【第112回】知らなかった科目続出! 親子の「世代間ギャップ」の危険性とは?

先日、知り合いの大学の先生と電話で話していたときのこと。
「いやー、今の高校はずいぶん面白くなったね」と、うれしそうな先生。
先生は、鳥などの動物について研究をしている学者でもあります。
「何かあったんですか?」とたずねると、先生は先日、ある公立高校から授業のために呼ばれたそうです。

「へぇ、生物の授業ですか?」
「いや、『探求』という科目だよ」
「何ですか、その『探求』って?」
「2022年度から高校に親切された科目だよ。生徒が1年かけて自分の好きなテーマについて研究するんだ。彼らが来年度からはじめる研究の参考として、僕が講師として自分の研究について話したというわけ」
呼ばれた講師は約10人。ワイナリーの経営者や国際交流のNPOを運営するインド人、数学者など、バラエティ豊か。ビジネスやモノづくり、海外の話などなんでもありだったそうです。
そんな講師たちが、45分の授業を2回行います。生徒たちはその中から好きな授業を選んで聞きに行けるというカリキュラムだったそう。

興味があることには生徒の意欲もわき起こるようで、
「授業が終わってから『その論文はどこかで読めますか?』と聞いてきた生徒もいたよ。
ネットからダウンロードする気満々だったね」 と、学校のカリキュラムの進化を喜んでいました。

授業時間を使って自分の興味を追求できるなんて、なんて贅沢。 私もやってみたかった!!
いやー、時代による学校の変化は、知らないことだらけです。

そのアドバイス、もう賞味期限切れかも?

そんなとき、グサッと心に刺さった広告のキャッチコピー。
「いまの大学受験を知らずに、アドバイスしていませんか?」

これは保護者に向けて大学の情報を提供するサイトの広告でした。
つまり「親が自分の経験だけで、子どもに受験を語ってしまうのは危ないですよ」と言っているわけですね。
古い知識のみから生まれるアドバイスは、役に立たないどころか子どもを迷わせてしまう原因になるかも。よかれと思う親心が、裏目に出てしまうのは避けたいものです。

考えてみたら、高校入試もずいぶん変わりました。
「推薦入試」や「一般入試」の区別をなくして入試方法を一本化する都道府県が増えたり、公立高校でもオリジナルの入試問題を用意するところができたり、学区の縛りがゆるくなって通える学校の選択肢も増えました。

知れば知るほど、世代間のギャップを感じます。
今は愛の告白もLINEやインスタなんでしょうか。下駄箱にラブレターなんて――もう世界遺産的風景なのかもしれませんね(笑)

えっと、まぁ……冗談はさておき、親としても学校の「今」や受験の「今」にチューニングしておく必要がありそうです。
とはいえ、仕事や家のことで忙しいのが私たち親世代。そのために時間を割いて調べたり勉強するのは、なかなか難しいかもしれません。

そんなとき頼りになるのが、今お願いしている家庭教師の先生。
だって、大学生である家庭教師の先生は、学校生活や受験の「最新」を体験している「最良」の先輩でもあるわけですから。

レッスンが終わったときなどのほんの4、5分で「私のときはこうだったけど、先生のときはどうでした?」など、雑談感覚で聞いてみると意外な発見がありますよ。
昔と今のギャップに、身もだえるのもまた一興!?

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【第111回】ノートをとるのは嫌、でも落書きは好き!という子におススメ「グラフィックレコーディング」

あけましておめでとうございます! 2024年も、みなさんのお役に立ちそうな勉強関連のトピックスをお届けしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしますね。

そういえば、元日の朝刊で見つけた面白い広告。 これ、なーんだ??

朝日新聞に掲載されていた、トヨタ自動車の自社媒体「トヨタタイムズ」の広告です。

脚の生えたロボットにも見えますが…… 昨年秋に開催されたJAPAN MOBILITY SHOW 2023で来場者がイメージした「未来のモビリティ社会」をイラストレーター中尾仁士さんらが絵で記録にしたものだそう。

近くでよく見てみると、いろいろなモビリティの集合体になっています。

たとえば、景色の見える「透明車」。

こちらは、「荷物を持たない世界」。 バッグやパソコンが自力で移動してくれるんですね、ほしい!(笑)

すでに実現しているようなリアリティをもって来場者の語った「未来」を伝えてくれるのは、イラストの持つ力。文字だけよりも記憶に残りやすいですね。

実は、この「イラストで記録する」という手法には名前がついていて、教育の世界でも話題になっています。

その名も「グラフィックレコーディング」。

もともとは、会議などの内容をイラストや図で「見える化」するというビジネスパーソン向けの手法でした。しかし、学校の授業のノートなどでも応用できるということで、最近では子ども向けのワークショップなども開催されています。

具体的には、授業中に先生が黒板に書くことをただノートに写すのではなく、自分なりに簡単なイラストと言葉でまとめてみるということです。

たとえば歴史の授業で、ある社会構造について書く場合。

このような文字だけでもよいのですが、

簡単なイラストを交えてまとめてみると、身分のヒエラルキーや人口比などがパッと見で把握しやすいですね。また、矢印や吹き出しを加えてもわかりやすいでしょう。

これは、絵やイラスト、落書きが好きなお子さんには、ヤル気のアップするいい方法のようです。後から見返したときに自分でわかればよいので、絵は上手じゃなくてもOK! 人物は「棒人間」のような簡略化されたものでも大丈夫ですが、喜怒哀楽などの表情をつけると、その根拠をつけるために状況をより深く理解しようとするので学習効果も上がります。

実際に新宿区立柏木小学校では、社会科の授業で「板書をただ書き写すだけのノート」を廃止したことで、授業に主体的に関わろうとする生徒が増えたそうです。

ただ、通常の学校の授業でゆっくりイラストを描くのは難しいかもしれません。そんなときはマイペースで進められる自宅での学習や、家庭教師とのレッスンで試してみるのもよさそうですね。

学習方法も多様性の時代。 今年も楽しみながら、お子さんにフィットした勉強のやり方を見つけていきましょう!

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【第110回】ヤル気がなくても勉強にとりかかれる「魔法の言葉」

子どものヤル気って、なかなかコントロールできませんよね。
そう言う大人でも仕事や勉強になかなか手をつけられないときがありますし……。いや、むしろそんなときの方が多いかもしれません。

これは、脳が「面倒だからやりたくないな」と判断しているから。ならば脳をダマして、「これなら簡単」と思わせれば、行動に移すことができるのです。

え、そんなことできるの?と思ったあなた――はい可能です!しかも無料で道具いらず、今日からすぐに試せるので、超お得案件でございます。

では、その方法とは――???

言葉の言い換えです。
ヤスコがこの方法を知ったのは朝日新聞のコラム、『清水先生の“ワクワク”勉強法』。清水先生こと清水章弘さんは、東大院卒で塾を運営する教育アドバイザーで、「脳をダマして学習のハードルをさげる」方法を紹介していました。

「勉強しよう」より「ペンを5秒持とう」

清水先生は、「勉強をしよう」と考えるとおっくうだけど、「ペンを5秒持とう」なら簡単にできると言います。そして一度ペンを持ってしまえば、その先勉強するハードルはぐっと下がるそうです。

たとえば漢字練習の場合、ペンを持ったら「漢字1つくらいなら書いてみてもいいか」と思うかもしれません。その1つが、2つとなり、10個、20個と増えていくという寸法です。

考えてみれば車や電車が走り出すときも、車輪が最初に回るときに最もパワーを使います。それを少しでも軽くするのが「魔法の言葉」なのです。

みなさんにも経験ありませんか? ちょっと近所のお店まで歩くつもりが、いざ外に出てみたら意外とたくさん散歩してしまったなんてこと。最初の1歩さえ踏み出せれば、その先はとっても簡単なのです。

このように勉強のハードルを下げる言葉は、お子さん自身が使うことが理想ですが、親や周囲の大人たちが「~してみたら?」など声かけで促すこともできます。

言い換えのストックをたくさん用意しておこう

「勉強しよう」の代わりになる言葉、ヤスコも考えてみました!

  • 「机に30秒座ってみよう」
  • 「カバンを開けて、宿題のプリントを取り出してみよう」
  • 「教科書を机に広げてみよう」
  • 「学習用タブレットのスイッチを入れてみよう」
  • 授業で印をつけたペンの「色」を眺めてみよう」(あくまで印の色だけ見る。言葉は読まなくてOK)

実はヤスコも仕事で実践していて、わざと机に次にやろうとしている仕事の資料を広げて夜寝ます。そうすると、本当にすぐに着手できてしまうから驚きです。

これはどこかで聞いた話なのですが、やるべきことをいつもより20秒早く着手できるようにすると「先延ばし」がグッと減るようですよ。

このようにして学習を始めやすくなるのが言い換えの利点。しかし、「次は〇〇をやりなさいね」など先の行動を無理強いすると、結局面倒になってしまいます。なのであくまでお子さんの自主性に任せることがポイントとなるでしょう。

まずはゼロから1の行動に移せたことをほめてあげましょう。褒められたという喜びが、さらに行動へのハードルを下げてくれるはずです。

みなさんもお子さんにピッタリの魔法の言葉、考えてみてくださいね!

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【第109回】簡単なのに効果大の「トイレ学習」を楽しもう!

「ウチの子が少しでも勉強してくれたら……」
「せめて学校の授業についていけるようにしてあげたい」

親としてそんな願いはあるけど、実際問題、直接サポートできることって多くなかったりしますよね。ムリヤリ机に向かわせてもヤル気が出ないでしょうし、中学生の単元ともなると親では教えられないことも増えてきます。頭にいい食材を食卓に出す……のもよいのですが、なんだかちょっと遠回り。

うーん、もどかしい。もう少し即効性のある手助けはできないものか??

そんなとき試してみてほしいのが、「トイレ学習」です。
方法はいたって簡単、トイレの壁にポスターを貼るだけ!

貼る内容は、漢字でも九九でも世界地図でも地層の断面図でも、お子さんがつまずいていそうだなと感じるテーマなら何でもOKです。理由はあとからお話しますが、このとき「貼ったから見なさいね」などお子さんへの強制は一切しなくてOK。ただ勝手に貼るだけで効果は期待できるのです。

「あ、見たことがある!」が増える

実は、トイレという空間には学習に必要な要素がそろっていて、

  • 一日に何度も入る(習慣化・反復学習)
  • 一人で手ぶらで入る(誘惑がない)
  • 目や頭はヒマである(壁にあるものをつい見てしまう)

と、短時間で集中できるというメリットがあります。これを活かさない手はありません。

たとえば幼稚園児に漢字のポスターを見せた場合、その漢字をすぐに覚えることはなくても絵本などで「あ、この文字見たことがある!」とうれしくなって、学習意欲が上がったとか。

小さなお子さんだけでなく勉強の苦手なお子さんにとっては、まずは「覚える」ことよりも「見慣れる」ことのほうが大切なのです。面積の出し方なども、よくある図式を見慣れることで教科書を見たときのアウェイ感が減り、抵抗の低い「ホーム」へと近づいていきます。

大人でも楽しめるものや自作ポスターも

ただし色々な実践レポートを見ていると、いくつかの注意点があるようです。

たとえば、

  • ポスターが風景とならないように、定期的に別の内容に貼り替える
  • 勉強という雰囲気を出さない

などです。たしかにトイレに入ってまで勉強……と思うと、うんざりしますよね(笑)なので、「しれっとポスターを貼るけど、子どもとの会話には一切出さない」という人もいます。そのほうがお子さんも勉強をしているという気構えがなくポスターを見られるようです。

無意識のうちに勉強に誘導するという、ささやかなサブリミナル戦略。これは取り入れたいです。

ちなみに昨今は博物館ブームということもあり、楽しくてためになるポスターが数多く出ています。宇宙の太陽系をまとめたポスターなどはインテリアにも◎。

またトイレの応用編としてお風呂の防水ポスターなども売られているのですが、中には「中1理科 14枚一式セット」など、単元ごとのポイントがまとめられたものも。化石と地層が年代ごとにわかるシートもあり、大人が見ても楽しめそうです。

つまずく子が多い「分数」を円の分割で示したイメージ図などは、本当に役立ちそう!絵の得意な人は、お子さんのためにかわいくて楽しいポスターを作ってもいいかもしれませんね。ぜひご家庭でも楽しみながら試してみてください。

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【第108回】令和も続く給食論争「和食に牛乳は合わない」?決着がつかない理由とは

みなさんは、牛乳がお好きですか?

今は飲まないという方も、子どものころ、学校の給食では毎日のように飲んでいたのではないでしょうか。

私ヤスコもその一人です。でも、夏場にぬるくなってパンパンに膨らんだパックの牛乳を飲むのはとても苦手で……。パンなど洋食の日ならいざ知らず、ごはんと焼き魚などの和食の日には「うーん、おいしくない」などと毒づきながら、涙目で牛乳を一気飲みしていました。

そう、あれは学校側や栄養士さんの苦労も知らない遠い遠い昔の話――。

のはずが、先月26日の産経WESTを見て仰天!

「和食とあわない」学校給食に牛乳不要論 コスト高も議論の背景
https://www.sankei.com/article/20230926-2RA7Y5AXRVJENKGHP3ITJILCOE/?fbclid=IwAR3rbdov0B7aST4Hc9GYvUIe8UVJnNGCHhCeG0kQ2TV41lRsoAgt6LV-GRQ

今年8月に和歌山市の教育委員会が「和食のときは牛乳を止めてみては」と提案したことで、物議を醸しているという記事があったのです。えっ、この論争、庶民の会話レベルじゃなくて、教育委員会でも続いていたんですね。

給食費の25%が牛乳代

記事によると、牛乳の価格が上がり、給食に使える予算を圧迫していることも理由のようです。値上がりの背景には、牛の飼料代や、燃料・資材価格の高騰などがあります。

和歌山市では今年度の2学期から、食材の値上がり分を公費で生徒1人1食30円上乗せしているとのこと。記事によると「現在の牛乳価格は1パック70円で、1人分の給食費282円(自校調理)、同275円(共同調理)の約25%を占める」とのことなので、相当な割合を牛乳が占めていることになります。

また日本の伝統的な食事には牛乳を飲む習慣がないことから、「それって食育としてどうなの?」という見方もあるようです。

でも現状では、簡単に牛乳を止めるわけにはいかないのです。

理由は、「学校給食法(学校給食法施行規則)」という法律で、牛乳を入れるように指示されているから。これは戦後、栄養状態のよくない子どもたちに対して、アメリカの民間団体から脱脂粉乳の支援があったことなどが起源となっているようです。

そもそも牛乳は、成長期に必要なカルシウムを効率よく摂取でき、授業中の集中力を高めてくれる必須アミノ酸「トリプトファン」も含んでいると言われるスーパードリンク。

なかなか他の食材では代わりが効かないらしいんですよね。

ドリンクタイムという試み

しかし過去には、そんな「和食×牛乳」問題に、果敢に挑んだ市があります。

現在はほぼすべての給食を米食に切り替えているという新潟県三条市では、2015年から給食の時間とは別に牛乳を飲む時間を設ける「ドリンクタイム」を小中学校に導入。

給食の残量が減ったり、昼休みや清掃後に冷たい牛乳が飲めて生徒が喜ぶという効果があったそうです。しかし一方で、ドリンクタイムの確保が難しく、結局、給食の直後になってしまったり、教師の負担が大幅に増えてしまうという課題も。

いろいろあって、2021年には廃止されてしまった取り組みですが、意義のある試みだったのではないかとヤスコは思います。

また今では、牛乳アレルギーや牛乳を飲むと体調を崩してしまう子どもたちもいます。

そんな子たちは、お茶の紙パック飲料などを持参して代替としているようですが、事前に学校に申請しなければならず、その手間が保護者の負担になることもあるようです。

子どもの成長を願ってつくられた「学校給食法」ですが、制定された1954年(昭和29年)からすでに70年が経とうとしています。おいしい牛乳も飲み続けたいけど、それ以外の選択肢も検討されていいはず。これからの時代にフィットした法律として、見直す時期が来ているのかもしれませんね。

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【第107回】夏休み明けの実力テスト、結果が悪かったらまずすること

2学期が始まって、中学校でまず行われるのが「実力テスト」。

中間・期末テストより出題範囲が広いので「思ったより点数が悪かった~(涙)」とガッカリするお子さんも、多いのではないでしょうか。

でも、大丈夫!

結果が悪くても、落ちこむ必要はありません!!

実は、ここでテストを見直すことで、その後の成績が飛躍的にアップするからです。

ある私塾では、間違えた問題をもう一度解き直していただけで、 9割の生徒の偏差値が5以上も上がったそうです。

「でも、めんどくさいよ~」

そんなお子さんの声も聞こえてきそうですね(笑)

では、先輩たちはどのような方法で、テストの解き直しを継続していたのでしょうか?


“元自宅浪人の東大卒女子”というYoutuberのみおりんさんは、「すべての人にごきげんな勉強法を」というモットーで、自身の経験に基づいた勉強法を配信しています。

キャラクターのぬいぐるみを使ったかわいらしい演出で、チャンネル登録者は14万人以上。

その動画の中で、中学時代につくっていたテストの「解き直しノート」についてやり方を紹介してくれています。

みおりんさんは、テストや模試は、自分の“穴”を見つけるためのものと話しています。受験や将来の目標に向けて「穴」=足りない部分を埋めていくために、間違った問題を解き直すという発想なのですね。だから「点数や判定に一喜一憂しない」ことが大切とのこと。

そういう意味では、実力テストは健康診断の結果表にも似ているかもしれません。

間違った解答を集めてみると、

  • 自分の苦手な単元や問題の傾向
  • 間違え方のクセ

などがわかると言います。間違え方のクセの例を挙げると、解答の最後に読点(「。」)を入れないなどのケアレスミスや、問題文の読み飛ばし、英文を適当に訳してしまいがち……などです。

「解き直しノート」の具体的な作り方は、

① 間違えた問題文を写す(コピーを貼っても可)
② その下に、誤答を書く
③ その下に、正しい答えを書く
間違った自分へのひとこと解説、アドバイスを書く

④のひとこと解説は、勘違いをしていた点や、知らなった点、今後注意したほうがよさそうな点などを簡単にメモしておくとよいでしょう。例としては、英文を適当に訳して間違ってしまった場合など「単語の1つ1つを正確に訳すことを心がけよう」など。

この一言を書くことで、学習内容への理解が格段に深まるそうです。
しかし、これには分析力も必要になるので、慣れないうちは周りの大人が一緒に考えてあげてもよいでしょう。学校の先生や家庭教師にサポートをお願いするのも一つの手です。


最初は、間違った問題すべてではなく、各教科 1、2問からのスタートでもよいかもしれませんね。たとえ小さな一歩でも、何も行動しないよりは100倍の価値があると、私ヤスコは個人的に思っています。

テストの「間違い負債」を「成績アップへの財産」に変えられるかは、その後の行動次第。

ぜひ、前向きに取り組んでみてくださいね!

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【第106回】学習の見えない敵、「早生まれのハンディ」との向き合い方

こんにちは、今をときめく俳優の綾野剛さんと同じ誕生日のヤスコです!

ちなみに誕生日は1月26日だそうです。「それがどうした?」という声が聞こえてきそうですが、今日は「早生まれ」と「学習」についてのお話です。

幼稚園や保育園、小学校低学年のうちは、1月から4月1日までに生まれた早生まれの子は、「同級生に比べて体が小さく、成長が遅い」と言われることがありますが、実はそのようなハンディは高校生や大人になっても存在するということが最近の研究でわかってきたそうです。

早生まれと遅生まれで、偏差値が4.5違う

東京大学大学院の山口慎太郎教授らによると、高校生の同じ学年では3月生まれの「早生まれ」の生徒のほうが、同じ学年の4月生まれの生徒より4.5も偏差値が低いという調査結果が出たそうです。

高校生にもなれば、月齢の差なんて微々たるものだと思っていたヤスコはびっくり!

ちなみにこの傾向は、中学生や小学生など年齢が低くなるほどより顕著に表れるとか。

研究では、学力の他にも「感情をコントロールする力」や「他人とよい関係を築く」という非認知能力の点でも差があるとか。これはコツコツと学習を続ける力や、先生やクラスメイトとのコミュニケーションにも影響がありそうです。

これは一見、早生まれの子に不利なようですが、ヤスコ自身はポジティブなことだと思っています。

なぜなら、たとえば学校の授業についていけない早生まれの子がいたとしても、本人の能力不足や努力不足のせいではなく、単純に「月齢と学習環境が合っていなかった」という解釈もできるようになるからです。そしてどの子の能力も、月を追うごとに確実に成長していく証ととらえることもできます。

勉強が嫌いになってしまう一番の理由は「勉強に自信が持てなくなること」

だから、同級生と比べてうまくできないことがあっても、この研究結果を知っていれば「自分なりに成長していればOK」と胸を張ることもできるわけですね。

ちなみに冒頭の綾野剛さんを含め、早生まれで活躍している著名人も多数います。ある時期の芥川賞選考委員は、3月生まれの宮本輝さん、島田雅彦さん、小川洋子さんをはじめ、9割が早生まれだったそうです。

早生まれの子に成功体験を増やすクラス編成

しかし、画一的に学年で区切られてしまう今の日本の学校制度の中では、早生まれの子がハンディを背負ってしまう状況であることは確かです。

そんな中で、学習指導要綱にとらわれないインターナショナルスクールなどでは、柔軟に学年の選択ができる学校もあります。早生まれの子どもは一つ前の学年に入ることができたり、1年余分に幼稚部で過ごすことができたりするなどです。

また、東京都町田市にある私立玉川学園の小学部では、学年を生まれ月で2つにわけたクラス編成を行っています。そうすることで、早生まれの子にもたくさんの成功体験ができ、リーダーシップを取るチャンスが増えるそうです。

日本全体で見ると、早生まれの子への配慮はまだ発展途上と言えます。
しかし、今の段階でも同級生と比べて勉強ができなかったとしても、本人の能力だけの問題ではない」ということをお子さん自身や保護者、先生たちが知っていれば、もっと前向きに学習に取り組めるはずです。

夏休みは、お子さんの学習方法を見直すいい機会。家庭教師の先生と、お子さんの成長にピッタリあった勉強方法を見つけてみてはいかがでしょうか?

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【第105回】勉強中の「ながら飲み」を変えるだけで、集中力が2.9倍アップ!

いやー、すっかり暑くなりましたね。
みなさんは、夏場はダルくて集中力が落ちると感じたことはありませんか?

実は私ヤスコもその一人。

ボーっとする頭に刺激を入れようと、仕事中は保冷タンブラーに強炭酸水を入れてがぶ飲みしております(笑)

しかし、最近気づいてしまったのです。
デスクワーク中の飲み物を変えるだけで、何時間でも集中力が続くことに!!

これはシュワシュワと弾ける泡の刺激が口の中にもたらす「気分的なもの」かと思いきや――

実は、これにはしっかりした化学的根拠があるそうなのです。

歯磨きや入浴、絶叫よりも覚醒する「強炭酸水」

炭酸水を飲むとすっきりするという感覚は多くの人が持つと思いますが、アサヒ飲料の実験では、なんと強炭酸水を飲むと「覚醒度が安静時の2.90倍アップ」したとのこと。
覚醒度とは、作業中のやる気を示す感性指標のことだそうです。

では、たとえば水やお茶など、炭酸水以外の飲み物や別の方法ではどうなのでしょうか?

そのギモンについては、人間の感情や感性を科学的に分析してきた専門家・満倉靖恵教授(慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科)が、東洋経済オンラインの記事で解説してくれていました。

満倉教授によると、水を飲んだだけでも安静時の2.22倍ぐらいにはなるそうです。

ちなみに、お風呂に入ると2倍強。あと、これはカラオケボックスぐらいでしか出番はないかもしれませんが、最大の声量で3秒間絶叫し続けたときには約2.5倍になるそうです。

しかし、強炭酸水はその絶叫すら上回る約3倍の覚醒度があるということ。スゴイ!

いったい身体の中では、何が起こっているのでしょう?

満倉教授はこう説明します。

「炭酸水を飲むことで血液の成分の動態が変わり、それが視床下部に影響を与えてホルモン分泌が変化していると考えられます。分泌されるホルモンが変われば、感情や感性が変わります。その変化が脳波にも表れているのです」

(東洋経済オンラインより引用 https://toyokeizai.net/articles/-/463307

炭酸水が血液から脳に影響を与え、それが結果的に感情をつかさどるホルモンにまで作用しているということなんですね。

集中力ややる気を「努力」で継続させるのはタイヘンですが、飲み物を強炭酸水にするだけで自動的にそれらが継続するならしめたもの。

勉強の合間にちょっとずつ飲むなどすれば、強炭酸水はまさにこの夏にピッタリの「やる気補助飲料」と言えそうです。

しかし、冷えた飲料の飲みすぎや、炭酸ジュースなどでの糖分摂りすぎにはご注意を。

スポーツ用ガムなどでの咀嚼も、筋肉から脳への刺激で集中力を維持できるようなので、いろいろな方法を交互に試してもよいかもしれません。

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【第104回】チャットGPTがつくる「へんてこ物語」で漢字が楽しくなる

読書感想文対策? 夏までにガイドライン策定か

世界を変えるとも言われる「チャットGPT」の登場から、はや半年。

学校や教育の世界でも、いわゆる「生成AI」との付き合い方を本格的に考える動きが出てきています。

5月16日に開かれた文部科学省の専門家会議では、小中学校や高校などでこういった生成AIをどう扱っていくかという話し合いが初めてされたそうです。

たしかに、生成AIは「考えを深めるキッカケをくれる」というメリットがあるのと同時に、必ずしも正しい情報ではなかったり、読書感想文などを自分で書かない生徒が増えるなどのデメリットもありますからね。

読書感想文といえば、夏休み。そんなこともあってか、文科省では夏までに生成AIの取り扱いについてのガイドラインを決める方針だそうです。

ただ、ガジェット好きのヤスコとしては、チャットGPTの愛すべき点に「それっぽいことが言える」ことが挙げられるのではないかと思っています。つまり、たとえデタラメな情報を並べていたとしても、妙な説得力があるということですね。

なーんて考えていたら、そんなチャットGPTのチャームポイントを活かした学習支援アプリを発掘してしまいました。

これに小学生が間違いやすい漢字と、ちょっと残念な言葉を読み込ませたら、ちょっと笑えるいい話をつくってくれるのです。

そのアプリとは、株式会社LearnMoreが開発した『かんじぃPT』

なんと漢字嫌いがなくなるアプリだとか。
学びたい漢字をいくつか入力することで、その学年に合わせた短いストーリーをつくってくれるので、「漢字を楽しく読む」ことができるようです。

一手間加えれば、人気作品の「スピンオフ」が楽しめる?

β版が無料で公開されているので、ヤスコもチャレンジしてみました。

『かんじぃPT』β版 https://kangpt-learnmore.com/(パスワードは「4」を入力)

学習者はひとまず小学6年生の設定にして、単語の入力窓にはこの学年で習う「穀」を使った「穀物」を入力。後は面白さを狙って、ウチの子どもが好きなアニメ『鬼滅の刃』の「竈門禰豆子」と、なんとなく「ちょびひげ」の3単語を入れてみました。

結果はこちら。

『かんじぃPT』β版 結果画面のキャプチャ

なんと、禰豆子が食べ物を通して成長している!
「ちょびひげ」なる人物は、鬼舞辻無惨の手下なのでしょうか。

次は、小学5年生が間違えやすい漢字9位の「逆」と、6年生が間違えやすい漢字6位の「蔵」を入れてみました(漢字は共にベネッセ調べ)。そして男の子にも興味を持ってもらえるように野球選手の「大谷翔平」ちょっと惜しい感じの「サードゴロ」を入力。

すると……

『かんじぃPT』β版 結果画面のキャプチャ

お地蔵さんとメジャーリーガ―の友情物語に!
握手をした二人の背後に、美しい夕日が見えるようです。

これなら漢字嫌いのウチの子も、「これ笑える~」と遊び感覚で取り組んでくれるかもしれません。

もちろん、これで突然漢字が書けるようになれるわけではありません。
しかし、子どもの興味と組み合わせれば、苦手意識克服の第一段階として「読む」というところにはすんなり入れそうです。

現在はあくまで補助的なものではありますが、生成AIを使った学習は、大人が触れても新鮮なものがあります。いろいろ試してみてはいかがでしょうか。

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【第103回】5・6月からオープンスクールが「高校入試に効く」理由

みなさん、こんにちは!
ひさびさの行楽ムード満点のGW、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

お出かけ……といえば、受験生にとっては「オープンスクール」に行ってみるのも立派なお仕事。え、かなりこじつけですって?
いえいえ、これは今の時期からとても大事なことなんです(きりっ)

学校見学やオープンスクールは、夏休みがピークというイメージがありますが、早いところでは5、6月から始まっています。実はこれ、早く行けば行くほど受験に有利なんです。

現役高校生が入学前に参考にしたトップに

そもそもオープンスクールとは、文字通り「学校公開」のこと。

校舎内を見学して入試の説明を受けたり、在校生や部活動の雰囲気を肌で感じることもできます。学校によって「学校説明会」や「学校見学会」と呼んでいるところもありますが、現地を見て、説明を受けられるという点では同じだと考えていいでしょう。

学生服メーカーの「カンコー」が2021年に全国の高校生男女1099人に行った調査では、入学前の情報はこれら「学校説明会・オープンスクール」で手に入れたという生徒が53.8%と最も多かったのです。

このネット社会においても、「高校のホームページ」(50.6%)を上回り、さらにネットニュースやSNSを足しあげた17.5%よりもダントツに高い数値。
つまり、高校の現地から得られる情報はとっても多いということなんですね。

「この学校に通いたい!」と思えたら勝ち

オープンスクールは受験に有利と聞くと「高校側からの印象が良くなるの?」と考える人もいらっしゃると思いますが、もっと大事なことがあります。
それは「この学校に通いたい」と受験生本人のやる気がぐっとアップするということです。

先ほどの調べでは、高校選びで知りたい情報で多かったものとして、「通学方法や時間」や「進路(進学・就職)実績」はもちろんのこと、根強かったのは「学校生活や在校生の雰囲気」(47.6%)、「授業内容や学校行事」(43.9%)、「部活やクラブ活動」(43.2%)、「教育方針・校風」(42.7%)など、どんなスクールライフが送れるのかということ。

オープンスクールに行ってみたら部活の先輩が楽しそうだった、先生の雰囲気や話す内容に共感できた、制服がかわいい、校舎がきれいなど、「自分もここで高校生活を送ってみたい」と思えたら、自然と勉強にも身が入ります。

それは未来の具体的な自分の姿が想像できるからです。
どんな射撃の名手でも、的がちゃんと見えなければ狙ったところに当たらない。
それと似ています。

スタートダッシュが早ければ、学力の壁も越えられる

志望校は受験シーズン後半になればなるほど、現実の実力に合わせて絞り込まなくてはならなくなります。厳しい現実ですが、平たく言うと偏差値を落とすということですね。

しかし、早い時期であればまだ夢を描けます。

今の学力では難しそうなランクの学校でも、準備期間が長ければ充分学力を上げることは可能だからです。

オープンスクールは事前予約制のところも多いので、ぜひ今すぐチェックしてみてくださいね。
マスター本部でも、みなさんから志望校相談をお待ちしています!

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