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【第58回】アインシュタインの思考もインストール!? VRをつかった教育で可能になるアレコレ

【第58回】アインシュタインの思考もインストール!? VRをつかった教育で可能になるアレコレ

スマホをかざすと現実の路上にモンスターが現れたり、ゴーグルごしに空想の世界が体感できるAR(拡張現実)やVR(仮想現実)。ゲームやエンタテイメントの世界では、いまや当たり前のこととして私たちの暮らしに浸透しつつあります。

そして、そのVR技術が、最近は「教育」の可能性を大きく広げてくれるものとして、注目を浴びているのです。小学校や中学校、高校、大学など各ステージで導入されるのは、遠い未来の話じゃないかも。今日はそれがどんな世界なのか、一足先にのぞいてみちゃいましょう!

VRゴーグルで海中探険するアメリカの小学校

たとえば、アメリカのバージニア州にある小学校では、地理や生物について学ぶ授業で、すでにVRゴーグルが使われているそうです。生徒たちがゴーグルをかぶると、そこには見たこともない海の生物が目の前に迫ってきます。あまりのリアルさに、中にはイスに座ったまま飛び上がってしまう子どももいるそうです。

このような映像のメリットは、没入感により子どもが集中しやすかったり、先生の主観によるバイアスがかかりづらい点にあります。VRゴーグル自体は決して安いものではないので、学校側が教育基金から得た補助金で購入。11の小学校の間でローテーションして使っているそうです。「アメリカの今は、3年後の日本の姿」…なんて言われることもありますから、あと数年したら日本の学校でもこういった光景は見られるようになるかもしれませんね。

アインシュタインの思考回路を自分にインストールできる!?

昨年2018年には、日本でも東京大学に「VR教育研究センター」が開設されました。センター長の廣瀬通孝さんによると、単純に見る・聞くなどの「体験」だけでなく、今まで物体化できなかった難しい概念を「可視化」させることも可能だとか。

たとえば、アインシュタインの「相対性理論」。これを一言で説明するのはとっても難しいのですが…ざっくり言ってしまうと、空間や時間の不思議を説明する概念ですね。「光の速さに近いものは縮んで見える」「重いものの周りでは空間が歪む」など、そこからいろいろな現象が証明できるようです。

これらを数式で理解していくから、本来はとっても難しい(!)話になってしまいます。ところが、優秀な数学者には「4次元や8次元の中に超立方体がある」というような複雑な概念が、文字通り「目に見える」らしいのです。それをVRなどで“一般人”にも直感的に「見える」形にできたら――。複雑な理論やテーマが、理解しやすくなるといえます。

ニュートンの力学が、なんとなくわかった気になれるのは「リンゴが地面に落ちる」という重力の感覚を私たちが「肌感覚」として知っているから。それと同じように、アインシュタインたち天才数学者が見ている世界を体感できれば、理解のスピードが上がるというわけですね。

VRという言葉は、ここ数年で急に浸透してきた感がありますが、VR技術の研究自体は、すでに30年ぐらい続いているのだそう。そして今、満を持して、教育の世界にも実用化の波が広がってきたわけですね。子どもたちの学びの可能性を広げるためにも、私たち親も随時動向をチェックしていきたいものです。

 

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