教科書改訂特集

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教科書改訂に伴う学習内容及び新教科書の変更点について

2011年より新しくなった小学校の学習指導要領に続いて、2012年春からは公立中学校においても新しい学習指導要領が実施され、教科書の内容も大きく刷新されました。

今回の学習指導要領の改訂はまさしく「ゆとり教育」から「みのり教育」への改変といえます。1.4 倍増とも言われた小学教科書と同様、中学教科書もページ数が主要5教科すべてで増量し、難易度も高くなっています。

今回の教科書改訂での重要なポイントは、「教科書の内容がそのまま高校入試に反映される」ということ。新教科書には、手を加えずそのまま公立入試にでてもおかしくないような問題の掲載が目立ちます。つまり教科書の内容変化が毎日の学習、内申、はたまた入試へと大きく影響していくことは必至なのです。

ここでは 2012年春から改定となった、中学の新教科書の変更箇所やポイントをご紹介していきます。

驚きの増加!理数教育の強化へ

グラフをご覧ください。

新年度の総ページ数は誰が見ても分かるほど増加しています。「ゆとり教育」のピークだった 2002 年度教科書 (02 ~ 05 年度使用 ) に比べると、5教科平均で約 1.5 倍、現在の教科書 (06 ~ 11 年度使用 ) と比較しても約 1.3 倍アップしています。

とりわけ増加が著しいのは数学と理科です。文部科学省の方針として注目された「理数教育の充実」 がはっきり映し出されたかたちになりました。詳しく見てみると

06 年度と比べると→ 数学33%増 理科45%増 
02 年度と比べると→ 数学63%増 理科77%増

と驚きの数値です。これはお子さんたちの勉強だけでなく、教師側の指導方法も見直しを求められることになるでしょう。

主要5教科の時間数アップ、それ以外の科目は減少

中学3年間の総授業コマ数(1コマ=45 分)は 2940 コマから 3045 コマへ、105 コマ増加しました。 総コマ数からみれば 3.6%ほどしか上がっていませんが、主要5教科の授業コマ数は 360 にアップ、5 教科平均で 23%も多くなります。

これは今までの「ゆとり教育」が招いた学力低下を阻止するため、「総合」「選択教科等」を削減し、そ の分を主要5教科へ配分されたかたちとなりました。 それでは主要5科目の授業数はどう変化したのでしょうか。

と、中3の増加率が目立ちます。中3の成績は内申点の比重や入試にとても大きく関わってくるため、 非常に重要なポイントです。

また総コマ数から中3の週単位のコマ数を計算してみると、

となります。

  • 英語
  • 数学
  • 理科
  • 国語
  • 社会

@ 文法力が強化へ

今までは「話す・聞く」の2つが重視されていましたが、新教科書は「話す・聞く・読む・書く」の 4つすべてが全体的に充実している内容になっています。その中でも、4つの能力の核となる「文法力」 に多くの教科書が力を入れています。「現在、8割の中学生が文法を苦手にしている」といわれているだけに、多くの中学生にとって大きな壁となるでしょう。

A 読解力も強化

リーディングのページ数は、どの教科書でも増加しています。3年間でリーディングコーナーのペー ジが 24 ページだったのに 5 割増しの 36 ページにアップしている教科書や、最多で 50 ページある教科書も。 
しかも単に読むだけではなく、「指示語は何を指しているか」「段落ごとの内容を理解しているか」などと問題自体のレベルが高く、さらに入試で回答率が極めて低い英問英答も増えています。これからの グローバル時代を反映してか、日本語を介さない英問英答は今回の教科書改訂において大きなポイント となっています。。

B 900語から1200語へ!新教科書は「単語」数もアップ!

新教科書では、扱われる単語が 900 語から 1200 語へと増加。300 語も多くなりました。 その中身はというと、実際の英会話でもよく登場するような極めて実用的な単語・熟語が増えている のが目立ちます。中には一見難しいものも交じっているようですが...。

教科書に出てくる単語の例:
improve, prefer, prohobot, keep in touch, be about to など

@ 計算力が強化。数値も複雑化

小学生の教科書改訂に伴い、中学の教科書でも問題数が大幅にアップしています。 どの教科書も3年間で約40~50%増と大幅アップなのは驚きです。特徴は、小学校の内容の「ふ りかえり」として復習内容も丁寧に行う一方、「比の性質」など小学算数で強化された内容も盛り込まれた内容になっていること。さらに「解の公式」の復活により、2次関数や三平方の定理など、他の単元においても計算がより複雑化されているため、全体的に計算の難易度が上がっています。

A 問題全体のレベルが難化

図 1 をご覧下さい。立方体の中に十四面体を想像させ、辺、面、ねじれの位置などについて考える問 題です。図を見ただけでも複雑そうに見えませんか?実はこれ、中1の教科書の内容なんです!新学習 指導要領で「図形」が強化されたのに伴い、問題のレベルの底上げが顕著に表れています。ます。

図2は円すい台の体積を求める問題です。三平方の定理と相似比を用いないと答えが導けない難解問題 です。このまま入試に出題されてもおかしくないレベルであり、実際に出題されても正解率は2~5% と言ったところでしょう。

つまり、ほとんどの生徒が容易に解けない問題が数多くの教科書に盛り込まれているという状況にな り、教科書の質的変化を象徴しています。

@ 計5強化の中で一番の変化があった料理は、ページ数が45%も増加!

新学習指導要領の中でも最大の改訂材料となった「理数教育の充実」。これに伴い、理科は大幅な変 化が見られました。

まず教科書が1分野、2分野に分かれていましたが、他教科と同様に学年ごとの分冊になりました。 各出版社の教科書は平均で問題数が 1.8%アップ、教科書のページ数が平均 45%アップと、5 教科の中 でも一番の増加量です。

また「物理」「化学」「生物」「地学」の4つの分野は「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」という名 前に変更。しかしそれぞれの分野の概要が大きく変わったわけではありません。「イオン」「仕事とエネ ルギー」「遺伝」など、2002 年のゆとり教育で削減された分野の完全復活も見受けられます。す。

A 学習内容も難化傾向に・・・ポイントは?

学習量が大幅に増えた理科では、前項で「問題数 1.8%アップ」と述べたように、練習問題の増加が 目立ちます。出版社によっては練習問題を 2.2 倍に増やし、教科書と問題集がセットになった様なもの もあります。どの教科書も実験・観察をベースに構成されるものが主流で、実験・観察の結果を考察す る過程での知識を問うものもあります。盛りだくさんな学習内容というだけでなく、それらの練習問題 が直接入試にでるようなレベルであることは特に注意が必要です。

B 学習内容の増加に対し、授業は追いつくのか!?

3年間の理科の授業コマ数は290コマ→385コマと約 100 コマも増加しました。しかし教科書 ページ数が45%増、学習内容の大幅な難易度アップという観点からすれば、この授業時間内でまかなうにはさらなるスピードアップは必至で、生徒さんに最も負担のかかる教科といえるでしょう。

@ 常用漢字196文字の追加

主要5教科の中では一番変化が少ないのが国語。目立った変化としては、「常用漢字196字の追加」 です。「鬱憤」「怨念」などが追加されますが、これらは読めれば十分でしょう。 また、文学的な文章については鑑賞することに重点を置いていましたが、説明的文章を客観的に読む、 文章を要約するなどへの内容の変化も見られました。

@ 地・歴・公民すべての授業時間数がアップ、3年次も歴史の授業あり

今までは1,2年で地理・歴史を学び、3年に公民のみ学ぶというスタイルでした。これからは1, 2年次での地理・歴史のみの授業は変わりませんが、3年生で公民に加え歴史の授業も実施されます。 割合としては中3一年間で公民が 100 時間、歴史は 40 時間と公民がメインになります。

A 「調べ学習」から「世界・日本地理」へ!

地理では「調べ学習」をメインに進めていましたが、「世界」「日本」という2つの軸を元に、それぞ れの地域を全体的に扱うようになります。注意すべき点は、単に調べた知識を記憶するだけではなく、 各地域の特色を様々な観点から比較・検討して理解を深めるという従来のスタイルは継続されることで す。また図【統計資料の図を載せる】のようにグラフや統計資料を読み取る力を問う傾向もあり、非常 に重視されています。

B 歴史では「日本史」が復活!歴史用語の重点化もポイント!

新教科書の歴史分野では「世界史」の内容変更が顕著で、「四大文明」は図だけの扱いから本文にも 復活しました。日本史も含め歴史的用語の扱いも大幅に増えており、教科書本文のみならず図版や資料 の解説文もより詳しくなりました。

また歴史的な学習が地理と連動する場面も登場します。これは地理・歴史・公民をバラバラに学習す るのではなく、様々な角度からものごとを総合的にとらえるという新学習指導要領のコンセプトの表れ でもあります。なおこの歴史と地理の融合問題は今後の入試問題への影響も十分考えられるでしょう。

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