日別アーカイブ: 2022年12月1日

【第98回】都立高入試、初のスピーキングテストで懸念される「逆転現象」とは?

都立高入試、
初のスピーキングテストで懸念される「逆転現象」とは?

みなさん、こんにちは! ヤスコです。

先月末は、都立高校の入試で初めて行われたスピーキングテストが、現役教師から中止を求められるなど物議を醸しましたね。もしかしたら全国に波及するかもしれないこのテスト。今後のためにも「そもそも何が問題だったのか?」などをまとめておきたいと思います!

スピーキングテストは、どう入試に活かされるの?

まずヤスコが気になったのは、11月27日というテストの実施日。都立高校の出願受け付けは推薦でも年明けの1月スタートなので、ずいぶん早いなぁという印象でした。

実は、東京都教育委員会が作成した資料によると、このテストは「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」と呼ばれ、学力検査そのものではないようです。来年2月に行われる学力検査の得点と調査書点に、スピーキングテストの結果を加えて総合得点として算出。合否判定に活かされるそうです。

東京都教育委員会が作成した資料
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/exam/speaking_esat-j.html

テストの実施方法は、会場で受験生たちがタブレットに出された問題に対して、英語を話して録音していくというもの。運営を請け負っているのは、通信教育大手「ベネッセコーポレーション」。音声データは英語を公用語の一つとするフィリピンに送られ、現地のスタッフが採点するという流れです。

ヤスコは英語の勉強で、たくさんのフィリピンの先生に授業を受けましたが、どの先生もわかりやすい発音で、ヤスコのカタカナ英語もかなり理解してくれました。日本人の英語とも親和性が高いように思います。なので、その辺りは安心していたのですが……。課題は別のところにありました。

テストを受けられなかったら、他人の点数がつけられてしまう!?

では、どこが問題なのでしょう?

実施前からデモが起きるほど心配されていたのが、体調不良などで当日テストを受けられなかった生徒の扱い。なんと「別日にテスト」ではなく、テストを受けないまま「同じレベルの受験生の点数が、自動的に加点される」仕組みになっているのです。

「同じレベル」とは、リーディングやライティングなど英語の学力検査の得点のこと。つまり簡単に言うと、たとえば「読み書きは得意だけど、話すのが苦手……」という生徒Aは、能力以上の点数をもらえることになります。逆に「読み書きは苦手だから、話すことで得点を稼ぐぞ!」という生徒Bは、能力以下の点数をつけられて損をしてしまいます。

この生徒A・Bの学力が同じくらいだった場合、テストを受けられなかったことで「得点が逆転」してしまう可能性があるわけです。

また、Twitterなどでは「隣の人の声が聞こえるので、カンニングに近いこともできてしまう」「周りがうるさいと、声の小さい人は不利だ」「タブレットで録音するタイミングがずれてしまって、きちんと回答できたのか不安だった」という声も上がっていました。
(まぁ、この辺りはSNSの投稿ということで参考までに、ですが)

それ以外にも、「複数の人間が採点するので、基準にブレが出る可能性がある」ことも懸念されていました。ちなみに、公開模擬試験「Wもぎ」を運営する新教育研究協会と提携している「アイード」社によれば、お隣の中国ではスピーキングテストの採点にはAIを組み合わせており、人のみが採点することはないそうです。

今回の日本のスピーキングテストでは、都内公立中学校の3年生、約6万9000人が受験したとか。

たとえ行政や教育員会は「試験的に」導入したシステムかもしれませんが、受験生にとっては人生がかかっているともいえます。ここは慎重に行ってほしいですね。

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