【第79回】ネットで検索できない勉強や暮らし、仕事の「モヤモヤ」は、司書さんにお任せ!! 図書館のリファレンス活用術


ネットで検索できない勉強や暮らし、仕事の「モヤモヤ」は、司書さんにお任せ!! 図書館のリファレンス活用術

みなさん、こんにちは! GWはいかがお過ごしだったでしょうか。
お家でネットショッピングにいそしんでいたヤスコは――、欲しいバッグの素材の名前がわからず、「くぅぅ~! 頭にイメージは浮かぶのに!」と七転八倒。せっかくの時間を浪費しておりました(トホホ……)

ネットで調べたくても、検索ワードが浮かばなかったり、漠然としすぎていて調べようがないときってありませんか?

お子さんの勉強をはじめ、日常の暮らしや仕事で知りたいことなど、漠然とした疑問はあるけど言葉にならない。そんなときに、実は図書館の司書さんがものすごく頼りになりますよ! というお話です。

シンデレラの靴の元ネタは、本当にハイヒール??

さて突然ですが、クイズです。
みなさんご存知、グリム童話のシンデレラに登場する「ガラスの靴」。日本の絵本ではハイヒールとして描かれていることがほとんどですが、本来はどんな形だったかご存知でしょうか?
先日のNHKニュースでは、「シンデレラの靴の形状について、資料があるのか知りたい」という質問を寄せられた、三重県にある県立図書館の話が紹介されていました。(2021年4月28日『謎を突き止める 図書館の力がすごかった』)

図書館って、本を探すだけのところだと思われがちですが、実は……

「子どもが捕まえた昆虫の名前を知りたい」
「地元のデパートに昔あった、ドーム型天井の写真が見たい」
「妖精は鐘の音が嫌いと聞いたが、そのことについて書いてある本が読みたい」
「プラネタリウム投影機の世界シェアを知りたい」
「時代劇で馬に乗るとき、左側から乗るようになったのはいつから?」

など、さまざまな質問が寄せられます。
そして、それに応えるのが各図書館で行っている「レファレンスサービス」。レファレンスとは、司書さんが図書館の資料を使って、調べものを手伝ってくれるサービスのこと。このレファレンスにかける司書さんの情熱がすごいんです。

たとえば、先ほどの「シンデレラの靴」について聞かれた司書さんは、約20年の経験がある超ベテラン。
まずは、事典やインターネットで調べましたが、ガラスの靴の形状までは載っていなかったとのこと。でも、「卒論などで使いたいとしたら『わかりません』で終わってしまっては困るだろう」と諦めなかったそうです。
そこで、シンデレラの原話や作品が描かれた時代背景まで、捜索の手を広げます。

海外の原話や当時の流行まで調べ抜く、司書さんの執念がスゴい!

その過程で、日本で知られているシンデレラの話には、2種類あることがわかりました。フランスの詩人シャルル・ペローと、ドイツの民話収集家・文学者のグリム兄弟です。そして、ガラスの靴が登場するのはペローの作品でした。

ちなみに原題は「サンドリヨンまたは小さなガラスの靴」で、主人公のサンドリヨンがシンデレラとなったようです。そして靴としては、「pantoufle」(パントゥフル)という「室内履き」と意味する言葉が使われていたそうです。現代の感覚からすると、舞踏会のハイヒールのイメージとはずいぶん違いますね。

しかし、原話ではpantoufleの形状までは書かれていません。司書さんは、ついに作者のペローが生きていたころの14世紀の宮廷の流行まで調べます。そして、最終的には

「『サンドリヨン』が初めて出版された当時にはヒールが高い靴が存在していたことが分かります。ただし現在のパンプスのように履き込みが浅いものではなかったようです。」

(国会図書館「レファレンス協同データベース」より引用)
という結論に至りました。
具体的に1つにまとまった資料は見つかりませんでしたが、司書さんの執念でここまでたどり着けたのですね。

近所の図書館があなたを待っている

このようなレファレンスサービスは、今は全国各地の図書館に備わっています。

ヤスコの町の図書館でも、司書さんに「知りたいことがあるのですが」と声をかけると、司書魂が燃えるのか熱心にアイデアを色々出してくださいました。ただし、「宿題やクイズの解答には応えられません」とのことでご注意を(笑)また、図書館の規模や司書さんの人数によっても対応してもらえる範囲に幅がありそうです。

図書館の蔵書という「知の泉」をつかさどる司書さん。あなたの街の相談役として気軽にいろいろ聞いてみたら――新しい世界が開けるかも!

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