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【第102回】新しい教科書に大谷翔平選手やYOASOBIが起用、一方で『はだしのゲン』は――。教材はどこまで時代に合わせるべき??

みなさん、こんにちは!ヤスコです。

日本中が沸きに沸いたWBCでしたが、新年度は学校の教科書も盛り上がっています。

各メディアによると、米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が、2024年度から使われる教科書に少なくとも10点以上は登板――、いや、登場するそうなんです!

三角形や「割合」が、野球の試合に役立っている

たとえば、東京書籍では小5の算数に、大谷選手のコラムを掲載しています。

「テストの点数はよくはありませんでしたが、算数は好きなほうでしたね

という内容から始まり、打つときの構え方を単純な三角形に置き換えて、
体重のかけ方や足の開き具合を考えていたと明かしています。

また、相手のバッターが撃つ打球の方向なども「割合」を使って計算しているなど、
野球人生に算数は活きているのだそうです。

これには勉強嫌いのスポーツ少年たちも、ぐっと心をつかまれるのではないでしょうか。

朝日新聞によると、この教科書の担当者は、

「子どもたちにも知名度の高い人に算数と自分の関わりを語ってもらうことで、
算数を学習する意義を見いだすきっかけとなれば」

と話しているそうです。

このほか各教科で、

著名なスポーツ選手や、史上最年少で六冠を達成した将棋の藤井聡太さんなども登場。

そして人気ユニット・YOASOBIの楽曲『群青』の歌詞は、高校の書道の教科書に起用されました。

「何回でも、ほら何回でも――」のあのフレーズが、
躍動感のある筆運び、しかも横書きでお手本となっています。

胸熱です。これはちょっとノートの裏に書きたくなっちゃうなぁ(蘇る学生気分:笑)。

実際、このように子どもたちの興味とリンクして、
共感を持ってもらうことが狙いなのだそうです。
時代に合わせて題材を変えていくことは、有効なのかもしれませんね。

時代にそぐわない作品は、削除していいのか?

しかし、逆にそれが原因で、賛否両論に分かれている教材もあります。

広島県広島市の教育委員会が、小学校で使われている平和教材から
漫画『はだしのゲン』を削除すると決めた件です。

そのことで、被爆者団体などからは

「この漫画は中沢啓治さんの実体験に基づいており、
子どもたちに戦争の悲惨さや平和の大切さを伝えたいという想いにあふれている

と、削除を取りやめてほしいという反対の声が相次いでいるそうです。

削除を決めた理由としては、

『はだしのゲン』の漫画に出てくる「浪曲」や「コイを盗む」など生活のようすが、
もはや現代の子どもたちに合わず
、その説明をするだけで授業の時間が大幅に取られてしまう。
肝心な被ばくや平和を考えるための時間が持てない。

ということのようです。

その代わりとして、原爆で家族を失った女性の実体験を掲載するとのことでした。

なるほど……。

たしかに古い娯楽文化や食事情の描写は、
限られた授業時間の中で「効率的」に事実を伝えるのには向かないのかもしれませんね。

しかし、池のコイを盗まなくてはならないほど生活が困窮していたということですし、
戦争の背景として文化は切り離せないものであることも事実です。

そして、ヤスコも小学校1、2年生のころに初めてこの漫画を見たのですが、
幼心に理屈ではない戦争の恐ろしさや、
そして生きていくことの力強さを感じた記憶があります。

おそらく、中沢さんの想いの強さや作品の力なのだと思います。

教育委員会としては、学校の本棚などには引き続き『はだしのゲン』は残し、
学校教育から排除するという考えではないとのことでした。

ヤスコ個人的にも、子どもたちの目にこの作品が触れる機会は、確保してほしいと願っています。

人気スポーツ選手やミュージシャンなど、新しい題材の起用は学習に活気をもたらしてくれます。

しかし、単純に「子どもたちの認知度が高ければいい」と一言ではくくれない学校の教材事情。

あなたはどう考えますか?

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【第101回】<舞台裏トーク> マスターのコラム執筆でヤスコが大切にしていること

ふぅ~、今日はスウェット姿で失礼いたします。
え、見えてないから関係ないって?
はい、おっしゃる通り。いつも通りのヤスコです(笑)

ただ今回はめずらしく、このコラムがどう書かれているかという「舞台裏トーク」なんです。
おかげさまで101回目を迎えた、一区切りみたいなものですね。
なので、ちょっぴりリラックスモードでお伝えしたいと思います。

文章がもっとうまく書けるようになりたい方や、
伝わる記事やブログを書きたいと思っている方にとっても、
なんらかの参考になりましたら幸いです。

先日、とある保護者さんから
「文章を書くとどうしても固くなってしまう」という相談を受けました。

その方は普段、とても陽気な関西弁で話し、よく本も読まれて文章にも慣れ親しんでいます。
子どものための活動もされているのですが、広報としてSNSやブログを書くと、お役所の文言みたいに固くなってしまうそうなのです。

お話をよく聞くと、「誰かを傷つけないか心配」、「叩かれるのが怖い」……など、
どこか「完璧に書かなければ」という緊張もあるようでした。

そんなとき、ヤスコはよくこうお伝えします。

「文章は『手紙』です。
お友だちやご家族、会社の同僚など、
実際のお知り合いをひとり思い浮かべて、
その人に話しかけたり、手紙を書くつもりで
書いてみてください
と。

そうすることで、言葉づかいが自然と普段のやわらかいものになり、
思いやりのある文章が書けるんですよね。

また、読んだ人も自分に語りかけられているように感じ、
「伝わる」「刺さる」文章になるのです。

ついでにその保護者さんには、

ブログなどフランクな場では、
いっそのこと関西弁をたまに出しても
親しみを持たれますよ(笑)」

とお伝えしたところ、「文章を書くのがラクになりそう」と喜んでいらっしゃいました。

ヤスコもこのコラムを書くときには、毎回いろいろな方の顔を思い浮かべています。

小学生の男の子を持つ、ご近所のママA子さん、
行きつけの歯医者さんの娘さん(受験生)、
部活ざんまいだった中学生時代の自分、
お子さんが不登校だと言っていた元会社の上司
などなど。

『あの人』が読んで、役に立ったり、ほっとできるといいな」と。

そして、ひいては、「この人と同じ状況のみなさんにも喜んでもらえますように」と祈りながら、毎月せっせとお手紙を書いています。

これからも、ヤスコのコラムが、あなたのお役に立ちますように。

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【第100回】ミセスヤスコが選ぶ! 今すぐ役立つ「勉強 “お宝”コラム」10選

みなさん、こんにちは!

最近、某フリマアプリで自宅の不用品を売りまくっているヤスコです。

あなたは何年ぐらいそのお家に住んでいますか? ウチはもう15年にもなるので、子ども服やらゲームソフトが相当たまっているんですよ。古いから使えないということはなく、むしろ「お宝」がいろいろ出てくるものなんですよね。

と、前フリが長くなりましたが……。

実はこのコラム、今日で第100回なんです!(祝)

毎月1回の更新で8年以上、ずいぶん長いこと書いてきました。これもみなさんが読んでくださったおかげです。ありがとうございます!

そんなお礼もかねて、今回は100個の膨大な記事の中から、ヤスコが厳選した「お宝」コラムをお届けいたします。

今日から使える、勉強に役立つ考え方や技が満載ですので、どうぞご覧になってくださいね。
では、さっそく行ってみましょう!

お子さんに勉強をしてほしいあなたへ
ラクして笑顔でその気にさせる、やる気アップ術

【第62回】
叱る言葉を変えるだけで、子どもが変わる!? 「怒りのコントロール法」と「言い換え術」(2019年12月2日)

「だらだらしてないで勉強しなさい!」「〇〇はもうやったの!?」など、子どもに対してイラッとしてしまったときに冷静になるコツを紹介。相手をポジティブに叱ることができる言いかえ例を使うだけでも、毎日が変わるかも!

【第40回】
家庭や職場ですぐ使える! アメフト部騒動から学ぶ「ペップトーク」の大切さ
(2018年6月4日)

スポーツの指導者が、選手のパフォーマンスを上げるために使う会話「ペップトーク」から、子どもや家族のモチベーションの上げ方について学びます。

【第67回】
自宅学習でヤル気が出ない… そんなときは「ピア効果」のチカラを借りよう!
(2020年5月1日)

教育心理学の分野でも注目されている「ピア効果」とは、カンタンに言うと「意識の高い集団に身を置くことで、自分の意識も高くなる」というもの。YouTubeを見ることでも、簡単に学習のピア効果を得ることができるというお話です。

「学校の授業についていけない」お子さんへ
つまづきを取り戻せるキッカケは、意外とこんなところに・・・

【第22回】
「昼寝クラブ」に「みんいく」!? 気持ちよく眠るだけの成績アップ法
(2017年9月5日)

「いつもダルそうに見える」「朝、学校に行くのを嫌がる」というお子さんは、もしかしたら睡眠の質が原因かもしれません。睡眠に関する教育「みんいく」で、1年間で不登校率が約32%も改善したという学校の例などとともに、日常生活からやる気をアップさせる方法を紹介しています。

【第89回】
次の学年に「苦手」を持ち越さない! 3月からでも間に合う「さかのぼり学習」のコツ(2022年3月3日)

授業についていけないお子さんは、「前の学年で習った内容」から理解できず、つまずいてしまっていることも。そのつまずきポイントに戻って理解を促す「さかのぼり学習(戻り学習)」について解説しています。

【第13回】
小6の男子が考えた「分数ものさし」で、苦手な分数を一発攻略!
(2017年5月11日)

算数が苦手になってしまうキッカケともなる「分数」。大人でも説明しづらい分数の計算式のルールについて、とってもわかりやすい「ものさし」が発明されました。かなり使えます!

暗記力向上
脳の仕組みをうまく使って、効率的に覚えるコツはこれ!

【第51回】
復習のタイムリミットは「4時間」と「1カ月」!? テストに出る単語を1つでも多く暗記するコツとは?(2018年12月3日)

ある研究によると、脳は「最初の4時間」でごっそり約50%を忘れてしまうそう! そんな脳に「この情報は必要」と勘違いさせて記憶するための「時間の経過」に特化した暗記術を紹介しています。

【第75回】
暗記は「才能」ではなく「技術」! 今日からできる記憶力アップ法
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プラス思考をするホルモンの代表格「βエンドルフィン」を味方につけて、楽しく「勉強中毒」になる方法とは? 簡単にできる実例も紹介していますので、効果も実感できそうです。

受験生のいるご家庭へ
保護者にもできる「食」のサポート

【第30回】
受験の追い込みシーズン! 突然の体調不良を避けるために、とっておきたい食事メニューとは?(2018年1月16日)

ある日用品メーカーの調査によると、学生が「受験本番中に一番心配だったこと」の第1位が「急な下痢」だそう。体にストレスをためないための成分や食材を一部まとめましたので参考にしてみてくださいね!

とはいえ、2月ですから・・・

【第76回】
校長先生からチョコのプレゼント!? バレンタインデーを活かした学校の取り組みあれこれ(2021年2月2日)

学校とは、勉強だけでなく、人とのコミュニケーションも学べる場所。バレンタインデーをきっかけに、ユニークな取り組みをしている学校を紹介します。季節がら、話の「ネタ」としてもお楽しみください。

以上、『ミセスヤスコが選ぶ! 今すぐ役立つ「勉強 “お宝”コラム」10選でした。

これからも、みなさんがより楽しく学習に向かえるように、せっせとコラムをお届けしていきたいと思います。「こんなものが読みたい」というリクエストもお気軽に!

【第99回】これから文系の入試でも「数学」が必須に!?子どもの苦手意識をなくすため、家庭でできる3つの工夫

これから文系の入試でも「数学」が必須に!?
子どもの苦手意識をなくすため、家庭でできる3つの工夫

みなさん、新年あけましておめでとうございます!
今年の干支といえば、そう、ウサギ!

もふもふして愛らしいウサギですが、実はニンゲンの経済における「ある計算」について多大なる貢献をしているんです。いったい何だかわかりますか?

はい、正解は「人口の変動」や「経済成長」の予測

これは「フィボナッチ数列」といって、12世紀ごろにイタリアの数学者フィボナッチが発見した理論です。ベストセラー小説『ダ・ヴィンチ・コード』の中でもふれられていたので、記憶にある方もいらっしゃると思います。この考え方は、ウサギの子孫が増えていくようすを例に解説され、世界中に広まり、800年以上たった今でもその例が使われ続けています。

そんなわけで今回は、お子さんの進学に関わるかもしれない数学のお話です。

「数学が苦手なら、文系に進学」はもう古い??

ところでみなさんは、数学は得意ですか?ちょっと前までなら、「数学が苦手なら、文系の大学に行けばいいよね」という進学ルートが王道でしたが、これからはそういう逃げ道がなくなるかもしれないのです。

そんな近未来を予想しているのが、昨年12月21日の朝日新聞。

「大学の文系学部の入試で、数学を必須とする学校が増えている」というコラムです。
たとえば東洋大学の経済学部では、2021年度の一般入試から数学が必須の募集枠を設けて、22年度は約7割の一般入試入学者が数学を受けたそうです。

まぁ、確かにお金を扱う経済は、数学と切っても切り離せませんよね。実際、これまでも入学後には数学が関わる講義はあったようで、入試で数学必須枠を設けてから、入学後に数学を改めて学ぶ必要が減ったのと、数学が嫌で他の学部に逃げてしまう学生が減ったそうです。つまり、中学・高校で数学をきちんと身に着けたおかげで、「大学でしか学べないこと」に力を注ぐことができたのですね。

ちなみにその昔、ヤスコも文系の大学でした。「アートに数学はいらないでしょ」と入学前にタカをくくっていたら、実際はカメラの構造や光の屈折、フィルムや印画紙(懐かしい!)の化学反応など、数学や理系の知識が必須でして、友人たちと「詐欺だ~」と泣きながら三角関数の公式を勉強した覚えがあります……(遠い目)

なので、経済学部に限らず、数学と関わる分野の裾野は広いということ。

朝日新聞では、「大学教育の文理融合の促進」などから、全国の大学にこういった動きが広がっていると報告されていました。

子どもの苦手意識をなくすために、保護者ができること

ということは、数学が苦手になると、これまで以上に進学にダメージがあるということかもしれません。子どもたちに少しでも数学を好きになってほしい……いや、せめて嫌いにならないでほしい……。

そのために学校では先生にもがんばってもらうとして、家庭では何ができるでしょうか。

ある教育関係のサイトには、

  • 保護者の数学(算数)に対する考えを子どもに押し付けない
  • 子どもが自分で判断することに、自信を持たせてあげる
  • (自宅学習などでも)解答の速さを求めない

などが挙げられていました。

保護者が数学(算数)を習っていたころと、今の子が受けている授業は変わっているところもあるので、「昔は昔、今は今」と切り離して子どもの勉強を見守ってあげる。そして、もし可能であれば保護者自身も「何が違いはあるのかな?」などと好奇心を持って、一緒に教科書をのぞいてみるのも親子でいい刺激になりそうです。

まずは新年一発目に、冒頭のフィボナッチ数列の話題をお子さんに振ってみてはいかがでしょうか。そこから「じゃあ、どうやってウサギは増えているの?」や「フィボナッチってどんな人?」など疑問が出てくればしめたもの。楽しい数学への扉は、そんなところから開いていくのかもしれません。

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【第98回】都立高入試、初のスピーキングテストで懸念される「逆転現象」とは?

都立高入試、
初のスピーキングテストで懸念される「逆転現象」とは?

みなさん、こんにちは! ヤスコです。

先月末は、都立高校の入試で初めて行われたスピーキングテストが、現役教師から中止を求められるなど物議を醸しましたね。もしかしたら全国に波及するかもしれないこのテスト。今後のためにも「そもそも何が問題だったのか?」などをまとめておきたいと思います!

スピーキングテストは、どう入試に活かされるの?

まずヤスコが気になったのは、11月27日というテストの実施日。都立高校の出願受け付けは推薦でも年明けの1月スタートなので、ずいぶん早いなぁという印象でした。

実は、東京都教育委員会が作成した資料によると、このテストは「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」と呼ばれ、学力検査そのものではないようです。来年2月に行われる学力検査の得点と調査書点に、スピーキングテストの結果を加えて総合得点として算出。合否判定に活かされるそうです。

東京都教育委員会が作成した資料
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/exam/speaking_esat-j.html

テストの実施方法は、会場で受験生たちがタブレットに出された問題に対して、英語を話して録音していくというもの。運営を請け負っているのは、通信教育大手「ベネッセコーポレーション」。音声データは英語を公用語の一つとするフィリピンに送られ、現地のスタッフが採点するという流れです。

ヤスコは英語の勉強で、たくさんのフィリピンの先生に授業を受けましたが、どの先生もわかりやすい発音で、ヤスコのカタカナ英語もかなり理解してくれました。日本人の英語とも親和性が高いように思います。なので、その辺りは安心していたのですが……。課題は別のところにありました。

テストを受けられなかったら、他人の点数がつけられてしまう!?

では、どこが問題なのでしょう?

実施前からデモが起きるほど心配されていたのが、体調不良などで当日テストを受けられなかった生徒の扱い。なんと「別日にテスト」ではなく、テストを受けないまま「同じレベルの受験生の点数が、自動的に加点される」仕組みになっているのです。

「同じレベル」とは、リーディングやライティングなど英語の学力検査の得点のこと。つまり簡単に言うと、たとえば「読み書きは得意だけど、話すのが苦手……」という生徒Aは、能力以上の点数をもらえることになります。逆に「読み書きは苦手だから、話すことで得点を稼ぐぞ!」という生徒Bは、能力以下の点数をつけられて損をしてしまいます。

この生徒A・Bの学力が同じくらいだった場合、テストを受けられなかったことで「得点が逆転」してしまう可能性があるわけです。

また、Twitterなどでは「隣の人の声が聞こえるので、カンニングに近いこともできてしまう」「周りがうるさいと、声の小さい人は不利だ」「タブレットで録音するタイミングがずれてしまって、きちんと回答できたのか不安だった」という声も上がっていました。
(まぁ、この辺りはSNSの投稿ということで参考までに、ですが)

それ以外にも、「複数の人間が採点するので、基準にブレが出る可能性がある」ことも懸念されていました。ちなみに、公開模擬試験「Wもぎ」を運営する新教育研究協会と提携している「アイード」社によれば、お隣の中国ではスピーキングテストの採点にはAIを組み合わせており、人のみが採点することはないそうです。

今回の日本のスピーキングテストでは、都内公立中学校の3年生、約6万9000人が受験したとか。

たとえ行政や教育員会は「試験的に」導入したシステムかもしれませんが、受験生にとっては人生がかかっているともいえます。ここは慎重に行ってほしいですね。

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【第97回】生徒が演奏した曲に「著作権使用料」はかからない?最高裁判決から、学園祭ライブや音楽の授業を考える

生徒が演奏した曲に「著作権使用料」はかからない?
最高裁判決から、学園祭ライブや音楽の授業を考える

みなさん、こんにちは!
最近ウチの子が、「YouTuberになりたい!」と言い出して、その成り行きをゆるーく見守っているヤスコです。

今ではキッズYouTuberやTikTokへの投稿、文化祭などでの音楽演奏のアップロードなども当たり前となり、「音楽の著作権」が身近な存在となりました。

そんな中、10月24日に報道されたニュースはちょっと注目。ピアノ教室など「音楽教室の著作権使用料」について、「生徒の演奏は徴収の対象外」とされた最高裁判所での判決です。

ちょっと難しい話になるかもしれませんが、これから皆さんやお子さんが「音楽」を使っていく上での参考になると思うので、ざっくりご紹介しますね!

生徒の演奏に著作権料がかからないのは、なぜ?

そもそも、この裁判のキッカケは、2017年。楽曲の著作権を管理するJASRACが、ヤマハ音楽振興会など音楽教室を運営する会社に対して「楽曲の使用料を請求する」と表明したことにさかのぼります。それに反発した約250の運営会社が「支払う義務はない」と主張して、裁判を起こしたのです。

著作権法では、公衆の面前で演奏をした場合、楽曲の作曲者や作詞者に「演奏権」があるとされていますが、無断で演奏すると「著作権の侵害」にあたってしまいます。

裁判では、先生と生徒、それぞれの立場に分けて、使用料の徴収は妥当かどうかの議論が交わされました。先生の演奏については2審で、「音楽教室側が、『公衆』にあたる生徒に聞かせる目的で行っている」ものとして徴収を認めました。そして今年の10月24日、生徒については「みずからの技術向上のために、自主的に演奏している」として、徴収の対象にはならないと判決が下されたのです。つまり、公衆に聴かせることが目的ではない、あくまで「個人的な練習」であるということがポイントになったのでしょう。

(一連の流れについては、NHKのニュース記事でくわしく解説されていますので、興味があれば読んでみてくださいね)

音楽教室の著作権使用料「生徒は対象外」最高裁判決ポイントは
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221024/k10013868361000.html

入学式で先輩が歌ってくれる歌はOK!
では、先生が授業で配る楽譜は……??

なぜ今回このニュースを紹介したかというと、ヤスコはこれを見て「じゃあ、学校での著作権使用料はどうなっているの?」とギモンがわいたからです。音楽教室も学校も「教育の現場」という意味では同じですものね。

たとえば、音楽の先生が楽譜をコピーして生徒に配る場合や、文化祭で生徒たちが行うライブ演奏、合唱コンクール、吹奏楽部などのコンサート映像をDVDに焼いて配る場合など、学校は音楽であふれています。そこには親や子どもたちが主体的にかかわることも少なくありません。だから「うっかり著作権法に違反してしまっている」ということがないようにしたいもの。

ということで、さっそくJASRACのホームページで調べてみました。

のぞいてみたのは、こちらのページ(「ジャスラの音楽著作権レポート」https://www.jasrac.or.jp/park/inschool/)や……

こちらのページ(「ジャスラの音楽著作権レポート」https://www.jasrac.or.jp/info/school/)。ケース別にわかりやすくまとまっています。

内容を読んでみると、基本的には「学校などの授業のための複製」や「営利を目的としない演奏・上映」「個人的に楽しむための複製」については著作権の手続きは必要ないそうです。たとえば「入学式で、先輩たちが歌を歌ってくれた」場合は手続きが不要、なのはわかりやすい例ですね。ただし、注意が必要なケースもあります。

文化祭や学園祭でのコンサートは、入場料をとらない非営利のものであれば著作権の申告は必要ありません。しかし、出演者への報酬が発生する場合は申告が必要だそう。 また、「先生が授業で使うために、歌詞や楽譜をコピーして生徒に配る」というのも基本的に手続きが不要なのですが、1クラスの人数を超えて複製する場合や、市販の楽譜のコピーであった場合はJASRACへの申告が必要なようです。

「じゃあ、〇〇なケースはどうなの?」と気になる方は、一度ウェブサイトをチェックしてみるのもよいかもしれません。

著作権料って、実際どのくらいかかるの?

では、実際に著作権料って、いくらぐらいかかるものなのでしょう? これに関しても、ちゃんとシミュレーションページが利用できるんですね。

https://www.jasrac.or.jp/info/create/calculation/publish/score.php

でたとえば、1500円で市販されている国内の楽譜を3曲分、30人分複製した場合を計算してみると……必要な著作権使用料は、税込みで4950円と算出されました。

こちらはあくまで目安であり、JASRACが管理している楽曲が対象です。でも、具体的な金額を算出してみると、「これらのお金がアーティストや関係者のもとに届き、彼らの活動を支えていくのだな」と感慨深い気持ちにもなります。

音楽に限らず、イラストなどのアートデジタル作品アイデアなどについても「権利」は近年重視されています。わたしたちは10年ほど前に比べても、著作物を「つくる側」「つかう側」になる機会が圧倒的に増えました。

もし子どもたちが著作権について聞いてきたら、親として、わかりやすく教えてあげられるようでありたいですね。

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【第96回】「教科書苦手」は書体のせいかも!?
自分にぴったりの「じぶんフォント」で読解力UP!

教科書苦手」は書体のせいかも!?
自分にぴったりの「じぶんフォント」で読解力UP!

こんにちは! ヤスコです。

みなさんの中には「ウチの子、教科書読むのが苦手で……」とか「本を読んでも内容が頭に入ってこない」などとお悩みの方はいらっしゃいませんか?

それはもしかしたら、能力の問題ではなく、文章の「書体」が合っていないことが原因かもしれません。書体とは、ふだんみなさんが読んでいる文字の形のことで、別名フォントとも呼ばれています。

たとえば、次に紹介するのは、ある料理の作り方を紹介する文章です。まったく同じ文章ですが、上下でフォントを変えています。どちらのほうがカンタンそうに見えるでしょうか?

そう、こちらはお馴染みカップラーメンの作り方。

どんな文字を読みやすいと感じるかには個人差もありますが、下の「丸ゴシック体」のほうがカンタンそうに見えた人も多いと思います。上の「明朝体」は新聞などのちょっと硬めの記事に使われていますよね。逆に「丸ゴシック体」は、主にネットやSNSなどの柔らかいコンテンツに使われています。

読みづらい文字だと、内容が頭に入ってこなかったり、同じ行を何度もたどってしまう・・・。実はそんなリスクがあるようなのです。

ここに目を付けたのが、大手印刷会社の大日本印刷(以下、DNP)。9月22日に画期的なサービスをリリースしました。

その名も「じぶんフォント」。

それぞれの人にとって、読みやすい文字の形(=フォント)を提供することで、文字の読み書き力の向上を目指すというプロジェクトだそうです。

実際に、DNPのサイトでは自分にあったフォントを見つける「読字体験」をすることができます。

じぶんフォント

このプロジェクトの発端は、ディスクレシアの人を含む「文字の読み書きに困難がある人」にも見やすく読みやすいフォントを提供すること。ディスクレシアとは、知的能力に関わらず文字を読むのが困難な学習障がいのこと。日本では、学校で教育を受ける年齢の児童の約8%がこの症状にあたると言われているそうです。

「じぶんフォント」では、東京工業大学の朱心茹(しゅ しんじょ)助教授の研究をもとに、ディスクレシアの人たち向けに開発されたオリジナルのフォントが3種類あります。

本好きだけど、読むのが遅いヤスコ。

読みやすい書体を探すべく、実際にDNPのサイトで試してみました。

こんな感じで、左右の書体から「読みやすい」方をどんどん選択していきます。

ちなみにこの設問1つ1つの例文は、小説のストーリーとして繋がっているので、読む楽しみもあります。くぅー、心憎い!

気に入ったフォントは、ネット購入することもできます。学習に使うタブレットや、電子書籍のフォントを変えれば、これまで以上に文章読解力や書く力が向上するかもしれません。

ヤスコは診断ですすめられた「秀英丸ゴシック L」というフォントに変更したところ、文章の内容が驚くほどクリアに頭にはいってくるようになりました。

文章の読み書き。あきらめる前に、ぜひ試してみくださいね!

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【第95回】夏休み明けの「学校に行きたくない」発言にも慌てない、知っておくと便利なサービス

夏休み明けの「学校に行きたくない」発言にも慌てない、
知っておくと便利なサービス

みなさん、こんにちは!
子どもたちも夏休みも終わり、学校へ。
わたくしヤスコにも、おだやかな日常が戻ったような気がします。

でも実は、「学校に行きたくない」という子どもたちが一年でもっとも増えるのが、まさに今なんだそうです。

8月31日のNHKニュースでは、NPO法人「若者メンタルサポート協会」という団体のお話が紹介されていました。この協会では、全国の10代の子どもからSNSで寄せられる相談を、24時間365日態勢で受けているそうです。

どんな内容の相談があるのかというと、「新学期で人間関係がうまくいくか不安」「学校でいじめられるのではないか」などがよく見られるとか。例年8月は2万件ほどの相談が寄せられるそうですが、今年はなんと3万件を超えたそう。

コロナ禍で夏休み中も友だちと遊ぶことが少なく、友だちとのつながりや外での居場所をつくりづらかったというのも影響しているようですね。

不登校については、頭を悩ませている親御さんも多いと思います。しかしこれは、子どものせいでも、親の育て方のせいでもなく、今やどんな子にでも起こりうる状況なのかもしれません。

子どもにそんな兆候が表れたときにも落ち着いて対応できるように、普段から「こんなサポートもある」と情報を知っておくと安心です。

そう思って、ヤスコもコミュニティや相談窓口を調べてみました。そこで気づいたのは、最近は、かなり相談が気軽にできるということ。顔や声を知られることなく、チャットのみで会話ができたり、不登校を経験した「先輩」たちとも簡単に繋がれます。

日本で唯一、不登校専門の新聞

たとえば、不登校の親向けに役立つ情報を届けてくれるのが、1998年に創刊された「不登校新聞」


不登校新聞

当事者の本音や、親だからこそ語れる実例、専門家のアドバイスや、相談先・進学先の情報が発信されているそうです。

親同士のコミュニティやイベントも提供されていて、同じ立場の人とも交流ができます。

この「不登校新聞」の編集長である石井志昂(しこう)さんも、中学2年生から不登校だったそうです。それでも今は立派に、社会起業家をされています。こういった先輩たちの「その後」を知ることで、不安もなくなりそうですね。

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最短5秒で、国内外にいる「いばしょ相談員」につながります。

24時間365日、相談に応じてくれるそうです。

厚生労働省支援情報検索サイト登録窓口で、「いばしょ相談員」は所定の訓練を修了したボランティアが行っています。年齢を問わず、無料・匿名で利用できます。

自殺行為やDV、虐待などの緊急性が高いと判断された場合は、警察や児童相談所などの関係機関と連係して対応してくれるそうです。

今は必要がない人でも、「困ったらこんなサポートがある」と知っておくだけでも、心のお守りになるのではないでしょうか。

ちなみに今回紹介したサービスに限らず、相談員さんに自分と「合う・合わない」という相性があります。まずはサイトにアクセスしたり、調べてみたりして、「ここなら安心して話せそう」というところに相談してみるのがいいかもしれませんね。

また、万が一相性が合わなかったときも、落ち込む必要はありません。いろいろな相談員さんやコミュニティメンバーの話を聞いてみると、違った視点に出合えることがあります。不登校の間の勉強法などは、マスターのスタッフさんもくわしいですよ。

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【第94回】夏休みのマストアイテム! 博物館や美術館で「双眼鏡」があるとワクワクする理由

第94回話題のトピックス

夏休みのマストアイテム!
博物館や美術館で「双眼鏡」があるとワクワクする理由

みなさん、こんにちは。ヤスコです。
夏休みは、子どもと行きたい博物館やミュージアムの企画展が毎年目白押しですね!

今年も、要チェック案件がいっぱいです。
たとえば国立科学博物館では、ゴビ砂漠で発掘された恐竜などが見られる「化石ハンター展」。サンシャイン水族館では、「美味しくてすごい生き物展」。そして少し都心からは離れますが、立川市のPLAY! MUSEUMで開催の「クマのプーさん展」も、私たち親世代のハートをつかんで離しません。

でも、せっかく見に行くなら、入場料以上の「もと」をとって満足して帰りたいですよね。

そんなあなたに、ヤスコは自信をもって「双眼鏡」をおススメします!
双眼鏡で展示物を見ると、とーーっても拡大して見えるんです。
肉眼では見えないトゲや筆の跡まで鮮明に

ヤスコが実際見に行ったある企画展を例に、ご説明しましょう。これなーんだ?

遠くて、わからないですよね。ガラスの近くまで寄ってみましょう

正解はカニ。左右のハサミの大きさが違う、シオマネキですね。横幅約5cmくらい。ほぼ原寸大です。

実はこれ、鉄や銅などでできた工芸品「自在(じざい)置物」といいます。江戸時代が平和になり、ヒマになってしまった甲冑職人たちが技術を維持したり、技巧の証明をするためにつくり始めたのだそうです。
「自在」という名の通り、実際に関節や体が動きます。日本で現役でつくっている職人さんは、もう2人しか残っていないそうです。

と聞くと、もっと近くで見てみたいですよね?
でもガラスケースに阻まれて、これ以上近づくことができません。

そこで新兵器投入!

Vixenの双眼鏡! これで見ると、ここまで拡大して見えるんです!


※ 写真はイメージです。

肉眼との差がわかるように、スマホ写真を拡大して作ってみました。実際は体のトゲから、関節の細かい仕組みまで、鮮明に、はっきりと見えます。
これは衝撃の感覚でした。どんな年代のお子さんにとっても、刺激となるはずです。

さらに美術館の絵画やイラスト原画などでも、繊細な筆のタッチや立体感がわかってとても面白いですよ。

双眼鏡選びでいちばん大事なポイントは?

ちなみに、双眼鏡なら何でもいいというワケではなく、選び方にはコツがあります
一番大事なのは、最短合焦距離が2m以下であること。最短合焦距離とは、ピントが合うもっとも短い距離のことです。野外とちがって展示物とは距離が近いので、近くでピントが合わないと離れて見なくてはならなくなるのです。

ちなみにヤスコの双眼鏡は、最短合焦距離が約55cm。これなら机の上に置かれた展示物でも、無理なく見られます。しかも、屋外で足元にいる生き物なども拡大できるというオマケつき。

ほかにも、レンズが1つの「単眼鏡」というものもあります。コンパクトで持ち歩きやすのですが、値段がやや高めなのと、片目で見るために立体感や遠近感がつかめないので、初めての方には双眼鏡のほうが向いているかも。ボディがプラスチック製のものは、双眼鏡でもとても軽いです。

家電量販店にも置いてあるので、手に取って覗き比べてみると、違いがわかってとても面白いですよ。
一家に1台あるだけでも感動の幅が広がります。騙されたと思って(笑)、ぜひ感動を味わってみてくださいね。

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【第93回】部活のコーチが外注になると、我が家の出費が増える?? 2025年までに移行の動き

部活のコーチが外注になると、我が家の出費が増える??
2025年までに移行の動き

安西光義、相田リコ、武田一鉄、烏養繋心、片岡鉄心――。これらの名前を見て今回のテーマがわかった方は、かなりのアニメ・漫画ファンとお見受けします。

「安西先生……!! バスケがしたいです」と聞けば、ピンと来るでしょうか?

そう、彼らはスポーツ漫画のコーチや顧問たち。2016年に行われた、アニメファンが選ぶ『理想的なアニメ・漫画の部活監督・コーチ』TOP5に輝いた名物キャラクターなのです。安西先生って、光義って名前なんですねー。知らなかった。
(ちなみにアニメのタイトルは、最初の安西先生から『SLAM DUNK』、『黒子のバスケ』『ハイキュー!』(2名)『ダイヤのA』)

もうすぐ夏休み、といえば部活にさらに熱が入るお子さんも多いはず! ということもあり、今回は、「部活動の顧問」のお話です。

まずは土日などの休日からスタート

先月6日、スポーツ庁の有識者会議が、公立中学校の休日の部活指導を「民間業者」に委ねる提言書を長官に提出しましたね。簡単に言うと、「学校が休みの日は、部活指導を外部の民間人に任せましょう」ということで、来年度から3年間で移行していくそうです。

これが実現すれば、子ども側のメリットはたくさんあります。
まずは専門知識をもった指導者から質の高い指導が受けられること。そして、地域の大人との交流や横のつながりも増えます。また、先生と生徒の上下がなくなるのでパワハラの減少も期待されているようです。

指導者の派遣サービスが、ビジネスチャンス?

ただし課題もあって、「そんな専門性の高い人をどこから探してくるんだ?」という人材確保の問題、また「指導員に払うお金はどこから捻出するの?」という資金確保の問題があります。

しかし、ビジネスチャンスを逃さない人は世の中にいるものでいるもので、最近では、部活の顧問やコーチ外注専用の人材派遣会社というものあるんですね。ホームページを見ると、登録コーチの顔ぶれも、ITのリモートワークで時間に余裕のある元チアリーディング選手、など個性豊か。しかも「有償で働くのだから『結果』を出します!」と、頼もしいコメントが書いてあったりして。そして、校内のさまざまな部活全体をマネジメントしてくれるサービスもあって、至れり尽くせりなことこの上ありません。

お金のかかる部活には入れない「体験格差」をなくせ

おそらく、最大の課題は資金確保でしょう。
これまでは、学校の先生がほぼボランティアで顧問を務めていたため、支出がなかったんですね。これは大きな問題です。
なぜかというと、外部指導員の費用を家庭が負担しなければならないとしたら、収入の低い家庭の生徒が部活を続けられなくなってしまうからです。これまでも、お金のかかる部活には入れないなど、生徒の間には多少なりとも「体験の格差」がありました。それは失くしていかなければならない、ということで、その方法がこれから庁内で議論されることと思われます。
対応はそれぞれの自治体に任せるとしながらも、具体的には、国から補助金を出すことや、地域でもサポーターとなって資金や道具、場所の応援してくれる団体を募ることなどが挙げられていました。

うーん、ほかにも何かいい案ないですかねぇ?

そういえば、先日見たドキュメンタリーで、面白いシーンがありました。
衣類用の洗剤を開発している会社が、地元のサッカークラブに洗剤をプレゼントする代わりに、ユニフォームや靴下などの汚れ物を提供してもらうというものです。通常、洗剤の実験には「人工的につくった汚れ」を使うそうなんですが、やっぱり自然にできたものとは違うらしんですよね。
なので「天然モノの汚れ」を提供してもらって、開発に活かすのだとか。要するに、会社のサービスとひきかえに、マーケティングを行っているということです。

だったら、部活動にも手法が応用できないですかね? スポンサーとしてメーカーが入って、「費用を出す代わりに、メーカーの運動靴を1週間履いてもらう」「コーチを無償派遣する代わりに、普段食べているおやつを教えてもらう」とか、なにかしらのトレードオフができたりして。

まぁ公立校ということで、いろいろな制約はあると思いますが‥‥‥‥、高いハードルを飛び越えるように、思い切った打開策を期待したいですね。
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