エンカレッジスクールとは?|特徴、中退率が低い理由、卒業後の進路を解説

公開日:2026年3月11日
更新日:2026年3月11日

エンカレッジスクールとは、学習や学校生活に不安を抱える生徒を支える東京都立高校です。
本記事では、エンカレッジスクールの特徴や中退率が低い理由、卒業後の進路の実情を解説します。
あわせて、混同されやすいチャレンジスクールとの違いや、向いている子・注意点についても整理します。

目次

エンカレッジスクールとは?|学びに不安のある生徒を支える都立高校

エンカレッジスクールは、学習面や学校生活に不安を抱えやすい生徒を主な対象として設置された東京都立高校です。
「高校に進学したい気持ちはあるものの、これまでの学びにつまずきがある」「集団生活に強い不安がある」といった生徒が、無理なく高校生活を続けられるよう、学習・生活の両面から支援することを目的としています。
ここでは、エンカレッジスクールが生まれた背景や、どのような生徒を想定して設計されているのかを整理します。

1. エンカレッジスクールが設置された背景と目的

エンカレッジスクールが設置された背景には、高校進学後に中退してしまう生徒が一定数いる現状があります。特に、学力面でのつまずき人間関係への不安を抱えたまま全日制高校へ進学すると、授業についていけなくなったり、登校そのものが負担になったりするケースが少なくありません。
そこで東京都では、「高校からの立て直し」を現実的に支える学校として、エンカレッジスクールを設けました。
エンカレッジスクールは、単に高校卒業資格を与える場ではなく、「通い続けること」「学び直すこと」「社会へつなぐこと」を重視した設計が特徴です。

参照:東京都教育委員会「チャレンジスクール・エンカレッジスクール」

2. 対象となる生徒像|学力・学校生活に不安を抱える中学生たち

エンカレッジスクールが主に想定しているのは、中学校までの学習内容に不安が残っている生徒や、学校生活に強い緊張や苦手意識を持っている生徒です。
必ずしも不登校経験がある生徒に限定されるわけではなく、「授業についていくのがつらかった」「集団の中で自信を失ってしまった」と感じている子も多くいます。

特徴的なのは、「学力が低いから」という理由だけで線引きしていない点です。
エンカレッジスクールでは、本人の意欲や高校でやり直したいという気持ちを大切にし、画一的な評価ではなく、個々の状況を踏まえて受け入れています。

3. 中学校までの学習につまずきを前提にしたカリキュラム設計

エンカレッジスクールのカリキュラムは、「すでにできている前提」で進む一般的な高校授業とは大きく異なります。
多くの学校で、中学校内容の復習や基礎の確認から授業が組み立てられており、学び直しを自然に取り入れた構成になっています。

そのため、分からないまま先に進んでしまう感覚が少なく、「授業についていける」という実感を持ちやすいのが特徴です。基礎を固めながら高校内容へ進むことで、学習への苦手意識を徐々に軽減していくことが期待されています。

4.「できない前提」ではなく「伸ばす前提」で関わる教育方針

エンカレッジスクールでは、生徒を「できない子」として扱うのではなく、「今はつまずいているが、伸びる可能性がある存在」として関わる姿勢が大切にされています。
学習面だけでなく、生活態度やコミュニケーションについても、小さな変化や努力を評価する関わりが基本です。

この方針により、失敗や遅れを過度に責められることが少なく、自己肯定感を保ちながら高校生活を続けやすい環境が整えられています。
「叱られて動く」のではなく、「できた経験を積み重ねて前に進む」ことを重視している点が、エンカレッジスクールの大きな特徴と言えるでしょう。

なぜ中退が少ない?|エンカレッジスクールが「続けやすい」と言われる理由

エンカレッジスクールは、「中退しにくい高校」として紹介されることが少なくありません。その背景には、偶然ではなく、最初から“続けること”を前提に設計された仕組みがあります。
ここでは、学習面・評価方法・人の関わり方という観点から、エンカレッジスクールがなぜ「続けやすい」と言われるのかを整理します。

1. エンカレッジスクールが掲げる「中退を防ぐ」という考え方

エンカレッジスクールでは、「中退は本人の努力不足ではない」という考え方が土台にあります。
学力や生活面につまずきがある生徒が一定数いることを前提に、「どうすれば通い続けられるか」を学校全体で考える姿勢が明確です。

そのため、問題が起きてから対応するのではなく、つまずきやすいポイントを事前に想定した支援が組み込まれています。
「辞めさせない」ことを目的にするのではなく、「辞めなくて済む環境を整える」という発想が、中退率の低さにつながっています。

2. 中学内容からの学び直しで授業についていける仕組み

高校での学習につまずく大きな原因の一つが、中学校内容の理解不足を抱えたまま授業が進むことです。
エンカレッジスクールではこの点を重視し、中学内容の復習や基礎確認を前提に授業が設計されています。その結果、「分からないまま置いていかれる」という感覚が生まれにくく、授業への参加意欲を保ちやすいのが特徴です。
学習面での不安が軽減されることで、登校そのものへの抵抗感も下がりやすくなります。

3. 少人数制による学習面・生活面のきめ細かなフォロー

エンカレッジスクールでは、多くの授業や指導場面で少人数制が取り入れられています。
教師が一人ひとりの理解度や様子を把握しやすく、「分からないまま黙ってしまう」状況が起きにくい環境です。
また、学習面だけでなく、遅刻や欠席が増えた時など、生活面の変化にも早めに気づきやすいという利点があります。小さな変化の段階で声をかけられることが、長期的な中退防止につながっています。

4. 点数だけで評価しない独自の評価方法と自己肯定感への配慮

成績評価がテストの点数だけで決まると、過去につまずきのある生徒ほど自信を失いやすくなります。
エンカレッジスクールでは、取り組みの姿勢や努力の過程を評価に含める工夫がなされています。そのため、「頑張っても評価されない」という感覚を持ちにくく、自己肯定感を下げにくい仕組みが整っています。
小さな成功体験を積み重ねられることが、「もう少し続けてみよう」という気持ちを支えています。

5. 担任・支援員・スクールカウンセラーによる相談体制

エンカレッジスクールでは、担任教師だけに負担を集中させず、複数の立場から生徒を支える体制が組まれています。
学習の悩み、友人関係の不安、家庭での困りごとなど、内容に応じて相談先を選べる点が特徴です。
「誰にも言えずに抱え込む」状態を防ぎやすく、孤立しにくい学校環境が中退の抑制につながっています。「困ったときに頼れる大人がいる」という安心感は、通い続ける上で非常に大きな要素です。

スクールカウンセラーについてもっと知りたい方はこちら
「スクールカウンセラーとは?|学校での役割や相談事例を紹介」

知っておきたい注意点|エンカレッジスクールが合わないと感じるケース

エンカレッジスクールは、多くの生徒にとって心強い選択肢となる一方で、すべての子に必ず合う学校ではありません。
支援体制が整っているからこそ、「どこまで学校が支え、どこから本人の力が必要になるのか」を事前に理解しておくことが大切です。
ここでは、入学後に「思っていたのと違った」と感じやすいポイントを整理します。

1. 支援があっても「自分から動く姿勢」は求められる

エンカレッジスクールは手厚い支援がある一方で、すべてを学校側が代わりに進めてくれる環境ではありません。
分からないことを質問する、困っていることを伝えるなど、最低限の「自分から動く姿勢」は求められます。
受け身のままでいると支援が十分に活かされず、「支えてもらっている実感が持てない」と感じてしまうケースもあります。支援を活かすためには、「助けを借りてもいい」という意識を本人が持てるかどうかが重要です。

2.「学び直し=楽」ではない現実と、努力が必要な場面

「中学内容からやり直せる」と聞くと、学習の負担が軽いイメージを持たれがちです。しかし実際には、基礎から学び直す分、地道な努力が必要になる場面も少なくありません。
特に、長期間勉強から離れていた生徒にとっては、学習習慣を取り戻すこと自体が大きな課題になります。ゆっくり進められる反面、「何もしなくても進級できるわけではない」という点は理解しておく必要があります。

3. 進路の選択肢は全日制より狭くなる可能性がある

エンカレッジスクール卒業後の進路は、就職や専門学校進学が中心になる傾向があります。
そのため、難関大学や幅広い進学先を目指す場合には制約が出る可能性があります。
もちろん大学進学が不可能なわけではありませんが、一般的な全日制高校より自己管理や努力が強く求められるのが現実です。将来の進路イメージによっては、他の選択肢と比較検討することも必要になります。

4. 入学前に家庭で話し合っておきたいポイント

エンカレッジスクールを選ぶ際には、入学前に家庭での共有が欠かせません。
特に、「なぜこの学校を選ぶのか」「高校生活で何を大切にしたいのか」といった点は、本人と保護者の間で認識をそろえておくことが重要です。

期待と現実のズレが大きいと、入学後に迷いや不満が生じやすくなります。学校任せにするのではなく、家庭と学校が同じ方向を向いて支える姿勢が、結果的にミスマッチを防ぐことにつながります。

チャレンジスクールとの違いは?|目的・通い方・向いている子の比較

エンカレッジスクールを検討する際、よく比較対象に挙がるのが「チャレンジスクール」です。
どちらも学習や学校生活に不安を抱える生徒を支える都立高校ですが、設立の目的や学校の役割には明確な違いがあります。
ここでは、それぞれの特徴を整理しながら、どんな子に向いているのかを考えていきます。

1. エンカレッジスクールとチャレンジスクールの設立目的の違い

エンカレッジスクールは、学習面のつまずきを立て直し、高校生活を継続できるよう支えることを主な目的として設置されています。
中学校までの学習内容を前提に、授業や評価の仕組みを組み直している点が特徴です。

一方、チャレンジスクールは、通学そのものに困難を感じている生徒に「通える高校」を用意することを重視しています。
学力面よりも、まずは登校や学校との関わりを取り戻すことに重点が置かれています。

2. 学習支援重視のエンカレッジ、柔軟な通学重視のチャレンジ

エンカレッジスクールでは、授業についていけるようにする学習支援が中心です。
中学内容からの学び直しや少人数授業を通じて、「勉強が分かる感覚」を育てることが重視されています。

一方、チャレンジスクールでは、通学日数や時間帯に柔軟性を持たせる工夫が特徴です。
毎日決まった時間に登校することが難しい生徒でも、段階的に学校生活へ戻れるよう配慮されています。

3. 学校生活のリズムと通学スタイルの違い

エンカレッジスクールは、比較的安定した生活リズムでの通学を前提としています。
定期的な登校と授業参加を通して、高校生活の基盤を整えていくイメージです。

一方、チャレンジスクールでは、生活リズムがまだ整っていない生徒にも対応できる通学スタイルが取られています。
無理のないペースで学校に慣れることを優先するため、通学頻度や時間に幅があります。

4. 不登校経験がある子への向き・不向きの考え方

不登校経験がある生徒でも、現在は登校への不安が比較的落ち着いている場合、エンカレッジスクールが合うケースがあります。
学習面の立て直しと高校卒業を目指したい場合には、選択肢の一つになります。

一方、外出や集団生活そのものに強い不安が残っている場合は、チャレンジスクールの方が負担が少ないこともあります。大切なのは「不登校だったかどうか」ではなく、今の状態でどこまで通学が可能かという視点です。

5. どちらを選ぶべき?判断の目安になるチェックポイント

どちらが良い・悪いかではなく、子どもの現在地に合っているかどうかが最も重要です。
例えば、「学習面をしっかり立て直したい」「ある程度の通学はできそう」という場合はエンカレッジスクールが向いています。
一方、「まずは学校に行くこと自体が目標」「生活リズムを整える段階」という場合は、チャレンジスクールが適していることもあります。
学校名だけで判断せず、本人の状態と目的に照らして選ぶことが、後悔しない進路選択につながります。

卒業後の進路はどうなる?|エンカレッジスクール卒業後のリアル

エンカレッジスクールを検討する保護者が、特に気になるのが「卒業後、どんな進路を選ぶ生徒が多いのか」という点です。
進学実績だけを見ると全日制高校とは違いがありますが、そこには学校の役割や生徒の置かれている状況を踏まえた理由があります。
ここでは、卒業後の進路の傾向と、その背景を整理します。

1. 大学進学より就職を選ぶ生徒が多い理由

エンカレッジスクールでは、卒業後に就職を選ぶ生徒が比較的多い傾向があります。
これは進学を否定しているからではなく、高校生活の中で「まず社会に出る」選択を現実的に考える生徒が多いためです。
中学校までのつまずきを立て直しながら高校生活を送る中で、「無理に次の学業へ進むより、一度働いて自立したい」と考えるケースも少なくありません。学校側も、一人ひとりの状況に合った進路を尊重する姿勢を取っているため、就職が自然な選択肢として受け入れられています。

2. エンカレッジスクールから大学・専門学校へ進学するには

エンカレッジスクールからでも、大学や専門学校へ進学することは可能です。
ただし、一般的な全日制高校と同じペースで進学を目指すのは難しく、早めの準備と本人の強い意欲が必要になります。
特に大学進学の場合は、基礎学力の補強や受験対策を学校外のサポートも含めて考える必要が出てくることがあります。
一方で専門学校進学は、高校での学び直しと相性が良く、具体的な目標を持ちやすい進路として選ばれることも多いです。

3. 就職・進学以外の進路を選んだケースとその背景

卒業後すぐに就職や進学をせず、別の進路を選ぶ生徒も一定数います。
例えば、アルバイトをしながら生活リズムを整えたり、資格取得に向けて準備期間を設けたりするケースです。
こうした選択の背景には、「焦って次に進むより、今は立て直しを優先したい」という本人の判断があります。学校としても、卒業=即進路決定を強制せず、段階的な社会参加を認めている点が特徴です。

4. 卒業後につまずかないために在学中から意識したいこと

卒業後のつまずきを防ぐためには、高校在学中からの準備が重要です。
特に意識したいのは、「進路を早めに意識すること」「生活リズムを安定させること」です。
進路について考える時期を先延ばしにすると、不安が大きくなりやすくなります。担任や支援員と相談しながら、自分に合った次のステップを少しずつ描いていく姿勢が、卒業後の安定につながります。

まとめ

エンカレッジスクールは、学習や学校生活につまずきを抱えた生徒が、高校生活を立て直すための現実的な選択肢です。
中学内容からの学び直しや少人数制、評価や相談体制の工夫によって、「続けること」を前提にした環境が整えられています。一方で、支援があるからこそ本人の姿勢や努力も必要であり、進路の選択肢には一定の特徴がある点は理解しておく必要があります。
学校の名称やイメージだけで判断するのではなく、今のお子さんの状態や目指したい方向と照らし合わせて考えることが、後悔しない進路選択につながるでしょう。

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