

ディスレクシアの子どもは、読み書き以外の分野で高い力を発揮していることも多いものです。
発想力や会話力、空間認知、創作活動など、得意な部分に目を向けることが重要です。

苦手なことばかり指摘されると、「どうせできない」という気持ちが強くなります。一方で、得意な面を認められることで、「自分にはできることがある」という感覚を保ちやすくなります。

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まとめ

文章が読みにくい様子を見ると、不安や焦りを感じてしまうのは自然なことです。
ただ、子どもの「読めない」は怠けや努力不足ではなく、特性による困りごとである場合も少なくありません。大切なのは、言葉の違いを急いで判断することよりも、どこで負担が大きくなっているのかを理解し、今できる工夫で支えていくことです。
理解の視点を持つことで、子どもは安心して学びに向き合いやすくなり、成長の可能性も広がっていきます。

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